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マグロやカツオは、日本人に馴染みのある食材の1つです。
そんなマグロやカツオを中心とした魚を、愛犬に与えて良いのか悩んでいる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
これら魚は、健康には欠かせない栄養素が多く含まれている食材ですが、注意点を守って正しい与え方をすることが大切です。
今回は、愛犬にマグロやカツオを与えて良いのか悩んでいる飼い主さんのために、明日からすぐに作れる魚を使った簡単レシピや注意点、部位別栄養素などをご紹介します。
なお、その他の犬の食事管理については【食事カテゴリー】をご確認ください。

Index
犬にマグロやカツオを与えるメリット

マグロやカツオは、「アミノ酸スコア100」の素晴らしい食材です。
ここでは、愛犬にマグロやカツオを与えるメリットについて紹介します。
アミノ酸スコアとは「たんぱく質量」と、体内では生成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」が、どれだけバランス良く含まれているかを表すもので指標の1つです。
100に近いほど理想的な数値になります。
また、骨を除く大抵の部位は消化吸収性が良いため、消化能力が低い犬であっても注意点を守って与えれば、心配せずに与えることができます。
犬にマグロを与えるメリット
ここでは、犬にマグロを与えるメリットについて部位別に紹介します。
愛犬の手作りご飯の食材を決めるときに、部位別の栄養素についても配慮すると良いでしょう。
赤身
赤身は動物性のたんぱく質を多く含み、その量は魚の中でもトップクラスです。
脂肪分も淡白な白身魚よりも少なく、高タンパク低カロリーな部位です。
他にも、「セレン」という体内の細胞が活性酸素により破壊されるのを抑える「抗酸化作用」をもつミネラルが含まれており、がんを予防する効果も期待できる栄養素です。
トロ
トロは脂肪分がとても多く、赤身の約3倍のカロリーがある部位です。
オメガ3系脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれており、DHAは集中力を維持する能力や記憶力を高める効果が期待できます。
EPAは血液をサラサラにして血管の健康を助けてくれる効果が期待でき、これら栄養素は皮膚の健康維持サポートなど様々なメリットがあります。
血合い
血合いはまぐろの血管が集まっている部位なため、貧血を予防する効果がある鉄分が豊富に含まれています。
<その他の栄養素>
・コレステロールを減少させて肝臓の健康を助ける「タウリン」・血流を良くする効果が期待できる「ビタミンE」・粘膜の健康を保つ「ビタミンA」
犬にカツオを与えるメリット
カツオは、犬の健康に欠かせない「たんぱく質」が多く含まれている食材です。
また、脳の活性化が期待できる「オメガ3系脂肪酸」も摂取できるため、成犬からシニア犬まで幅広く健康に役立てる事ができます。
カツオには、他にもさまざまな栄養素が含まれているので詳しくご紹介します。
たんぱく質
カツオなどに含まれる動物性のたんぱく質は、犬の健康に欠かせない栄養素の1つです。
代謝に大きく関わる筋肉の維持や被毛・皮膚の健康だけでなく、食いつきを良くしたり満腹感を継続させる作用も期待できます。
たんぱく質は、成長期の犬であれば筋肉や骨の成長のために必要です。
高齢期の犬の場合は筋肉の衰えを抑えるためにと、どのライフステージの犬にとっても重要な役割を果たす栄養素です。
ビタミンB12
ビタミンB12(コバラミン)は、赤血球・たんぱく質の合成等に必要となるビタミンです。
なお、ビタミンB12は、微生物により生成されるため、野菜が中心の食生活でない限りは不足する事はないと考えられています。
ビタミンD
ビタミンD(カルシフェロール)は、リン・カルシウムの代謝をコントロールしているビタミンです。
人は、日光(紫外線)を浴びることでビタミンDを作り出すことが出来ますが、犬は作り出すことができません。
そのため、犬は食事などからビタミンDを摂取する必要があります。
DHA・EPA(オメガ3系脂肪酸)
オメガ3系脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)は、記憶力の向上や集中力を保つ効果が期待できる栄養素です。
脳の活性化が期待でき、オメガ3脂肪酸(特にEPAやDHA)は皮膚の健康や炎症緩和に有効です。
皮膚の弱い犬や高齢犬、四肢に痛みがある犬におすすめです。
カリウム
カリウムは、細胞が正常に働くために必要なミネラルです。
ミネラルによる疲労回復効果だけでなく、体内の余分な塩分を排出する作用も持っており、免疫力維持や血圧を下げて健康状態を保つ効果が期待できます。
犬の体内からカリウムが不足してしまうと「低カリウム血症」になる恐れがありますが、逆に過剰なカリウムを摂取した場合にも「高カリウム血症」になるので、カリウムの摂取量には注意が必要です。
鉄分
鉄分には、貧血予防に最適なミネラルです。
犬が鉄分不足になる事はあまりないと言われていますが、鉄分を取らない生活が続くと貧血を引き起こします恐れがあります。
食が細かったり、生理中であると鉄分が足りなくなるケースが多く見られます。
犬の手作りマグロレシピ3選|ふりかけやスープなど

