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夜の寝静まった時間に犬が吠えると悩み、近所に迷惑がかかるとやめさせる方法を模索している飼い主さんは少なくありません。愛犬がなぜ吠えるのかを考えても、理由がわからないこともあるでしょう。
また、これまでに吠えることがなかった犬が突然夜に吠えるようになった場合、余計になぜ吠えるのか悩んでしまいますね。
今回は、愛犬の夜鳴きで悩む飼い主さんや犬の夜鳴きの理由と夜鳴きをやめさせる方法を知りたい人のために、犬が夜に吠える原因や対策と考えられる病気についてご紹介します。

犬が夜吠える原因は?

犬が吠えるのは、必ず何か理由があります。しかし、生活音のある日中ならまだしも、夜に吠えるのはご近所迷惑にもなってしまうため、やめさせるようにしたいものです。
そのためには、なぜ犬が夜に吠えるのか、その理由を考えてあげなければいけません。夜になると犬が吠えるのはどんな理由があるのでしょうか。
警戒している
犬は自分の縄張りや仲間を守るために、警戒して吠えることがあります。
突然インターホンが鳴ると吠えたり、知らない誰かが突然家に来ると吠えるのはこのためですが、来客のない夜に吠えるのはなぜでしょうか。
その理由は、犬の優れた聴覚にあります。犬は人間の3~4倍の音を聞き取ることができ、音域は約2倍、音の聞こえてくる範囲は32方向です。
聴力では1km以上先の音も聞くことができるのですから、夜に家の外や近所の生活音に反応してしまい、警戒して突然吠えるのです。
人間には聞き取れない音に反応していることもあり、音がわからない人間にしてみれば、なぜ突然吠えるのかと不思議に思うこともあるでしょう。
もともと犬に備わっている警戒心ですが、個体差があり、警戒心が強い犬は吠えやすい傾向にあります。
要求がある
犬は言葉が話せないため、吠えることで自分にして欲しいことを伝えます。
お腹が空いたり遊んでほしいときなどに吠えるのはこのためですが、夜に吠えるのは何かして欲しいことがあるのかもしれません。
寝たきりの老犬では、自分で動くことができないためしばしば夜に吠えることがあります。
認知症と間違われやすいですが、体の向きを変えて欲しい、水が飲みたい、トイレに行きたいなどの要求を伝えていることを察してあげましょう。
寂しい
夜になると寂しいからと吠える犬もいます。飼い主さんと寝室が別で姿が見えなくて寂しい、かまってもらえなくて寂しいなど、寂しいと感じる理由はさまざまです。
しかし、子犬や新しく犬をお迎えした場合に特に多くみられます。
寂しいことが理由で吠える場合は、夜の決まった時間に吠える傾向がありますが、犬が飼い主さんの生活ペースや家に慣れてくることで改善されることが多いです。
ストレス
犬の生活リズムが崩れることでストレスが溜まり、突然夜に吠えるようになることがあります。
犬の体には人間よりも正確な体内時計がありますが、日光に当たらなかったり、昼間に寝てばかりいたり、運動不足だと体内時計が狂って生活リズムが崩れてしまいます。
犬が夜の寝る時間になってもなかなか寝付けないことでストレスを感じ、吠えるようになってしまうこともあります。

犬が夜吠えるときに考えられる病気

犬が夜に吠える理由はさまざまですが、病気が原因となっていることもあります。犬が夜に吠えるときに考えられる病気は認知症です。
認知症はすべての犬が発症するわけではありませんが、老犬になればどの犬でも発症する可能性のある病気です。
なお、愛犬の病気でお悩みの飼い主さんは【犬の病気カテゴリー】もご確認ください。
犬の認知症について
犬の認知症の発症年齢や特徴、主な症状についてご紹介します。
認知症の発症年齢
小型犬や中型犬では10歳、大型犬では7歳頃からシニア期に入ります。老犬になってから突然夜に吠えるようになったのであれば、認知症の可能性があります。
認知症というと高齢犬に多いイメージを持つかもしれませんが、早ければ大型犬では9歳、小型犬や中型犬では11歳で発症することが確認されています。
犬が突然吠えるようになると、「なぜ急に?」と思っても、まさか認知症を発症したとは思わないことも多く、見逃されがちですが、突然吠えるようになったということは何かしらの理由があると考えましょう。
認知症の特徴
認知症を発症した老犬は、認知機能が低下していることで昼と夜の生活が逆転することがあります。
それに伴い、認知症の症状が表れているときに叫ぶような声で鳴いたり吠えるようになり、昼でも夜でも関係はなく、特に理由もなく吠えたり鳴き続けます。
認知症が原因で吠える場合は、吠えることをやめさせることはできません。
認知症が発症する原因はわかっていませんが、老犬に適切な治療を行い認知症の進行を抑えることが重要となってきます。
その他、認知症でなくても老衰によって体に変化が生じていることが原因で不安で吠えることもあります。
老犬の場合は、特に叱るようなことをしないよう注意が必要。犬も原因があって吠えているので、飼い主さんが理解してあげなければいけません。
また、老衰や病気が原因だと考えられる場合は、必ず獣医師に相談しましょう。痛みを中心に体の変化によって吠える場合は、愛犬が一番不安を抱えやすい状況です。
認知症の主な症状
- 夜鳴き
- 夜に徘徊する
- 同じ場所をぐるぐると回る
- 食欲の増減
- 今まで出来ていたことが出来なくなる
- 無気力・無関心
- 感情の起伏が激しくなる
- 飼い主を認識できなくなる
- 食事を何度も催促する
老犬にこれらの症状が見られたときは、一度動物病院を受診するようにしてください。
犬が夜吠える原因別の対策

