- 犬の食事
独特で爽やかな香りのする紫蘇は、その匂いから「犬に与えてはいけない」と避けている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
紫蘇は、大葉といった名前でも販売されており脇役的な存在ですが、その栄養素は侮れないほど素晴らしいものです。
今回は、愛犬に紫蘇を食べさせてみたい飼い主さんや、手作りご飯の食材で悩む飼い主さんのために、犬に紫蘇を与えても大丈夫なのかと、犬に紫蘇を与えるメリットやレシピをご紹介します。
なお、愛犬の手作りご飯の食材に悩んでいる方は【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】も合わせてご確認ください。

犬に紫蘇を与えても大丈夫?

結論から言うと、犬に紫蘇を与えても大丈夫です。
脇役に思われがちな紫蘇ですが、その栄養価は高く、犬の健康維持に役立つ栄養素がたくさん含まれています。
青紫蘇、赤紫蘇ともに、生の状態や加熱した状態でもそれぞれに嬉しい栄養素があり、どちらの状態でも犬は食べることができます。
ただし、香りが独特なので嫌がる犬には無理に与えないようにすることが大切です。
また、しその実にも栄養がギュッと詰まっているため、お庭やベランダで紫蘇を栽培している飼い主さんはしその実も愛犬ごはんに活用すると良いでしょう。
犬に紫蘇を与えるメリット

紫蘇は栄養価が高く犬が食べても大丈夫な野菜ですが、犬に紫蘇を与えるとどのような効果が期待できるのでしょうか。
ここでは、犬に紫蘇を与えるメリットをご紹介します。
豊富なβカロテンで免疫力のアップに
紫蘇に含まれる豊富な「βカロテン」は、抗酸化作用があります。
犬の体内の活性酸素の生成を抑えたり除去してくれるので、老化の予防やがんの予防など、さまざまな病気の予防に効果が期待できます。
また、βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の保護や視力の維持にも役立ちます。
βカロテンの凄いところは、生のままでも加熱してもその働きは失われることがなく、油と一緒に摂取することでβカロテンの吸収率が高まることです。
なお、紫蘇と同じく「βカロテン」を含む食材について知りたい方は【犬にかぼちゃを与えるメリットは?注目の栄養素!】も合わせてご確認ください。
αリノレン酸でアレルギーの原因となる物質を抑制
紫蘇に含まれる「αリノレン酸」は、オメガ3脂肪酸です。犬の体内でアレルギーの原因となる物質を抑制したり、血圧を下げる、血栓を予防するといった働きがあります。
また、αリノレン酸は犬の体内でDHAとEPAに変換され、脳神経の活性化、動脈硬化の予防、心疾患の予防、血糖値の安定、痛みの改善、犬の皮膚の免疫機能を高めるなど、様々な効果が期待できます。
αリノレン酸はしその実に多く含まれるため、犬に紫蘇を与えるときはしその実も一緒に与えてあげましょう。
ぺリルアルデヒドで食欲を促進
紫蘇の独特な香りは「ぺリルアルデヒド」という香り成分です。ぺリルアルデヒドは、犬の消化酵素の分泌を促してくれたり、食欲を促してくれる働きがあります。
また、紫蘇はお刺身などに付けられているのを目にすることがあると思いますが、その理由として紫蘇には防腐作用や抗菌作用などもあり、食中毒の予防にも役立つからです。
ロスマリン酸でアレルギー症状を抑える
紫蘇には、ポリフェノールの1種でもある「ロスマリン酸」が含まれています。
ロスマリン酸はアレルギー症状を抑えてくれる働きがありますが、近年では人間の認知症の発症を予防する効果があるとされ、現在研究や実験が行われている注目成分です。
他にも犬の健康維持に役立つ栄養素がたくさん!
紫蘇には、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンEやビタミンKなど、様々なビタミンが含まれています。
犬にとってビタミンは、元気で健康な体を維持するためにも大切なもので、犬の体内で合成できるビタミンもありますが、十分に作り出すことが難しいことから食事で補ってあげる必要があります。
ビタミンB群やビタミンCは、水溶性ビタミンのため加熱すると栄養価が少なくなってしまいますが、食材で包み込むなどの調理法であればそこまで大きく損なわれることはありません。
また、紫蘇には亜鉛やカルシウム、食物繊維やマグネシウムなど様々な栄養素が含まれており、犬の腸内環境のバランスを整えることはもちろん、疲労回復やストレスの軽減などにも役立ってくれます。

