- 犬の食事
犬用おやつや手作りご飯のレシピでも目にするようになったホタテですが、犬に貝類はダメと言われているのに、ホタテは食べても大丈夫なのか気になっている飼い主さんは多いのではないしょうか。
今回は、愛犬にホタテを与えたいと思っている飼い主さんのために、犬にホタテを与えても大丈夫なのかと、注意点や与え方についてご紹介します。
ホタテをおやつとしてだけでなく、手作りご飯の材料にしたいと思っている飼い主さんは必見です。
なお、愛犬のご飯の食材に悩んでいる方は【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】も合わせてご確認ください。

犬にホタテはOK?

結論から言ってしまえば、犬がホタテを食べても大丈夫な部位とダメな部位があるため、与えるときは十分に注意しなければいけません。
ホタテは犬に嬉しい効果が期待できますが、与え方を間違えると中毒を起こしてしまったり、犬の健康を害することもあります。
正しい与え方や注意点を知って、愛犬の健康を害することなくホタテを食べさせてあげましょう。
また、現在おやつでホタテを与えている飼い主さんでは、愛犬に食べさせても大丈夫かもう一度確認してください。
その他、犬に与えてはいけない食材や与えて良い食材については【犬が食べて良いもの・悪いもの】をご確認ください。

犬に与えて良いホタテの部位やダメな部位

犬用おやつなどで販売されているホタテは犬が食べることのできる部位だけを使用していますが、殻付きのホタテを購入した場合は飼い主さんがホタテをさばく必要があります。
ホタテには犬に与えても良い部位とダメな部位があるため、しっかり覚えておきましょう。
犬に与えても良いホタテの部位
犬に与えても良いホタテの部位は貝柱とヒモです。お刺身用や下処理のしてあるホタテでは貝柱のみ販売されていたり、貝柱とヒモだけが販売されていることがほとんどです。
- 貝柱
貝の真ん中にある白くて大きな部位が貝柱です。
- ヒモ
貝の一番外側、ホタテの身をぐるっと囲っている部位がヒモです。
犬に与えてはダメなホタテの部位
犬に与えてはダメなホタテの部位には毒素が溜まりやすいため、犬が中毒を起こしてしまう可能性があります。
- 中腸腺(ウロ)
黒っぽい色や濃い緑色をした部位です。ホタテの内臓のようなもので、人間でも食べてはダメな部位なので犬には絶対に与えないでください。
- エラ
貝柱とヒモの間にある濃いベージュ色の部位です。こちらも人間でも食べないほうがいいとされる部位なので、犬に与えてはいけません。
- 生殖腺
エラの下にある部位で、オスは白色で白子、メスは赤色やオレンジ色で卵になっています。人間は食べることができる部位ですが、犬には与えないでください。
犬が食べてはダメなホタテの部位を食べたら
犬が誤ってホタテのダメな部位を食べてしまったときは、中毒症状がないかよく観察してください。
<ホタテの主な中毒症状の一例>
- 嘔吐
- 下痢
- よだれ
- ふらつき
- 痙攣
- 眼振
- 震え
このような症状が見られたり、少しでも様子がおかしいと感じたときは動物病院を受診してください。

