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愛犬の熱中症対策や下痢による脱水予防に、ポカリなどのスポーツドリンクを与えたいと考える飼い主さんは少なくありません。
ポカリは、ほんのり甘くて飲みやく美味しいスポーツドリンクですが、果たして犬にポカリを与えても大丈夫なのでしょうか?
今回は、愛犬の水分補給や熱中症対策に悩んでいる飼い主さんやポカリを与えたいと思っている飼い主さんのために、犬にポカリを与えるメリットや注意点についてご紹介します。

犬にポカリを与えても大丈夫?

結論から言ってしまえば、水で薄めるなど希釈をすれば犬にポカリを与えても大丈夫です。
ポカリには、ナトリウムや炭水化物、カリウムやマグネシウム、カルシウムや糖分といった成分が含まれ、その成分は点滴に使用される輸液とほぼ同じという特徴があります。
しかし、ポカリには人間が飲みやすくするために点滴にはない成分も含まれているため、犬にとっては味が濃く、糖分や塩分が多い飲み物です。
そのため、常用的に犬にポカリを与えることはおすすめできません。飲ませるときはポカリを水で薄めるか、ペット用のポカリやペット用の経口補水液にしましょう。
また、アクエリアスも薄めることで犬に与えても大丈夫ですが、アクエリアスはポカリと成分や用途が異なり、疲労回復やスポーツ後の水分補給が目的で作られています。
アクエリアスは熱中症の対策にはなりますが、愛犬の脱水の予防や脱水症状の改善には、体への浸透が良い薄めたポカリのほうが効果が期待できます。
犬にポカリを与える3つのメリット

ポカリは、人間の体液に近い成分で作られた電解質水です。では、ポカリを犬に与えると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
熱中症対策になる
犬にポカリを与えることで、熱中症対策になります。
熱中症は体内の水分やナトリウムなどのバランスが崩れたり、上手に体温調整ができなくなっていることで起こります。
人間でも熱中症対策に水分と塩分を摂ることが大切なように、犬にも適度な塩分は必要です。ポカリにはナトリウムが含まれているため、熱中症対策にもおすすめですが、極力犬用ポカリを使用しましょう。
<犬の熱中症の主な症状>
- ボーッとしている
- フラフラしている
- 元気がない
- ぐったりしている
- 呼吸が荒い
- よだれが多い
- 嘔吐や下痢
- 吐血や血尿
- けいれん
- チアノーゼ
- 声掛けに反応しない
なお、熱中症の疑いがある場合は、 何より動物病院に連絡して、応急処置方法を獣医師に確認することが大切。速やかに対処して、必ず応急処置後に動物病院に連れて行きましょう。
また、暑い夏に限らず、1年を通して犬は熱中症になる可能性があるため、室温や湿度などは常に配慮してあげましょう。

脱水症状を予防できる
犬にポカリを与えることで、脱水症状を予防することができます。
脱水は水分だけでなく電解質も失ってしまうため、水分と電解質を同時にすばやく犬の体内に吸収してくれるポカリは脱水を起こしている犬にはポカリの効果を発揮してくれます。
犬が脱水を起こす原因は、下痢や嘔吐といったものから、熱中症、冬場の乾燥、腎不全、糖尿病、甲状腺機能低下症、胃腸炎、急性膵炎など様々なことがあります。
<犬が脱水しているときの主な症状>
- 食欲がない
- 元気がない
- 嘔吐や下痢
- 舌を出してずっとハァハァしている
- 皮膚に弾力がなくなる
- おしっこが濃い
- おしっこの量が少ない
犬に脱水しているときの症状が見られたときは、応急処置としてポカリを水で薄めるか、水を飲ませてあげましょう。
ただし、ポカリや水を飲ませただけでは十分とは言えず、脱水症状が現れると命に係わることも多いので、犬の状態が落ち着いても必ず動物病院を受診してください。
<犬の危険な脱水症状の一例>
- 立つことができない
- 歩くことができない
- 体が熱い・冷たい
- けいれんする
- 嘔吐や下痢に血が混ざる
- おしっこが出ない・少ない
- 声掛けの反応が薄い
犬にこれらの症状が見られたときは緊急を要するため、すぐに動物病院を受診してください。
低血糖の応急処置ができる
子犬では肝臓機能が未発達、成犬ではホルモンバランスの崩れや肝臓腫瘍、老犬では空腹による激しい運動や腫瘍などで低血糖になることがあります。
ポカリには糖分が含まれているため、低血糖の症状が現れたときの応急処置ができます。
<犬の低血糖の主な症状>
- 元気がない
- ぐったりする
- 嘔吐や下痢
- 震え
- 失禁
- 下半身がマヒする
- けいれんする
- 低体温
犬に低血糖の症状が見られたときは、応急処置としてポカリを水で薄めて飲ませる、または砂糖水を飲ませる方法があります。
ただし、応急処置方法含め、低血糖の犬については獣医師の指示に従って対処することが大切です。
犬にポカリを与える際の注意点

