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犬は人間と比べて皮膚が弱く、皮膚病になることが多い動物です。
しかし、皮膚病と言ってもその種類は非常に多く、細菌感染や真菌感染によるもの、アレルギーが関与するものなど様々です。
そこで、今回は犬の皮膚に見られる症状ごとに、どのような病気が考えられるのかを獣医師の立場から、経験や科学的知識をもとに解説していきたいと思います。
なお、「うちのトイプー」で販売しているご飯はオメガ3脂肪酸が含まれており添加物不使用のため、トイプードルに限らずどんな犬種にもおすすめです。
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犬の皮膚が臭い時はどんな皮膚病が疑われる?

ここでは、臭いが症状として現れやすい皮膚病について紹介します。
マラセチア症
犬の皮膚がベタベタしていて油っぽい臭いがする場合、マラセチア症を発症しているかもしれません。
マラセチア症はマラセチアという酵母菌によって引き起こされる病気で、発症すると皮膚や耳から独特な臭いを発し、皮膚の赤みやかゆみ、フケなどの症状がみられることがあります。
マラセチア菌は健康な犬の皮膚にも住み着いている常在菌ですが、アトピー 性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎、甲状腺機能低下症などを発症している犬では皮膚のバリア機能が低下しています。
そのため、この菌が異常に増殖してしまい、マラセチア症を発症してしまいます。
マラセチア症の治療には抗真菌薬や薬用のシャンプーを使用することがあります。
痒みがある場合には痒みを抑える注射や内服薬を使用することもあります。
犬の皮膚が赤い時はどんな皮膚病が疑われる?

ここでは、犬の皮膚が赤くなるような症状がみられる場合に考えられる皮膚病をご紹介します。
皮膚の赤みはあらゆる皮膚病で引き起こされますが、ここでは、特に頻度の高い病気について紹介します。
膿皮症
膿皮症を発症すると皮膚の赤みがみられることがあります。
膿皮症は細菌性の皮膚病で、皮膚のバリア機能が弱っている場合や皮膚が汚れている場合などによく起こります。
原因となる細菌はブドウ球菌が特に多く、パスツレラ菌大腸菌、緑膿菌などによっても引き起こされます。
症状としては皮膚の赤み、脱毛、フケ、膿瘍などが考えられます。
膿皮症の初期は皮膚の表面のみの炎症であることが多いですが、慢性化や免疫不全、外傷などがあると皮膚の奥の方にまで感染が広がり、病変が全身に及んでしまうこともあります。
治療は抗菌薬の投与や薬用のシャンプーなどにより行います。
ブラッシングなどで皮膚や体毛の手入れを定期的に行い、皮膚を清潔に保つことが膿皮症の予防に有効です。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は糸状菌というカビの仲間の真菌によって引き起こされます。
皮膚糸状菌症を発症している動物との接触感染や土壌、人家などの菌に汚染されている塵埃などからも感染することがあります。
なお、人も発症することがあるため注意が必要です。
子犬・子猫や多頭飼育の動物、病気などで免疫が弱っている動物によくみられますが、症状としては皮膚の赤みや脱毛、フケ、かさぶたなどが考えられます。
治療には抗真菌薬の投与やシャンプーなどが用いられます。
感染動物との接触をなるべく避けることが予防として重要です。

食物アレルギー
食物アレルギーによっても皮膚の赤みは引き起こされます。
食物アレルギーは食物中の特定の物質に対して免疫が過剰に反応してしまい、皮膚症状や消化器症状、呼吸器症状などを引き起こしてしまう状態のことを指します。
原因となる食物としては牛肉や鶏肉、卵、大豆、乳製品、とうもろこし、小麦などが多く見られ、複数の食物成分に対してアレルギーを示す犬も見られます。
基本的には年齢や性別、種類に関係なく発生しますが、犬では1歳未満で発症することが比較的多いという報告もあります。
食物アレルギーの症状としては、皮膚の痒みや赤み、自分で掻きむしったりなめたりすることによる脱毛、フケ、かさぶたなどが多く見られます。
これらの皮膚症状は顔面や耳、四肢、背中、腰、脇の下、鼠蹊部、会陰部などに多く出現し、左右対称性にみられることが多いです。
外耳炎や膿皮症、マラセチア性皮膚炎などが続発することもあります。
食物アレルギーと診断するためには、アレルギー検査や除去食試験を行うことが必要ですが、アレルギー検査は採血を行い検査センターに送ることで結果がわかります。
除去食試験は、アレルギー検査の結果から、アレルギー反応を起こさなさそうな食事を与える試験です。
費用などの面でアレルギー検査を行わなかった場合も、特定のドッグフードを使えば除去食試験を行うこともできます。
基本的には除去食試験は2〜3ヶ月間継続することが必要で、除去食を与えている期間は他のドッグフードやおやつなどを与えることは一切できません。
万が一、少しでも療法食以外のものを食べてしまうと、試験の信頼性が著しく低下してしまいます。
食物アレルギーが皮膚症状の原因である場合、早ければ試験開始から3〜4週目くらいで症状が徐々に改善してきます。
より正確に食物アレルギーと診断するために、除去食試験で症状の改善が見られたのちに以前与えていた食事に戻し、症状が再発することを確認することもあります。
これを食物負荷試験と呼びます。
基本的な治療はアレルギーの原因となる食物を避けることになります。
除去食試験に用いた食事をそのまま療法食として用いることもあります。

