- 犬のしつけ
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子犬を迎え入れると最初に頭を抱えるのが、何からしつけをしたらいいのか、どう教えたらいいのかわからないということではないでしょうか。
覚えさせることがたくさんある子犬期のしつけはとても大変ですが、ポイントを抑えればそこまで難しいものではありません。
今回は、子犬を迎えたばかりの飼い主さんや、子犬の問題行動に悩む飼い主さんのために、子犬期に行っておきたい基本のしつけや方法をご紹介します。
なお、トイプードルを飼っている方は【トイプードルのしつけで大切なことは?】も合わせてご確認ください。

子犬はいつまで?

そもそも、子犬とはいつまでを指すのでしょうか。犬は人間と異なり、年の重ね方がとても早いです。
犬は最初の1年で急激に成長し、人間の年齢に換算すれば小型犬では1年で17歳、大型犬では12歳!
1年でこれだけ成長するのですから、子犬期はあっという間であることがお分かり頂けるのではないでしょうか。
子犬期は犬種や個体差によっても異なりますが、小型犬では生後10ヶ月頃、中型犬では生後1年頃、大型犬では生後1年6ヶ月頃までを子犬といいます。
【一般的な子犬のライフサイクル】
- 生まれてから生後2週齢までを新生子期
- 生後2週齢から生後3週齢までを移行期
- 生後3週齢から生後13週齢までを社会化期
- 生後6ヶ月齢から1歳までを若齢期
子犬期のしつけの重要性

子犬期はあっという間に過ぎていきますが、だからこそ1日1日がとても重要で、この時期は子犬にとってさまざまなことを学ぶ期間です。
子犬は警戒心や恐怖心が少なく、性格が構築される前にしつけを行うことで、問題行動の予防やその後の犬との生活に大きく影響してきます。
特に生後3週齢から生後13週齢までの社会化期はいろいろな場所や環境、他の人や犬に慣れさせることがとても大切です。
子犬の社会化期に経験しておくべきこと
子犬の社会化期では、しつけと並行してさまざまな刺激に触れさせてあげなければいけません。
- 子犬を連れて行く可能性のある場所に一緒に行く
散歩コース、人混み、動物病院、トリミングサロン、ドッグカフェなど
- 子犬に関わりを持つ可能性がある人と触れ合わせる
獣医師、トリマーなど
- ほかの犬と触れ合わせる
犬の幼稚園や保育園を利用、友人の犬など
- 家の中にいて聴こえてくる可能性のある音を聞かせる
インターフォンの音、電話の音など
子犬の社会化期に並行して行っておきたいこと
- 首輪やハーネスに慣らさせる
生後2ヶ月齢から生後3ヶ月齢の子犬は、首輪やハーネスをつけることにそこまで抵抗することはありません。
この時期に首輪やハーネスに慣れてもらうことが大切です。つけることを嫌がるようであれば、つけたら必ず褒めることを徹底することで子犬に首輪やハーネスを受け入れてもらいやすくなります。
- どこでも体を触らせてもらえるようにする
体はもちろん、耳の中や口の中、肉球を中心に四肢の裏など、どこでも触れることができるように毎日少しずつ触ったり撫でたり、抱っこをして子犬が触られることに慣れさせましょう。
これは、飼い主さんによる日々のケアはもちろん、動物病院やトリミングサロンを利用する際にも、他の人を噛んだり暴れたりして危険な事態を招かないためにも大切なことです。
その他、触れられることに慣らすことで、成犬時に犬自身のストレス軽減をすることもできます。
しつけは、全て一度に行うことはとても大変です。しつけによっては社会化期が過ぎてからでも問題のないものもあるため、しつけを覚えさせる順番を考えて取り組みましょう。