愛犬のために簡単に作れるマグロを使ったレシピを、3つ紹介します。
トッピングにおすすめ!野菜とマグロの愛犬スープレシピ
【準備する食材】
・まぐろ 150g ・水 500cc ・人参やキャベツなどの野菜(お好み)
調理方法
① 骨を取ったマグロとお好みの野菜を食べやすい大きさにカットします。
② 鍋に水を入れてまぐろを加熱します。火が通ったら取り出しておきましょう。
③ まぐろを加熱する時に使った鍋に野菜を入れます。
※火が通りにくいものから入れていきましょう。
④ 野菜に火が通ったら、まぐろを加えて一煮立ちされたら完成!
犬に危険な食材を除き、どのような野菜でも作れるため、愛犬の好みに合わせて作ってあげましょう!
犬が食べて良い野菜が分からない方は、【犬が食べて良いもの・悪いもの】をご確認ください。
手軽に作れる!愛犬のまぐろフレークレシピ
【準備する食材】
・まぐろ(適量) ・お湯(適量)
調理方法
①まぐろが浸かる量のお湯で、まぐろを湯煎します。
②水気をしっかり取り、粗熱を取ります。
③骨を取り除きながら、細かくなるまでほぐす。
※手でやると、骨を見つけやすいので取り残しが減ります。
④いつものご飯に混ぜてあげたら完成です!
準備するものも少ないので手軽に作れて、愛犬も喜ぶ簡単ふりかけです!
簡単!犬のまぐろジャーキーレシピ
【準備する食材】
まぐろ(適量)
調理方法
①まぐろを厚さ4ミリほどに切る
※冷凍したまぐろを冷蔵庫で数十分から数時間解凍すると、半解凍状態で切りやすくなります。
②キッチンペーパーなどで、しっかりと水気をきる。
③お互いにつかないように間隔をあけて並べ、オーブンレンジで190度に設定し10分〜20分間程度焼いて、水気がしっかりとんだら完成!
※まぐろの厚さやオーブンレンジの性能などで、焼く時間が変わります。まぐろの状態を確認して時間を調整してください。また、途中で裏返すと水気がとびやすいです。
適度に硬さがあってストレス解消効果があり、手作りで添加物などの心配がないので、安心して与えられるおやつですね!
犬の手作りカツオレシピ2選|刺身を使った簡単レシピなど

