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愛犬の便にゼリー状な粘液がついてることがあると、びっくりしてしまいますね。
粘液便は健康な犬にも見られるもので、繰り返すことがなければ特に心配する必要はありません。
とは言っても、動物病院に行くタイミングや粘膜便の原因など、気になることはたくさんあるでしょう。
今回は、愛犬が粘液便をしたときの原因や対処法を知りたいという飼い主さんのために、犬が粘液便をしたときに考えられる原因別の対処法をご紹介します。

Index
犬が粘液便を繰り返す場合は要注意!

犬の粘液便は、腸の保護や排便をスムーズに行うために、腸から分泌された粘液が便と一緒に排出されたものです。
腸粘液の働き
通常、腸から分泌される腸粘液は腸の内側に張り付き、細菌やウイルスといった微生物の侵入を防ぐ働きがあります。
普通の犬の便にも粘液の一部は混ざっていますが、飼い主さんが気づくまでの量ではありません。
もちろん、健康な犬の便でも僅かな量の粘液が付くことが見られるほか、腸粘液が腸の内側に張り付くことが間に合わなくてゼリー状の液体が多めに出てくることもあります。
しかし、病気が原因で腸粘液がたくさん分泌されてしまったり、腸の内側に張り付くことができずに多めに出てくることもあり、犬が粘液便を繰り返す、粘液便に血が混じるというときは動物病院で検査をする必要があります。
犬が粘液便をした時に考えられる6つの原因別の対処法

犬が粘液便をするのは、腸粘膜が炎症を起こしてしまったことが原因であることがほとんどです。
腸粘膜が炎症を起こす原因別に対処法をご紹介します。
食べ過ぎ
犬が食べ過ぎてしまった場合、腸に負担がかかって粘液便になることがあります。
また、繊維質の多いものをたくさん食べると、腸を刺激して下痢になったり、逆に腸の中を移動するスピードがゆっくりになって便秘になってしまうことも。
下痢や便秘は腸に負担がかかって腸粘液をたくさん分泌することになるため、粘液便になる可能性が高いです。
対処法
食べ過ぎで犬が粘液便をした場合は、その日の食事は胃腸に負担がかからない消化の良いものに変更してください。
また、食事の量や回数が適切かを見直してあげる必要があります。
腸を傷つけるものを食べた
犬は人間のように食べたものを咀嚼するわけではなく、基本的に丸飲みしてしまう生きものです。硬いおやつなどを丸飲みすることで腸が傷つき、粘液便になることがあります。
対処法
愛犬に硬いおやつを与えるときは、飼い主さんが愛犬の様子を観察できる状況のもと、愛犬にあった硬さや大きさのおやつにしてください。
また、長い時間おやつに執着するようであれば、他のおやつやおもちゃに交換してあげましょう。
ストレス
犬はストレスによって体に様々な不調をきたしますが、ストレスは腸内環境の乱れにも影響します。腸内環境の乱れは粘液便を引き起こすだけでなく、免疫力の低下にもつながるため注意が必要です。
対処法
愛犬がストレスを溜めないように、生活環境や接し方などを見直してみましょう。
散歩の距離や時間はもちろん、一緒に遊ぶ時間をしっかり取ること、適度なスキンシップなど、愛犬がストレス発散できる方法を考えてあげることが大切です。
気候や気圧
子犬や老犬では、気候や気圧に影響を受け、お腹の調子を崩して粘液便になることがあります。
対処法
気候や気圧は飼い主さん自身がどうすることもできませんが、室内の温度や湿度の調整はもちろん、お腹を冷やさないように腹巻きなどでお腹を温めてあげましょう。
食物アレルギー
犬の食物アレルギーと言えば、皮膚炎を発症することが知られていますが、アレルゲンに対する過敏な反応によって腸の粘膜も刺激されるため、粘液便になることがあります。
対処法
犬が何の食物アレルギーかを特定するには、動物病院でアレルギー検査が必要になりますが、アレルギー検査は3~7万円ととても高額なことから、飼い主さんが希望しない限り獣医師から提案されることは少ないでしょう。
多くは除去食試験によってアレルゲンとなった食材を突き止めていくことが一般的な方法のため、まずは獣医師に相談するようにしてください。
病気
犬の粘液便は健康な犬にも見られますが、病気が原因で引き起こされることもあります。犬が粘液便になる病気は様々ありますが、粘液便を繰り返すときは注意が必要です。
対処法
犬が粘液便をしても、元気も食欲もあって他に何も症状がない一時的なものであれば数日で改善されることもあり、様子を見ていても問題はありません。
しかし、粘液便のほかに症状がある場合は病気の可能性もあるため、動物病院を受診してください。
動物病院を受診する目安の症状
・元気がなくぐったりしている
・食欲がない
・下痢
・嘔吐
・便や嘔吐物に血が混ざる
・毎日粘液便が続く
・呼吸が荒い
・体が冷たい
・脱水
粘液便に血が混ざっている時に考えられる犬の病気

