- 犬の病気
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老犬と暮らす飼い主さんが望むことは、病気をすることなくいつまでも穏やかで幸せな日々をすごしてもらうことではないでしょうか。
老犬にもなると、ちょっとした異変が重大な病気であることもあり、症状を見逃さず早めに動物病院を受診することが大切です。
今回は、老犬と暮らす飼い主さんや愛犬が年をとってきたと感じている飼い主さんのために、老犬に多い病気の原因や症状、老犬と暮らす上で大切なことをご紹介します。
なお、うちのトイプーでは犬の病気について詳しくご紹介しておりますので、それぞれの病気の詳細につきましては【犬の病気カテゴリー】もご確認ください。

犬は何歳から老犬?

犬は何歳からが老犬なのかと悩む飼い主さんも多いほど、その定義は曖昧です。
一般的には、小型犬と中型犬は7歳から、大型犬では5歳からシニア期に入り、「老犬」に分類されます。
10歳でもまだまだ若く元気な犬もいるように、年の取り方は個体差があり、一概に何歳からが老犬と言い切ることはできません。
しかし、犬はシニア期に入ると、見た目は若く元気でも、消化器官が衰えはじめ代謝も悪くなっていきます。
11歳を超えたあたりから(大型犬では8歳を超えたあたり)ハイシニア期に入り、老化のスピードが早まります。
それまで病気知らずだった犬でも様々な病気にかかりやすくなるため、老犬になったら半年に1度は動物病院で健康診断を受けさせてあげましょう。
老犬に多い7つの病気の原因と症状

老犬になると様々な病気になりますが、症状が病気と判断しにくいものも多いです。
人間でも年をとると頑固になるように、犬も老犬になると頑固になり、食事のイヤイヤや、散歩に行きたがらないといったことも病気でなくても見られる行動です。
しかし、それが病気の症状であることもあるため、病気の原因や症状について知っておきましょう。
老犬に多い病気①:分離不安
老犬に多い病気に分離不安があります。分離不安になると飼い主さんの姿が見えないことで不安になり、さまざまな問題行動を引き起こします。分離不安がひどい場合は投薬治療が必要なこともある心の病気です。
老犬の分離不安の原因と症状
老犬の分離不安の原因は、年をとったことによる不安やストレス、留守番中に何か怖い体験をしたなどがあります。
<老犬の分離不安の主な症状>
- 留守中の破壊行動
- 留守中の嘔吐や下痢
- 留守中の粗相
- 留守中の自傷行為
- 留守中に吠える
- 飼い主さんの後をずっとついて歩く
老犬の分離不安は認知症なのかどうかの判断を飼い主さんがするのは難しく、獣医師に判断してもらう必要があります。
分離不安は悪化してしまうこともあり、放っておくことは老犬のためにも飼い主さんのためにもなりません。
老犬に多い病気②:てんかん
老犬に多い病気にてんかんがあります。気圧の変化や季節の変わり目、テレビの音など、さまざまなことが刺激となってけいれん発作を起こすこともある病気です。
老犬のてんかんの原因と症状
てんかんは脳腫瘍や脳炎など、脳に何らかのダメージがあって起こる二次性てんかんと、脳は正常で機能だけが異常を起こした突発性てんかんがあります。
犬が突発性てんかんを起こす原因はわかっていません。
<老犬のてんかんの主な症状>
■焦点発作
- よだれが出る
- 口をくちゃくちゃさせる
- 落ち着きがない
- 足や顔など体の一部がけいれんする
■全般発作
- よだれが出る
- 手足を突っ張らせてけいれんする
- 頭をのけぞらせる
- 失禁や脱糞
- 激しく手足を動かし犬かきのようなしぐさをする
- 突然動きが止まり放心状態となる
てんかんの発作を初めて見るとびっくりしてパニックになってしまう飼い主さんも少なくありませんが、発作を起こしている老犬を刺激せずに安全を守りながら見守ることが大切です。
老犬がてんかん発作を起こす前兆は、よだれの量が増える、落ち着きなく動き回る、嘔吐するなどがありますが、寝ている時や寝起きなどに何も前兆なく起こることのほうが多いです。
部分的に起こる焦点発作は、よだれや口をくちゃくちゃするといった発作とは思われないようなことも多く、飼い主さんが気づかないことも少なくありません。
1度の発作でおさまり、その後すぐに繰り返したり何時間もけいれんし続けているといったことでなければ慌てて動物病院を受診する必要はありませんが、普段からよだれが多い老犬ではほかの病気の可能性もあるため動物病院を受診するようにしてください。
老犬に多い病気③:心臓病
老犬に多い病気に心臓病があります。心臓病といっても様々な種類の心臓の病気がありますが、小型犬では僧帽弁閉鎖不全症や不整脈、大型犬では心筋症が多く見られます。