夜の静かな時間帯に犬が吠えると、ご近所のことも考えやめさせるために必死に奮闘している飼い主さんもいるでしょう。
実際、犬が夜に吠えることでご近所から苦情を言われたり、ご近所トラブルになることも少なくありません。
吠えることをやめさせるためには、叱ったり無視をするのではなく、なぜ吠えるのかを考え、理由に合わせて対策をすることが大切です。
なお、吠える犬のしつけ方法を知りたい方は【吠える犬のしつけ方法と吠える原因】をご確認ください。
警戒から犬が夜に吠えるときの対策
外の音に警戒して夜に吠える犬では、吠えるのをやめさせるために犬の意識をそらしてあげることが必要です。
犬は不安や恐怖といった理由から警戒します。もともと警戒心の強い犬であれば、些細な音にも吠えるでしょう。
玄関の材質や作りによっては、外の音がよく聞こえるため、玄関から離れた場所で犬に過ごしてもらったり、声掛けなどをして警戒しなくても大丈夫だと安心させてあげなければいけません。
また、ケージの中で警戒して落ち着かない犬の場合では、ケージを布なので覆って暗くして落ち着かせるのも1つの対策方法です。

要求から犬が夜に吠えるときの対策
愛犬の要求吠えに対して、怒ったり無視したりしていませんか?実はどちらの方法もNGです。
吠えるのをやめさせるために反応してしまっている場合では、犬は吠えれば自分の要求が通ると学習してしまっているため、それがわがままであった場合は反応しないことも大切です。
反応しないと無視をするはとても似ているように思えるかもしれませんが、無視をすると犬は要求が伝わっていないと感じて余計に吠えます。
これを繰り返すことで犬はお利口に待っていれば良いことがあると学習してくれるため、かまってあげることが無理なときは、「無視をするのではなく反応しない」を普段から徹底しましょう。
もちろん、寝たきりの犬などでは本当に必要な要求がある場合もあるため、吠えるときはなぜ吠えているのか理由を考え対処してあげましょう。
夜のルーティンを掴めば、犬が吠える前にして欲しいことを察して先に行ってあげることができ、吠えることがなくなります。
寂しさが原因で犬が夜に吠えるときの対策
寂しい気持ちで不安が募って夜に吠える犬は、環境に慣れれば改善されるとは言え、無視をし続けてはいけません。
寝ている飼い主さんの姿が見えるように、ケージの場所を変えてあげましょう。
難しい場合では、薄明りの電気をつけたり、小さな音でテレビをつけておいてあげるなどして、寂しい気持ちを紛らわせてあげるようにしてください。
一昔前では、犬が寂しいからと夜に吠えるときは無視するようにとのしつけ方法が一般に広まっており、吠える犬を無視する飼い主さんも多くいましたが、無視をすることだけは絶対にないように注意してくださいね。
ストレスから犬が夜に吠えるときの対策
犬の体内時計に狂いが生じ、生活リズムが崩れて夜に寝付くことができずに吠えるため、生活リズムを整えてあげましょう。
寝る前に散歩に行ったり、たくさん遊んであげることで疲れて夜に寝てくれるようになります。
また、夏場などの暑い時期を除き、昼間に太陽の光を浴びさせることも重要です。
太陽の光は体内時計をリセットしてくれたり、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」を分泌してくれますが、セロトニンは睡眠ホルモンの原料でもあるため、安眠にも役立ってくれます。
また、犬の寝床とトイレが近い場合もストレスを感じて寝付けなくなってしまうことがあるため、寝床とトイレの場所が近くないか見直すなど、吠えるのをやめさせる前に、なぜ吠えるのか理由を考えてあげましょう。
認知症から老犬が夜に吠えるときの対策
老犬が認知症を発症してしまうと、根本的な治療法はありません。しかし、だからと言って何もしないのは、犬にとっても飼い主さんにとってもマイナスなことばかりです。
動物病院を受診して投薬治療を行い進行を抑えるほか、軽い散歩に連れ出したり知育トイなどを使用して脳に刺激を与えてあげる、今までできていたことができずに失敗しても怒らない、老犬になるべくストレスを抱えさせないといったことが大切です。
昼間に寝ている時間が多いようであれば、夜に吠えることを防止するためにも、なるべく起きていてもらったり、太陽の光を浴びてもらうことも効果があります。
また、老犬が夜に吠えることでご近所トラブルになることを避けるためにも、近所の人には「老犬で認知症を患っているため迷惑をかけることがあるかもしれません」と一声かけておくだけで、近所の人に理解してもらうことができますよ。
痛みや体の衰えによって犬が吠えるときの対策
病気による痛みや老衰による体の変化によって犬が夜吠える場合は、獣医師に相談が必要です。
痛み、炎症、だるさなど、体の変化に不安が生じている場合は、何より緩和するためのケアが大切です。
なお、愛犬のケア方法について知りたい方は【犬のケア方法カテゴリー】をご確認ください。
犬が夜に吠えるときは理由に合わせて対策しよう

今回は、犬が夜に吠えるときの原因や対策、考えられる病気についてご紹介しました。
犬に夜に吠えられるのは、近所の人に何か言われるのではないかとヒヤヒヤすることもあり、吠えるのをやめさせるために間違っているとわかっていても、誤った対策をしてしまうこともあるでしょう。
犬が吠えるのは理由があり、吠えることは犬のコミュニケーションツールです。夜になると吠えたり、突然吠えるようになったのであれば、なぜ吠えるかの理由を考えてあげましょう。
なお、犬のしつけについて詳しく知りたい方は【犬のしつけカテゴリー】をご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。