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犬の歯周病が体に悪影響を及ぼすのは、口腔内だけとは限りません。
放置すると心臓・腎臓・肝臓などの病気を引き起こす原因にもなり得ます。
そのため、すでに付着している歯石は動物病院で除去する必要がありますが、気になるのは歯石取りにかかる費用ではないでしょうか。
また、老犬の飼い主さんは年齢的に歯石取りができるか不安ですよね。
この記事では犬の歯石取りの相場費用だけではなく、麻酔のリスクについても詳しくお伝えします。

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犬の歯石取りは何歳から?歯石を取った方が良いケース
犬の歯石取りは年齢で決めるのではなく、歯石の付き具合や歯肉がどの程度炎症を起こしているかで判断しましょう。
毎日歯を磨いている犬の歯は老犬になっても白くきれいなままで、歯周病とは無縁ということも珍しくありません。
しかし、歯磨きをまったくしていない犬は、年齢が若くても歯周病にかかっていることもあります。
歯石の付き具合が軽度の場合
犬の歯の表面が黄色~薄茶に変色している程度の軽度の歯石は、すぐに動物病院を受診するほどの緊急性はありません。
ただし、一度歯に付着した歯石が自然に剥がれ落ちることはなく、通常の歯磨きで除去することもできないため、そのまま放置は絶対にNGです。
これまで犬の歯磨きをしてこなかった飼い主さんは、愛犬の歯に軽度の歯石がついているのを見つけたら、まずは日常的な歯磨きを実践することから始めましょう。
そのうえで次に動物病院を受診した際に、獣医師に歯石取りについて相談することをおすすめします。
軽度の歯石は全身麻酔をかけずに処置できる場合もありますが、いずれにしろ獣医師とよく相談して決めるのが一番です。
歯石がつくと歯周病にかかる理由:歯石が付くと歯の表面積が大きくなり、これまで以上に歯垢が付きやすくなります。すると歯の表面がデコボコになり、より一層溜まる歯垢の中で増殖した細菌の作り出す毒素が歯茎に炎症を起こし歯周病にかかります。
歯石の付き具合が中等度~重度の場合
歯石がついている犬の口の中が次のような状態の場合は、できるだけ早めに動物病院で歯石取りをした方がよいでしょう。
- 歯と歯の間や歯の根元に歯石がびっしりと付いている。
- 歯肉が赤くなっている。
- 歯肉に膿がたまっている。
- ぐらぐらしている歯がある。
- 食欲が落ちてきている。
歯肉が赤くなっているのは、歯垢の中で増殖した細菌が出す毒素の影響で、歯肉に炎症が起きるからです。
歯肉の炎症が慢性化してしまうと歯周ポケット(歯と歯茎の間の隙間)ができ、その中でさらに細菌が増殖して歯周病が進行していくという、悪循環に陥ることになるでしょう。
また、 このところ愛犬の食欲が落ちてきているのは、歯や顎の痛みで食べたくても食べられないことが原因かもしれません。
歯周病が進行すると歯がぐらぐらして抜け落ちてしまったり、顎の骨にまで細菌の毒素の影響が及んでしまうとちょっとした衝撃で折れる恐れもあります。
重度の歯周病の治療:歯石取りだけでは治療できない場合はぐらぐらしている歯を抜歯したり、炎症の程度がひどい歯肉部分を切除することもあります。
なお、口臭が気になる犬の場合は【犬の口臭の原因と自宅ケア方法】もあわせてご確認ください。
犬の歯石取りの相場費用