犬にホタテを与えるメリットと注意点

犬にホタテを与えるメリットや、与える際に注意しなければいけないことはどんなことがあるのでしょうか。
犬にホタテを与えるメリット
ホタテは人間にとって栄養価の高い健康食材です。そんなホタテは、犬にとっても美味しくて嬉しい効果がたくさんあります。
高たんぱくで低カロリー
タンパク質が豊富で低カロリーなホタテは、少ないカロリーで犬の体に必要なタンパク質を摂ることができるため、老犬やダイエット中の犬にもおすすめです。
なお、同じく高たんぱく高カロリーなささみについては【犬にささみを与えるメリット&おすすめレシピ】をご確認ください。
嗜好性
ホタテは嗜好性があるため、食欲の落ちた犬のフードのトッピングや手作りご飯の材料にも最適です。
健康効果が期待できる
ホタテはミネラルが豊富でビタミンも豊富な健康食材です。犬に与えることでさまざまな健康効果が期待できます。
- 水溶性ビタミンの補給
ホタテの貝柱には葉酸が豊富に含まれており、血を作りだすために欠かせないビタミンです。
また、ホタテに含まれるビタミンB12は、タンパク質や赤血球の合成には欠かせないほか、体内酵素の補助や代謝を促進させるといった働きもあります。
犬は葉酸やビタミンB群を体内で作り出すことはできないため、食事などで補ってあげる必要があります。
- タウリンの補給
ホタテの貝柱にはタウリンが豊富に含まれています。犬は体内でタウリンを作り出すことができますが、犬の体に必要なタウリンの量を作り出せているとは限りません。
タウリンは犬の生命維持には欠かせない成分の1つであり、抗酸化作用や糖尿病の予防、動脈硬化や高血圧の予防、心臓や肝臓の機能を改善するといったさまざまな効果が期待できます。
犬にホタテを与えるときの注意点
ホタテを犬に与えることはさまざまな効果が期待できますが、与え方を間違えてしまうとせっかくの健康食材も犬の体に害をもたらしてしまうこともあります。
犬のおやつやフードのトッピング、手作りご飯の食材として使用することができるホタテですが、注意点を守って正しく与えましょう。
アレルギーに注意
ホタテに限らず、どんな食材であっても犬に初めて与えるときは、アレルギーのリスクがあることに配慮して、少量から始めましょう。
<アレルギー反応の主な症状>
- 下痢や嘔吐
- 皮膚の赤みや発疹
- 体を痒がる
- 目の充血
犬にホタテを与えたあとは愛犬の様子を観察して、症状が現れた場合は獣医師に相談するようにしてください。
与える量に注意
犬にホタテを与える際は、犬が必要な1日のカロリーの10%程度にしましょう。
また、犬用おやつで干したホタテ貝柱や乾燥させた貝ヒモもなどが販売されていますが、ホタテを干すと小さくなりカロリーも高くなるため、カロリーや塩分などをおやつのパッケージで確認して、与えすぎないようにしてください。
塩分に注意
味付けされたホタテを与えないことはもちろんですが、味付けされていない生のホタテ、乾燥させたホタテ、ホタテの水煮など、ホタテはとても塩分が多いため犬に与える際は真水でしっかり洗うか、真水に浸けて塩抜きしてから調理してください。
生では絶対に与えない
犬が食べても大丈夫なホタテの部位は貝柱とヒモですが、大丈夫だからといって生で与えてはいけません。
生のホタテにはビタミンB1を破壊してしまう「チアミナーゼ」という酵素があります。
犬は水溶性ビタミンであるビタミンB1を体内で合成することができないほか、留めておくことができないため、毎日摂取しなければいけない栄養素です。
貴重なビタミンB1を破壊されてしまうと、ビタミン欠乏症になってしまうこともあります。チアミナーゼは加熱することで効果がなくなるため、ホタテは生で与えずに必ず加熱してください。
また、ホタテだけでなく生の魚介類にもチアミナーゼは含まれているため、十分に注意しましょう。
細かく刻む
ホタテの貝柱や貝ヒモを与えることは犬にとってメリットもありますが、ホタテは消化が悪く消化不良を引き起こしてしまうことがあります。犬にホタテを与える際は、細かく刻んであげましょう。
リンの摂取制限がある犬は干したホタテに注意
干したホタテの貝柱には、100g当たりおよそ610mgのリンが含まれています。腎臓病などでリンの摂取を制限されている犬では、おやつなどの干したホタテを与える際は過剰摂取にならないように注意が必要です。
犬にホタテを食べさせるときは与え方に注意しよう!

今回は、犬にホタテを与えても大丈夫か、またホタテを与えるときの注意点や与え方についてご紹介しました。
ホタテを犬に食べさせるときに注意することはありますが、正しく与えれば犬に嬉しい健康食材です。
ホタテを使用した犬の手作りご飯のレシピもたくさんあるため、おやつや普段のフードのトッピングとしてだけでなく、手作りご飯の食材としても上手に活用してみましょう。
その他、うちのトイプーでは犬の食事について幅広くご紹介しておりますので、興味がある方は【犬の食事カテゴリー】もご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。