愛犬のために簡単に作れるカツオを使ったレシピを、2つ紹介します。
簡単!カツオステーキと3種のお野菜レシピ
【準備する食材】
・刺身用カツオ 150g ・ブロッコリースプラウト 40g ・小松菜30g程度 ・トマト 50g
調理方法
① 刺身用のカツオを愛犬が食べやすいサイズにカットして、網型に切り目を入れて裏表の表面を軽く焼きます。
② 小松菜をそのまま茹でて、茹でた後に消化しやすいようみじん切りにします。
③ トマトを加熱してカットした後にミキサーでスープ状にします。
※トマトに含まれる「リコピン」は、加熱することで吸収性が高まります。
④ マグロステーキにに②・③とお好みでカットしたブロッコリースプラウトをトッピングします。
カツオとオクラのネバネバ簡単レシピ
【準備する食材】
・カツオ 100g ・オクラ 40g ・人参 30g
調理方法
①カツオを愛犬が食べやすいサイズにカットして、加熱します。
②オクラは消化しずらいので、ネバネバが出るまで細かくみじん切りにします。
③人参をすり下ろします。
④ ①〜③をよく混ぜて完成です!
準備するものも少ないので手軽に作れて、愛犬も喜ぶ簡単トッピングレシピです!
犬にマグロやカツオを与える時の注意点

犬にマグロやカツオを与える時の注意点
・人間用であっても鮮度に注意する ・骨は必ず全て取り除く ・調味料は使わない ・アレルギーに気をつける ・寄生虫に注意する ・生の魚は継続的に与えない
鮮度に注意する
新鮮なマグロやカツオであれば生で与えても問題ありませんが、心配な方は念のために加熱しましょう。
しかし、加熱すれば鮮度が悪いものを与えて良いわけではありませんので、買ってから日が経っていたり色が悪いものは与えない方が安全です。
なお、生で与える場合は継続的に与えないようにしましょう。
ヒスタミン食中毒に注意する
「ヒスタミン」と呼ばれる成分を持っている魚を食べる事で引き起こされる食中毒が、「ヒスタミン食中毒」です。
主な症状は、以下通りです。
- 下痢や嘔吐
- 目眩
- 蕁麻疹など
カツオが元から持つヒスチジンと呼ばれる成分が、細菌の作用によりヒスタミンに変化します。
常温の環境にさらされると、ヒスタミンを生み出す細菌が増えるため、食中毒の危険性が高まるため、管理には注意しましょう。
ヒスタミンは加熱しても分解する事が難しいため、生のカツオを買うときは新鮮なものを選び、常温で放置せずにすぐに冷蔵庫に入れるようにしましょう。
※参考:厚生労働省,食中毒,ヒスタミンによる食中毒について,2021年10月4日閲覧https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130677.html
黄色脂肪症に注意する
犬にカツオを過剰に摂取させてしまうと、黄色脂肪症(イエローファット)を引き起こす恐れがあります。
カツオなどの青魚に多く含まれる飽和脂肪酸が、身体に蓄積されすぎる事で発症するのが黄色脂肪症です。
黄色脂肪酸の症状一例は、以下通りです。
- 被毛の艶がなくなる
- 腹部に触れると嫌がる
- 歩き方がぎこちなくなる
- 腹部の下にしこりが出来る
骨は取り除く
取り除いたと思っていても、マグロやカツオに小骨が入っている可能性があります。
心配な方は、骨を取った後に細かくカットしたり、フードプロセッサーでペースト状にすると良いでしょう。
調味料は使わない
人間はマグロやカツオを食べる際に醤油やワサビ、生姜を使いますが、犬に与える場合は使用してはいけません。
醤油は多くの塩分を含んでいるため、塩分過多により腎臓へ負担がかかったり、高ナトリウム血症を起こすおそれがあり危険です。
ワサビも犬には刺激が強すぎるため、胃に負担がかかり下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
アレルギーに気をつける
愛犬に初めて与える食材のアレルギーチェックは、どの食材でも必要です。
マグロやカツオを与える場合にも行いましょう。
まぐろを少量与えて、食後数時間で愛犬に何かしらの症状が出なければアレルギーリスクは少ないと考えられますが、念のため時間問わず愛犬の様子を細かく観察しましょう。
しかし、量を増やすことでアレルギー反応が起こる場合もあるので、いきなり多く与えるのではなく徐々に量を増やす事が大切です。
まぐろを与えた後に少しでも愛犬の様子がおかしいと思った場合は、早めに獣医に相談しましょう。
なお、アレルギー(アトピー)や皮膚病について詳しく知りたい方は【愛犬に免疫力を高める生活を!トイプードルの皮膚と免疫力の関係】をご確認ください。
アニサキスなどの寄生虫に注意
アニサキスは、マグロやカツオだけでなくサケやサバ、サンマ、アジ、イカなどの魚の内臓に入り込む寄生虫です。
アニサキスが寄生している生の魚を食べてしまうと、寄生虫(アニサキス)が胃・腸に刺さり、アニサキス食中毒を発症します。
アニサキス食中毒で出やすい症状は、以下通りです。
- 胃や腸の激しい痛み
- 嘔吐などの消化器系症状
アニサキスは熱に弱いため、加熱調理(茹でる・焼くなど)をすれば、アニサキス食中毒を防ぐことが出来ます。
「70度以上での加熱」または、「60度で1分間加熱」するように、厚生労働省のHPにて記載されています。
また、茹でる・焼くなどの加熱調理以外にも、「-20度で24時間以上の冷凍」も推奨されていますので、状況に応じてアニサキス対策を行ってください。
他にも、生のカツオ(刺身など)を食べる時に何度も噛むことでもアニサキス食中毒を予防できますが、犬の場合は飲み込んでしまう事が多いので、細かくカットするとより安全に与える事ができます。
※参考:厚生労働省,食中毒,アニサキスによる食中毒を予防しましょう,2021年10月4日閲覧https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
生のまぐろは継続的に与えない
どんなに新鮮であっても生の魚には、酵素である「チアミナーゼ」が含まれています。
この成分を継続的に摂取し続けるとビタミンB1欠乏症を引き起こす危険性があるので、まぐろを継続して与える場合は必ず加熱しましょう。
ビタミンB1欠乏症になると、運動失調やふらつき睡眠障害を中心とした神経症状が多く見られるようになります。
なお、まぐろ以外のおすすめ食材については【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】をご確認ください。
犬に与えて良いマグロ・カツオ以外の魚