ポカリを与えることは犬にとってメリットもありますが、注意しなければいけないこともあります。ここでは、犬にポカリを与える際の注意点をご紹介します。
犬にポカリを与えるときは量に注意する
犬にポカリを与えるときは与えすぎないようにしましょう。水で希釈したポカリであっても、ペット用ポカリであっても、犬にとっては甘みがあって飲みやすくたくさん飲んでしまいます。
水分を多く摂取するとおしっこの回数が増えるのはもちろん、軟便や下痢を引き起こしてしまうこともあります。
犬にポカリを与えるときは、一度にたくさん与えないようにしましょう。
ペット用ポカリなどでは1日に与える量の目安が書かれているので、ラベルの給与量を目安にしてください。
犬に与えるポカリは常温にする
暑いときなど、犬に冷たいポカリを与えたくなってしまうかもしれまんが、冷たさでお腹を壊して下痢や軟便になってしまう可能性があり、常温のポカリを与えるほうが安心です。
冷蔵庫で冷やしていたポカリを応急処置で犬に与える場合は、常温の水で希釈することで冷たさも和らぎます。
犬に人間用のポカリやアクエリアスを与えるときは希釈する
熱中症や脱水の予防や応急処置として人間用のポカリやアクエリアスを犬に与える場合は、ポカリやアクエリアスの量の3~4倍の水で希釈してから与えてください。
水で希釈したポカリは成分濃度も薄めることができるため、与えすぎなければ熱中症対策や脱水の予防に有効です。
- ペット用ポカリの作り方に注意
ペット用ポカリでは、粉末タイプのものとペットボトルに入ったものが販売れています。
粉末タイプのポカリは必ず作り方が記載されているので、作り方の指示に従ってください。
犬にポカリを毎日与えない
水で希釈したポカリもペット用ポカリも、甘みがあり嗜好性がある飲み物です。犬にポカリを毎日水代わりに与えてしまうと、普通の水を飲まなくなってしまうこともあります。
また、ポカリにはペット用ポカリであっても添加物や糖分が含まれているため、愛犬の健康のためにも常用するのはやめましょう。
腎不全を患っている犬は獣医師に相談する
腎不全を患っている犬では、腎臓が正しく機能しないため、犬に必要な水分を体内に残しておくことができずに脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。
腎不全の犬の脱水症状を防ぐためには、水分補給が重要となってきますが、腎不全を患っている犬に与えると、ポカリに含まれる糖分や塩分によって腎不全を悪化させてしまう可能性もあります。
そのため、腎不全を患っている犬にポカリを与える際は、例えペット用のポカリであっても必ず獣医師に相談してからにしてください。
ポカリ以外のおすすめ水分補給3選!

ポカリは応急処置や一時的な対策などでは犬にも有効ですが、水分補給として毎日与えることはおすすめできません。
ここでは、ポカリ以外のおすすめの水分補給についてご紹介します。
- ウェットフード
ドライフードの水分量は10%程度ですが、ウェットフードの水分量は75%程度と水分が多く含まれています。
ウェットフードはドライフードに比べて消化の負担も少なく、食いつきの良さも期待できるため、食欲が落ちていたりあまり水を飲もうとしない犬の水分補給におすすめです。
- 手作りごはん
手作りごはんはもともと水分量が多めですが、作り方によっては犬が口にする水分量をもっと多くすることができます。
スープ風にしてみたり、水分の多い食材を使用するなど作り方次第で犬の水分補給のサポートになります。
- 手作りスポーツドリンク
犬用に手作りでスポーツドリンクを作ってあげることもできます。作り方は簡単で、水1リットルに蜂蜜が大さじ1と天然塩を小さじ1を混ぜるだけ。
冷蔵庫で保存すれば3日間はもつため、与える量だけを常温にして与えてあげましょう。

犬用ポカリを与えよう!

今回は、犬にポカリを与えるメリットや注意点についてご紹介しました。
ポカリは犬にとって飲みやすく、上手に活用すれば熱中症対策や脱水症状の予防や応急処置、低血糖の応急処置などに役立ってくれます。
しかし、与えすぎたり水代わりに与えるのは犬のためになりません。あくまでも一時的な水分補給にとどめ、与える場合は、極力犬用のポカリを与えるようにしましょう。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。