粘液便は健康な犬にも見られますが、血が混ざっている時では何らかの病気の可能性があり、動物病院の受診が必要です。
ここでは、粘液便に血が混ざっている時に考えられる犬の病気をご紹介します。
急性大腸炎
犬の急性大腸炎は、犬にはよく見られる病気の1つです。犬が急性大腸炎になる原因は、水の飲み過ぎや食事の食べ過ぎ、ストレスや腸以外の病気、腫瘍の影響など様々です。
犬が急性大腸炎になったそもそもの原因を取り除かない限り、治らずに症状が続くことがあったり一時的に治っても急性大腸炎を繰り返すため、適切に対処してあげることが大切です。
<犬の急性大腸炎の主な症状>
- 下痢や軟便
- 粘液便
- 便に血が混ざる
- 腹痛で背中が丸く猫背のように見える
- 何度もトイレに行く
出血性胃腸炎
比較的若い犬に見られる出血性胃腸炎は、病気を発症する原因がはっきりしていませんが、胃腸炎が進行したことで発症すると考えられています。
出血性「胃腸炎」と名前がついていますが、胃や腸の粘膜が破壊されて敗血症を起こす可能性がある病気で、適切に治療をしなければ命を落としてしまうこともあります。
<犬の出血性胃腸炎の主な症状>
- 血の混じった嘔吐
- 血の混じった下痢
- 血の混じった粘液便
- 脱水
- 急に元気がなくなる
- 食欲がなくなる
過敏性腸症候群
犬の過敏性腸症候群は、強いストレスが原因で引き起こされる病気です。脳がストレスを感知するとストレスを抑えるための「セロトニン」を分泌しますが、腸の感覚異常や運動異常などを引き起こしてしまいます。
<犬の過敏性腸症候群の主な症状>
- 下痢や軟便が続く
- 便秘が続く
- 下痢と便秘を繰り返す
- 便に血が混ざる
- 粘液便
- 嘔吐
- お腹が膨れる
- 腹痛
炎症性腸疾患
犬の炎症性腸疾患は、胃腸の炎症が慢性的に続く原因不明の病気です。検査をしても他の病気がみつからず、3週間以上にわたって胃腸炎の症状が続くと炎症性腸疾患が疑われます。
炎症性腸疾患に根治させる治療法はなく、いかに症状を軽減させるか、重症化させないようにコントロールしていくかが重要になってきます。
<犬の炎症性腸疾患の主な症状>
- 嘔吐が続く
- 下痢や軟便が続く
- 血便が続く
- 粘液便
- 腹水
- 食欲がなくなる
- 体重減少
食事反応性腸症
食事反応性腸症は若い犬に見られることが多く、特定の食べものが消化できなかったり、食物アレルギーなどで腸の炎症を起こしている犬が、食事の内容を変えることで症状が改善されるものをいいます。
元気や食欲が正常なことも多いため、例え元気であっても粘液便を繰り返す時は動物病院を受診するようにしてください。
<犬の食事反応性腸症の主な症状>
- 嘔吐が続く
- 下痢や軟便が続く
- 粘液便
- 便に血が混ざる
腸内寄生虫
犬の腸内に回虫や鉤虫、鞭虫、瓜実条虫などが寄生していると、粘液便をすることがあります。
腸内の寄生虫は犬の体に様々な悪影響を及ぼし、寄生した虫の種類によっては肺炎や腸閉塞を引き起こすことも。人畜共通感染症のため、早めの駆除が大切です。
<犬の腸内寄生虫の主な症状>
- 嘔吐
- 下痢や軟便
- 粘り気のある血便
- 粘液便
- 元気がなくなる
- 消化不良
- 貧血
- 動作が鈍くなる
- 食べものではないものを食べる
老犬が粘液便をする時に考えられる病気