犬に与えて良い魚は、マグロやカツオだけではありません。
犬に与えることができる魚を一部ご紹介します。
サーモン
サーモンは、以下のような栄養素が含まれるヘルシーで健康的な食材です。
- ビタミン
- タンパク質
- アスタキサンチン
- コラーゲン
- DHA・EPA
ウナギ
うなぎは、主に以下栄養素が豊富に含まれる食材です。
- カルシウム
- ビタミン
- ミネラル
うなぎに含まれるビタミンには、目の健康や疲労回復などの効果が期待できます。
与えるときは、犬が喉に詰まらせたりしないように小骨を取り除き、しっかり加熱したものを与えましょう。
なお、うなぎについて詳しく知りたい方は【犬にウナギを与えても大丈夫?注意点や与え方】をご確認ください。
犬に与えてはいけない魚

魚の中には、与えると逆に健康トラブルを引き起こす恐れがある魚もあります。
ここでは、犬にリスクのある魚の一部を紹介します。
しらす・ししゃも
しらすなどの小魚は生の状態・加工状態関係なく塩分を多く含んでおり、ししゃもは塩をまぶしてから干しているため塩分を多く含みます。
犬に塩分が多い食材を与えると、心臓病や高血圧など病気のリスクが高くなるので注意しましょう。
愛犬の状態に合わせて適した魚を与えよう!

マグロやカツオはアミノ酸スコア100で犬にメリットも多い食材です。
しかし、同時に注意点も多くあるため必ず守って与えることが大切です。
愛犬の健康維持のために、上手にまぐろを活用しましょう。
その他の食材については、【犬が食べて良いもの・悪いもの】・【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】をご確認ください。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。