老犬の心臓病の原因と症状
老犬が心臓病になるはっきりとした原因はわかっていません。老化によって心臓の機能が低下したことや、食事内容や太り過ぎ、遺伝的素因など様々なことが考えられていますが、若くても発症する可能性のある病気です。
<老犬の心臓病の主な症状>
- 朝方や夜間に咳が出る
- 興奮したときや運動したときに咳が出る
- 食事の後や水を飲んだ後に咳が出る
- 呼吸が荒い
- 疲れやすい
- 散歩に行きたがらない
- 散歩の途中で動かなくなる
老犬の心臓病は珍しくありませんが、進行する病気で放っておくと命に係わることもあるため、適切な治療を受けさせてあげる必要があります。
老犬に多い病気④:慢性腎臓病
老犬に多い病気に慢性腎臓病があります。腎臓病は腎不全とも呼ばれ、その名の通り腎臓の機能が低下して、体内の老廃物を上手におしっこと一緒に排出することができなくなったり、血圧を調整するためのホルモンを作り出せなくなってしまう病気です。
老犬の慢性腎臓病の原因と症状
老犬の慢性腎臓病の原因は、老化はもとより、腎臓が炎症を起こしたり、腎臓にダメージを与える様々な病気が関係していると考えられています。
<老犬の慢性腎臓病の主な症状>
- 水をたくさん飲む
- おしっこの回数や量が多くなる
- おしっこの色が薄くなる
- 毛艶が悪くなる
- 口臭が強くなる
- 食べない
- 嘔吐
- 便秘
老犬が慢性腎臓病になると初期症状として、たくさん水を飲んでたくさんおしっこをするということが見られます。目立った症状が現れたときには腎臓の機能の50%が失われているため、初期症状を見逃さないことが大切です。
老犬に多い病気⑤:ホルモンの病気
老犬に多い病気にホルモンの病気があります。ホルモンの病気は様々ありますが、老犬では糖尿病やクッシング症候群(副腎皮質亢進症)、甲状腺機能定価症が多く見られる病気です。
犬のホルモンの病気の原因と症状
老犬がホルモンの病気を発症する原因はわかっていません。しかし、膵臓の病気や炎症性疾患といった他の病気で併発したり、発情がきっかけになったり遺伝的素因が関係していることは明らかになっています。
<老犬のホルモンの病気の症状>
- 水をたくさん飲む
- おしっこの回数や量が増える
- 左右対称に毛が薄くなる・脱毛する
- 食事をたくさんとる
- 散歩に行きたがらない
- 体重が増える
老犬がホルモンの病気になると、初期では上記のような症状が見られますが、進行すると今度は食べない、嘔吐や下痢、食べても痩せていくといった症状が見られるようになります。
治療せずに放っておくと、クッシング症候群では突然死、糖尿病では昏睡で死に至る、甲状腺機能低下症では緊急治療が必要になるといったこともあり、適切に治療を行うことが大切です。
老犬に多い病気⑥:認知症
老犬に多い病気に認知症があります。認知症は認知機能不全とも呼ばれ、その名の通り人気機能が低下してしまう病気です。特に柴犬などの日本犬種は認知症になりやすいとされていますが、犬種に関係なくどの老犬がなっても不思議ではありません。
老犬の認知症の原因と症状
老犬が認知症になるはっきりとした原因はまだわかっていません。しかし、老化や栄養障害、脳の病気などによって脳に障害が起こり、脳神経細胞や自律神経が機能しなくなってしまうことで起こると考えられています。
<老犬の認知症の主な症状>
- 今までできていたことができなくなる
- いつも食事を欲しがる
- トイレの失敗が増える
- 同じ場所をぐるぐる回る
- 夜に寝ない
- 夜鳴きをする
- 反応が薄くなる
高齢の老犬ではないから認知症の心配はないだろうという老犬の飼い主さんもいますが、早ければ7歳で発症することもある病気です。
認知症ではなく、脳に異常があっても見られる症状もあるため、上記の症状に当てはまる場合は一度獣医師に相談するようにしましょう。
老犬に多い病気⑦:ガン(悪性腫瘍)
老犬に多い病気にガンがあります。ガンと言っても、目に見える場所にできることもあれば、体の内側にできるものもあり、それが悪性腫瘍なのか良性腫瘍なのかは病理検査をしなければわかりません。
老犬のガンの原因と症状
老犬がガンになる原因のはっきりしたことはわかっていません。しかし、老犬に限らず若い犬でも人間でも、ガン細胞は毎日のように生まれており、体内の免疫機能によって退治されています。
老犬になると免疫機能が低下しやすいため、ガン細胞を退治しきれなくなってガンになると考えられています。
免疫機能が低下する要因としては、食事内容やストレス、運動不足、痩せすぎや太り過ぎといったことがあげられます。
<老犬のガンの主な症状>
- 食べない
- 元気がない
- 食事をとっても急激に痩せていく
- 体にできものがある
- 動きたがらない・散歩に行きたがらない
- 出血
- リンパ節が腫れる
ガンができる部位によっては、ひどく進行するまで無無症状であることもあり、健康診断などでたまたま発見されることもあります。
ガンは早期発見と早期治療が何よりも重要なので、老犬に少しでも異変を感じたら動物病院を受診するようにしてください。
また、ガンの種類やできた場所によっては、外科手術によって根治が期待できたり、薬で進行を遅らせることもできるため、老犬だからと諦めずに獣医師と相談して治療法を決めていきましょう。
老犬と暮らす上で大切なこと