犬の歯石取りの費用は3万円から6万円程度が相場です。
動物病院それぞれの考え方や施術内容によって料金には違いがありますが、おおむね以下の要因によって金額は算出されています。
- 歯石取りを受ける犬の体重
- 抜歯の有無
- 施術に必要な麻酔の量と仕上げまでにかかる時間
犬の歯石取りの料金内訳
動物病院で行う犬の歯石取りは、ただガリガリと歯石を削るだけではありません。
歯石取りの費用には安全かつ確実に施術を行うために、以下のような項目が含まれています。
- 診察
- 血液検査
- 全身麻酔
- レントゲン撮影
- 血管確保
- 歯間と歯表面の歯垢と歯石除去
- 歯周ポケットの歯垢と歯石除去
- 抜歯と抜歯部分の歯肉縫合(必要に応じて)
- 歯石再付着防止の研磨
- 口内の殺菌と抗生物質注入(必要に応じて)
歯石の付着が少なく歯周病が軽度であれば、抜歯や縫合が必要ない分施術料金は抑えられるはずです。
しかし、抜歯する本数が多ければそれだけ麻酔や時間が必要となり、料金も加算されることになるでしょう。
また、歯石取りの費用は小型犬<中型犬<大型犬の順で高くなるのが一般的です。
血管確保とは:歯石取り施術中に緊急事態が起きた場合、すぐに処置や治療の薬剤を静脈注射できるように、あらかじめ血管にカテーテルを挿入しておくこと。
犬の歯石取りに必要な費用の一例(小型犬・抜歯なし)
東京都内A動物病院の歯石取り費用 \54,450(税込)
歯石取り費用の内訳
診察¥1,100 / 処置前血液検査¥9,350 / レントゲン2枚¥5,500 / 血管確保¥3,300 / 静脈点滴処置¥2,200 / 静脈点滴薬価¥1,100 / 麻酔前投与薬¥4,400 / 吸入麻酔¥16,500 / 歯石スケーリング¥7,700 / 歯石処置後の研磨¥3,300(抜歯が必要な場合は別途)
広島県B動物病院の歯石取り費用 ¥32,280(税込)
歯石取り費用の内訳
血液検査17項目・CRP検査・血液凝固検査¥22,660 / 歯石除去費(抜歯なし)¥9,680
千葉県C動物病院の歯石取り費用 ¥33,000円(税込)
歯石取り費用の内訳
施術一式:診察料 / 血液検査 / 麻酔 / 点滴 / 抗生剤 / 鎮痛剤 / 入院費用(抜歯が必要な場合は別途)
上記3例の歯石取り費用を見てわかるように、施術内訳や料金は動物病院ごとに異なります。愛犬の歯石取りを検討しているなら、まずはかかりつけの動物病院で施術内容や料金の説明を受けましょう。

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犬の歯石取りの麻酔リスク
犬の歯にびっしりとこびりついた歯石を安全に除去するには、全身麻酔が欠かせません。
なぜなら麻酔をかけずに歯石取りをすると犬が痛みや恐怖を感じたり、不用意に動いたことで顎の骨が折れるといった危険性があるからです。
しかし、飼い主さんの中には全身麻酔のリスクが心配で、愛犬の歯石取りに踏み切れない方もいらっしゃることでしょう。
全身麻酔のリスク:血圧低下・肝機能低下・呼吸抑制(呼吸困難)など
全身麻酔には上記のようなリスクがあるのは事実ですが、動物医療の進歩とともに麻酔の安全性は高まっています。
歯石取りの施術前に診察や各種検査を実施するのは、体の状態や持病を正確に把握することで麻酔の安全性をより高めるためです。
また、年齢的に老犬だから全身麻酔は無理ということもなく、むしろ歯周病の痛みや食欲不振から解放してあげることで、今より楽しいシニア犬ライフが送れるようになるのではないでしょうか。
全身麻酔をかけて歯石取りをするメリット:・歯の隅々まで時間をかけてしっかり歯石や歯垢を除去できる ・不用意な動きによるケガのリスクがほぼない ・犬が痛みや恐怖を感じない ・歯周ポケットの奥まできれいにできる ・歯石除去後の歯をツルツルに研磨しやすい ・必要に応じて抜歯できる
犬の歯石取りにペット保険は適用される?

ペット保険会社によって犬の歯周病に保険が適用される場合と補償対象外の場合があり、必ずしも一律ではありません。
また、「歯周病の治療」には保険が適用されても「歯周病の予防」を目的とした歯石取りは補償対象外の場合もあります。
これからペット保険の加入を検討されている飼い主さんは、歯周病を含め「どのような病気に保険が適用されるのか」、「愛犬の犬種がかかりやすい病気に保険が適用されるのか」をきちんと確認。
そうすることで、いざという時「加入して良かった!」と思えるのではないでしょうか。
すでにペット保険に加入している場合は、歯周病が補償対象に含まれているかを確認しておきましょう。
歯石取りで愛犬のお口の健康を取り戻そう
犬の歯石取りは何歳からと年齢で判断できるものではありません。しかし、歯磨きや口腔内健診といったオーラルケアの理想的な開始年齢が子犬期であることは確実です。
また、愛犬の歯石は気になるけれどすでに老犬だからと年齢的な問題であきらめず、まずはかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
もうヨボヨボだと思っていた愛犬が歯石取りでご飯が食べられるようになり、活力を取り戻すこともあります。
歯石は付かないことが一番ですが、付いてしまった歯石はしっかり除去して健康長寿を目指しましょう。
なお、犬の歯磨きについては【犬のおすすめデンタルケア方法】をご確認ください。

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過去にブリーディング、ドッグショー、犬の飼い方相談を中心にインターネットペットショップ店長として東奔西走。これまで一緒に過ごした愛犬は、ジャーマンシェパード、フラットコーテッドレトリーバー、柴犬、北海道犬、イタリアングレイハウンド、ミニチュアシュナウザー、パグ×パピヨンのMIX。現在は13才のMシュナウザーとともにペット関連中心のライターとして活動中。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。