子犬期に行っておきたいしつけと方法

子犬期に行っておきたいしつけはたくさんありますが、基本となるものをご紹介します。
トイレ
子犬を迎えたその日からトイレのしつけは必要です。子犬にトイレの場所を教えてあげなければ、きちんとトイレで排泄をすることはできません。
トイレのしつけで大切なことは、失敗しても叱らないことです。
粗相してしまっても冷静に無言で後片付けを行い、トイレの場所で排泄することができたらおやつを与えたり好きなおもちゃなどを与えて思いっきり褒める。
これを繰り返すことで、子犬はトイレを覚えてくれます。
トイレにしたい場所をサークルで囲い、子犬に排泄の気配が見られたらトイレに誘導して排泄の掛け声をかけながら待つ。排泄ができたら思いっきり褒めてあげることを繰り返し、トイレを覚えてもらいましょう。
また、粗相をしてしまったときに子犬のおしっこをシーツに含ませて臭いをつけて、トイレにしてほしい場所に犬のおしっこの臭いが付いたシーツを設置しておくと犬が覚えやすいのでおすすめです。
粗相してしまった場所は、再びおしっこをしてしまう恐れがあるので、しっかり除菌・消臭しておきましょう。
ハウス
ケージやクレートなど、ハウスの中で子犬が安心して休めるようにしなければいけません。
個体差はありますが、犬は薄暗くて狭い場所にいると落ち着く習性があり、ハウスのしつけは来客時や災害時などにも役立ちます。
その他、犬が安心できる自分だけのスペースを準備してあげることは、とても大切です。
子犬が興味を持つおやつやおもちゃをハウスの奥のほうに入れ、子犬がつられてハウスに入ったときに「ハウス」と声をかけます。
扉は開けたままの状態で子犬を褒め、子犬が出てきたらまたおやつやおもちゃを使ってハウスの中に入るように誘導し、入ったら褒める。
これを何度も繰り返し、子犬が自らハウスに入るようになったら扉を閉めて、数分したら扉を開けてあげます。
扉を閉めておく時間も徐々に伸ばしていき、扉が閉まっていることに子犬が慣れてきたら今度は飼い主さんがハウスから遠ざかるようにしましょう。
ハウスのしつけで大切なことは、いきなり扉を閉めないことです。数週間程度は、扉を閉めずにハウスの練習をして、犬がハウスの中が安全なスペースだと認識できた頃に短時間ずつ扉を閉めるトレーニングを行いましょう。
このとき、「扉を閉められてもいつでも出ることができる」ということを子犬に教えてあげます。
そのためには、子犬が外に出たがったらハウスから出してあげるようにしましょう。その後、最終的に完全に扉を閉めた状態で犬がリラックスできるようになったら、しつけは完了です。
なお、クレートトレーニングについて詳しく知りたい方は【犬のクレートトレーニングの必要性と方法】をご確認ください。
おいで
さまざまな場面で使用することのある「おいで」は、呼び戻しのしつけです。
家の中でもおいではよく使用しますが、お散歩中にリードが外れてしまったり、ドッグランなどでほかの犬と遊んでいるときなど呼び戻すときにも「おいで」を使用します。
呼び戻しは子犬の危険を回避して、安全を守るためにも重要なしつけなのでしっかり覚えてもらいましょう。
呼び戻しのしつけを行うときは、すぐにおやつを取り出せるように準備して、子犬が飼い主さんを意識していないときに「おいで」と呼びかけます。
子犬がその声に反応してやってきたら褒めておやつを与えてください。
おすわり
「おすわり」は、子犬の安全を守るため、または問題行動を予防するためのしつけです。
お座りしている状態は犬にとって落ち着ける体勢で、飛びかかりそうなときや飛び出してしまうときなど、興奮しているときに犬を落ち着かせることができます。
「おすわり」は、子犬のしつけの中でも比較的簡単に行うことができます。おやつを持った手を立っている子犬の鼻先に近付けて注意を惹きつけ、その手を子犬の鼻先から頭の上まで引き上げると子犬は自然と腰を落とします。
その瞬間に「おすわり」と声をかけ、子犬が座ったらすぐに褒めておやつを与えてください。
また、常に子犬が穏やかな気持ちでいられるように、お留守番させる前や帰宅した後の10分程度は飼い主さんが何事もないように自然に振る舞うことも大切です。