老犬と暮らす上で大切なことは、飼い主さんが感じる愛犬のちょっとした違和感をそのままにしないことです。
もう老犬だから食べない、もう老犬だから元気がないのは仕方がないと飼い主さん自身の決めつけは絶対にダメ!
必ず動物病院を受診して、なぜ食べないのか、なぜ元気がないのかなど、その原因を突き止めてあげることが大切です。
病気を患うとQOLが低下してしまうだけでなく、寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
半年に一度の定期検診はもちろん、些細なことでも動物病院を受診しましょう。そのためにも、普段から愛犬の細かな様子の変化に気づけるようにしておけるといいですね。
老犬の病気は予防が難しい!早期発見を心がけよう

今回は、老犬に多い病気の原因や症状、老犬と暮らす上で大切なことをご紹介しました。
老犬になると、散歩に行きたがらなかったり食べないといったことは多く、それが気分じゃないのか、病気が原因なのかを飼い主さんが見極めることはとても難しいです。
老犬に多い病気は原因がわからないものも多く、予防法もありません。しかし、早期発見と早期治療によって寿命を全うしてもらうことができたり、穏やかな日々をすごしてもらうことはできます。
愛犬の様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら獣医師に相談するようにしてくださいね。
なお、うちのトイプーでは犬の病気について詳しくご紹介しておりますので、それぞれの病気の詳細につきましては【犬の病気カテゴリー】もご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。