犬の粘液便に血が混ざっている時に考えられる病気は、もちろん老犬にも当てはまるため油断はできませんが、老犬では他にも考えられる病気があります。
浸透圧性下痢
老犬になると内臓機能の衰えから、食べたものが上手に消化吸収されず、腸に栄養が残ってしまうことで下痢を引き起こします。
消化機能が低下することから健康な便と調子の悪い便を繰り返すことはよくあることですが、老犬では下痢によって脱水症状を引き起こしたり、体調不良に陥ることも少なくないため、注意が必要です。
<老犬の浸透圧性下痢の主な症状>
- 下痢や軟便
- 水っぽい下痢(水様便)
- 脂っぽい便(脂肪便)
- 粘膜便
膵外分泌機能不全
犬の膵外分泌機能不全は、2~3歳をピークに発症する病気ですが、膵炎や糖尿病、免疫の病気を患った老犬でも発症する病気です。
膵臓が上手に機能しなくなることで消化酵素が排出されず、食べたものが分解できなくなってしまいます。
<老犬の膵外分泌機能不全の主な症状>
- 痩せていく
- 白っぽい泥状の便
- 下痢や軟便が続く
- 粘液便
甲状腺機能亢進症
老犬になると体力の低下や免疫力の低下、代謝の低下など様々な内臓の衰えから病気になりやすくなります。
甲状腺機能亢進症はホルモンを多く作り過ぎてしまう病気で、犬ではあまりかかることはありませんが、まったく可能性がないわけではありません。
<老犬の甲状腺機能亢進症の主な症状>
- 嘔吐
- 下痢や軟便
- 粘液便
- 痩せてくる
- 食欲がない、または食欲がありすぎる
- 元気がなくなる
- 落ち着きがなくなる
アジソン病(副腎皮質機能低下症)
アジソン病はホルモンを作れなくなってしまい、副腎が萎縮してしまう病気です。
老犬では糖尿病やクッシング症候群からアジソン病になることもあります。好調と不調を繰り返すことを特徴とする進行性の病気ですが、何も治療をしなければ命を落としてしまうこともあるため早期発見、早期治療が重要です。
<老犬のアジソン病の主な症状>
- 嘔吐
- 下痢や軟便
- 粘液便
- 便の色が黒っぽい
- 元気がなく弱々しい
- 食欲がなくなる
- 体が震える
腸の腫瘍
老犬に腸の腫瘍ができても粘液便が見られることがあります。一言で腸の腫瘍と言っても、良性や悪性のほか、腫瘍の種類も様々です。
初期では症状が見られないこともありますが、老犬になると腸に限らず様々な場所に腫瘍ができる可能性が高くなるため、些細な変化も見逃さないことが大切です。
<老犬の腸腫瘍の主な症状>
- 嘔吐
- 下痢や軟便
- 粘液便
- 黒色便
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 痩せてくる
- 腹痛
- お腹が膨れる
犬が粘液便や下痢をする時の食事管理法

犬の粘液便の原因が病気ではなく、健康なのに粘液便や下痢を繰り返す場合は、食事内容を見直してみましょう。
食事管理のポイント
・消化の良い食事に変更してあげる
・乳酸菌などで腸内環境を整えてあげる
・おやつを控える
・1度に与える食事の量を見直す
・食事の回数を増やす
健康な犬が粘液便や下痢を繰り返すときは、その食事が胃腸に負担をかけていることが多いです。消化の良い食事を与えて、胃腸の負担を軽減してあげましょう。
また、飼い主さんによっては自己判断で人間用のビオフェルミンなどの整腸剤を与えている人もいますが、与えすぎると余計に粘液便や下痢となってしまうため、愛犬に与えたい時は必ず事前に獣医師に相談してください。
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犬の粘液便の原因は様々!愛犬の便をチェックする習慣をつけよう

今回は、犬が粘液便をしたときに考えられる原因別の対処法や、考えられる病気などをご紹介しました。
犬の粘液便は珍しいことではなく、健康な犬でも見られる便です。
しかし、粘液便を繰り返す時や血が混ざっている時は病気の可能性もあり、様子見していてはいけないこともあります。
人間でも便は健康のバロメーターと言われるように、犬でも便は体の調子を表してくれる大切な存在です。
愛犬の便がどんな状態なのか、ニオイはどうかなど、毎日チェックして病気の早期発見につなげてあげましょう。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。