犬に紫蘇を与える際の注意点

犬に紫蘇を与えるメリットはたくさんありますが、だからといって何も気にせず与えていいというものではありません。
ここでは、犬に紫蘇を与える際の注意点をご紹介します。
与えすぎない
紫蘇が犬にとって健康食材であっても、与えすぎには注意が必要です。どんな食べものであっても食べ過ぎればお腹を壊してしまったり、吐いてしまうことがあります。
犬が紫蘇ばかりたくさん食べていては栄養バランスも崩れてしまうため、愛犬に紫蘇を与える際は適量にしましょう。
<1日に与える紫蘇の量の目安>
- 体重3kgまで…半分以内
- 体重5kgまで…1枚以内
- 体重10kgまで…2枚以内
- 体重15kgまで…3枚以内
- 体重20kgまで…4枚以内
また、紫蘇には光毒性物質「ソラレン」が含まれ、犬にたくさん与えると口腔内の粘膜を破壊したり下痢や嘔吐を引き起こすといった情報も多くあります。
しかし、紫蘇にはソラレンは含まれていない(※)ため、過剰に心配することはありません。
なお、ソラレンが含まれている危険な食材の1つであるイチジクについては【犬にイチジクはNG!中毒症状などの犬に与える影響】をご確認ください。
(※)参考:駒沢大学「『果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?』にお答えします」
https://www.komajo.ac.jp/uni/window/healthy/he_diary_teacher_20002.html
アレルギーに注意
紫蘇に限りませんが、どんな食べものでもアレルギーを発症する可能性はあります。
愛犬に紫蘇を初めて与える場合は少量を与え、アレルギー症状が現れないかしばらく様子を観察してください。
<犬の食物アレルギーの主な症状>
- 皮膚の赤みや湿疹
- 嘔吐や下痢
- 口の周りを痒がる
- 足先をよく舐めたり噛んだりする
- 耳を痒がる
食物アレルギーの症状の現れ方は犬によって異なりますが、犬が紫蘇を食べて上記の症状が現れた場合は、獣医師に相談しましょう。
紫蘇を生で与えるときは細かく刻む
犬に生の紫蘇を与えるときは、消化しやすいように細かく刻んで与えましょう。そのままムシャムシャと食べる犬もいますが、消化器官の弱い犬では胃腸に負担がかかってしまいます。

紫蘇のおすすめ愛犬レシピ

ここでは、紫蘇を使ったおすすめ愛犬レシピをご紹介します。
飼い主さんと同じものを食べたいと思う愛犬の気持ちに答えてあげられるようなレシピなので、ぜひ一緒に食べてくださいね。
ささみの野菜ロール
【材料】
※飼い主さん用も含まれた量です。
- ささみ…10本
- 人参…約2分の1本
- いんげん…30本
- 紫蘇…10枚
【作り方】
- いんげんはヘタとスジを取り、人参は5cmほどの細切りにして軽く下茹でしておく。
- ささみはスジを取り除き、叩いて薄く伸ばしておく。
- 薄く伸ばしたささみの上に紫蘇を敷き、人参といんげんを置いて巻く。
- 巻き終わりの面を下にして、蒸し器で5~7分ほど蒸す。
- 人肌に冷めたら愛犬が食べやすい大きさに切って完成!
蒸し器がなければフライパンに薄くオリーブオイルを敷いて焼いてください。また、ささみの代わりに豚ロース薄切り肉を使用しても大丈夫です。
飼い主さんが食べる用は、出来上がってから塩コショウやポン酢などお好きな調味料を付けて食べてください。
なお、今回使用した食材であるささみについて詳しく知りたい方は【犬にささみを与えるメリット&おすすめレシピ】をご確認ください。
しそ餃子
※飼い主さん用も含まれた量です。
【材料】
- 豚ひき肉…250g
- 紫蘇…10枚(お好みで)
- キャベツ…4分の1
- すりおろした生姜…小さじ1
- 餃子の皮…1袋(20~30枚)
【作り方】
- キャベツと紫蘇は粗みじん切りにしておく。
- ボウルに豚ひき肉、キャベツ、紫蘇、生姜を入れてよく混ぜ合わせる。
- 愛犬用の分のタネを餃子の皮に包む。
- フライパンに愛犬用餃子を並べ、適量の水を入れてフタをして火を付ける。
- 餃子に火が通ったら人肌になるまで冷まし、愛犬が食べやすいサイズに切って完成!
先に愛犬用の分だけタネを餃子の皮に包めば、あとから飼い主さん用のタネに味付けできます。餃子の皮はできるだけ添加物が少ないものを選んであげるか、手作りしてあげましょう。
紫蘇は犬にとっても健康食材!愛犬のごはんに紫蘇を活用しよう

今回は、犬に紫蘇を与えるメリットや与える際の注意点、おすすめレシピをご紹介しました。
紫蘇は注意すべき与え方も少なく、犬に生のまま与えることもできるため、手作りご飯の食材としても、いつものフードのトッピングにも使いやすいという特徴があります。
犬によっては紫蘇の匂いに好き嫌いがあるかもしれませんが、紫蘇の匂いが大丈夫な犬であれば健康維持のサポートに紫蘇を活用してみましょう。
その他、うちのトイプーでは犬の食事について幅広くご紹介しておりますので、興味がある方は【犬の食事カテゴリー】もご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。