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アトピー 性皮膚炎
アトピー 性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、それにより環境中のアレルゲンに対して免疫細胞が反応してしまい、皮膚に炎症反応が起きてしまっている状態のことをいいます。
ほとんどの場合、6ヶ月〜3歳齢で発症し、痒みの伴う皮膚症状を示します。
症状は皮膚の赤みや痒み、脱毛などで、症状の強さは季節によって変化することが多いです。
皮膚症状は顔面や耳、首、腹部、脇の下、鼠蹊部、下腹部、会陰部、しっぽ、四肢に見られることが多いです。
表在性膿皮症やマラセチア性皮膚炎を続発することもあります。
アレルギー検査や除去食試験などにより食物アレルギーを除外して診断されます。
食物アレルギーと併発していることもあります。
治療は薬による皮膚の痒みなどの症状の改善を目的として行われます。
基本的にはステロイド や免疫抑制剤、分子標的薬といった種類の薬を使い、根治することはほぼないため一生涯にわたり治療を続ける必要があります。
犬の皮膚にかさぶたがある時はどんな皮膚病が疑われる?

ここでは、犬の皮膚にかさぶたができる主な原因について紹介します。
ケガによるもの
犬同士のけんかや交通事故などによりケガをすると皮膚が損傷し、皮膚が修復される過程でかさぶたが形成されることがります。
基本的には治療をしなくても問題ないことが多いですが、犬同士のけんかによる咬傷の場合は注意が必要です。
犬の口内には細菌が多く住み着いているため、傷がそれらの細菌による感染を受けて化膿してしまうことがあります。
かさぶたによりすでに傷が塞がれてしまっている場合は自然に排膿されることがないため、針を刺したり切開するなどして膿を出し、さらに抗生物質の投与による治療が必要になります。
皮膚病によるもの
上記で紹介した、マラセチア症や膿皮症、皮膚糸状菌症、食物アレルギー、アトピー 性皮膚炎などの皮膚病はいずれも皮膚の痒みをもたらします。
そのため、犬は皮膚症状の出ている部分を執拗になめたり、掻いたり、引っ掻いたりすることで傷になり、その後かさぶたが形成されることがあります。
基本的には原因となっている皮膚病の治療を行うことになりますが、あまりにも痒みが強い場合はカラーや包帯、服、靴下などを身につけさせ患部を保護し、それ以上傷をつくらないようにする必要があります。
犬の皮膚病は早期発見・早期治療が大切
犬の皮膚病には細菌や真菌の感染によるもの、アレルギー・アトピー など免疫異常によるもの、ケガによるものなど様々あり、それぞれの原因によって治療法は変わってきます。
皮膚病を治療せずに放置してしまうと、色素沈着や慢性化などの原因となりますので、犬の皮膚に赤みや臭いなどの異常が見られた際には、基本的には早めの動物病院の受診をお勧めします。
また、皮膚病の予防としては毎日のブラッシングや定期的なトリミング、シャンプーなども有効です。
薬用のシャンプーは皮膚病の悪化防止や治療にも有効です。
自宅でもブラッシングなどのお手入れを日常的に行いながら愛犬の体をよく観察し、皮膚病の早期発見・早期治療をできるようにしてあげるといいでしょう。
なお、うちのトイプーご飯はオメガ3脂肪酸が含まれており添加物不使用のため、トイプードルに限らずどんな犬種にもおすすめです。
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うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。