まて
「まて」は子犬の動きを止めたいときや、興奮しているのを落ち着かせるときなどに必要なしつけです。
走っている車を追いかけようとしたり、ドアや扉から飛び出そうとしたときにも使用することで、思わぬ事故を防ぐことができます。いつでもどこでも「まて」ができるようにしておくことが大切です。
「まて」を教えるときは、片手におやつを持ち犬をお座りさせ、おやつを持っていないほうの手を子犬の目線の上にかざして「まて」と声をかけます。
最初は2秒からはじめ、少しでも待てたら褒めておやつを与えましょう。できたら今度は「まて」の時間を4秒、5秒、6秒と徐々に伸ばしていくことが大切です。
子犬が動いてしまったら初めからやり直しをしてください。
噛み癖
子犬は歯の生え変わりで口の中がムズムズして、とにかく噛みたい時期です。噛むことをやめさせることはできませんが、人を噛むことはダメなことだと教えてあげる必要があります。
例え甘噛みであっても、遊んでる最中に飼い主さんを噛んできたときは「痛い」や「ダメ」などの言葉を落ち着いた低い声で一言発し、その場を離れて姿を消してください。
なぜ飼い主さんが遊んでくれなくなってしまったかを子犬に考えさせる時間を与え、数分経ってからまた子犬の元に戻って遊んであげましょう。
また、噛むことは犬の本能のため、噛んでもいいものも教えてあげなければいけません。噛むおもちゃなどを与えてあげることで、何でもかんでも噛んでしまうことを防ぐことができます。
噛み癖のしつけで一番大切なことは、「噛んで良いものと悪いものを教えてあげる」ことです。
なお、噛み癖について詳しく知りたい方は【犬の噛み癖の原因や今日からできる対策方法】をご確認ください。
お留守番
子犬期にお留守番を教えてあげましょう。いつまでも飼い主さんがずっとそばにいると、それが当たり前となって少しでも飼い主さんの姿が見えないと吠えるや粗相といった問題行動に繋がります。
犬によっては分離不安や脅迫性障害といった精神の病気を患ってしまうこともあるため、子犬期のお留守番のしつけはとても大切です。
いきなり長時間留守番させるのではなく、最初は5分ほど姿を消し、ちゃんとおとなしくできたらご褒美を与える、次は10分、20分と徐々に時間を伸ばして子犬がお留守番できるようにしましょう。
短時間のお留守番であれば、ハウスで過ごしてもらうといいでしょう。
子犬期のしつけで注意すること

子犬期のしつけでは、おやつを活用することが多いです。
おやつではなくいつも食べているフードをおやつ代わりにすることもできますが、おやつにしてもフードにしても、子犬にどれだけ与えたかをわかるようにしてご飯の量を調整することも忘れないようにしましょう。
また、子犬期のしつけでご褒美としておやつを与える場面はとても多いため、低カロリーのおやつなどを用意することをおすすめします。
また、叱るしつけは根本的な問題解決になりません。過度に叱るのではなく、褒めてのばしてあげることが大切です。
子犬は言葉が話せず何もかもが初めての経験ですので、分からないのは当たり前のことです。気長にしつけを行いましょう。
その他、犬の集中力は非常に短いのが特徴です。1回のしつけは5分未満で行い、効率よく行うことが大切です。
子犬期のしつけはとっても大切!焦らずゆっくり取り組もう

今回は、子犬期に行っておきたい基本のしつけや方法についてご紹介しました。
犬のしつけは年齢に関係なく行うことはできますが、覚えやすい子犬期に行うことは飼い主さんにとっても子犬にとってもストレスが少なくて効果的です。
なかなか覚えてくれなくて焦ったりイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、ゆっくりとコミュニケーションをとりながら飼い主さん自身が楽しみながら行いましょう。
また、子犬期のしつけが上手くいかないときは、ドッグトレーナーや獣医師に相談するなどして、独りで抱え込まないようにすることも大切です。
なお、しつけについて知りたい方は【犬のしつけカテゴリー】をご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。