- 犬の食事
愛犬の食事管理はどうしていますか?「愛犬の食事に総合栄養食のドッグフードを与えているから大丈夫」というものではありません。
犬の食事管理は、犬の健康にも大きく関わってきますが、愛犬の年齢や体質、持病や運動などによって適切な食事の内容は異なります。
今回は、ドッグフード選びで悩んでいる飼い主さんや、愛犬に手作り食を与えている飼い主さんのために、犬の食事管理で気をつけたいことを詳しくご紹介します。
なお、愛犬に手作り食を与えている飼い主さんは【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】も合わせてご確認ください。

犬の適切な食事管理はなぜ重要?

愛犬にいつまでも元気で長生きしてもらうためにも、食事管理はとても大切です。
犬は自分で食事を用意することはできず、飼い主さんが用意したものを食べる事しかできません。
そのため、毎回の愛犬の食事の栄養バランス、カロリー、量、食事の時間や回数などは適切に飼い主さんが管理してあげる必要があります。
例えば、犬に人用に味付けされた食べものやおやつばかり与えてしまうと、場合によっては犬の食事には興味を示さなくなって、犬に必要な栄養素をバランス良く摂り込むことができなくなってしまいます。
また、栄養バランスの偏った食事を行うことで肥満や痩せすぎ、栄養失調などのリスクも高まります。
<肥満のリスク>
- 糖尿病
- 心疾患
- 内臓疾患
- 呼吸器に負担
- 足腰に負担
<痩せすぎのリスク>
- 体力の低下
- 筋肉量の低下
- 免疫力の低下
- 栄養失調
<栄養失調のリスク>
- 体内のすべてにおいて悪影響をもたらす
- 免疫力の低下
- 体力の低下
こういった様々なリスクをなくすためにも、犬の食事管理は非常に重要です。
なお、愛犬の病気について詳しく知りたい方は【犬の病気カテゴリー】をご確認ください。
気をつけたい犬の食事管理【年齢】

愛犬の食事管理を行う上で、気をつけたいのが愛犬の年齢や体質、体型によっても食事内容や管理方法が異なるという点です。
ここでは、ライフステージ別に犬の食事管理で気をつけたいことをご紹介します。

子犬期
子犬は、成長するためにたくさんの栄養を必要とします。しかし、消化器官が未発達なため、一度にたくさんの食事を摂ることができません。
子犬の時期は1日に3~5回に分けて食事を与え、タンパク質が豊富に含まれているものや、カロリーの高いものを与えてあげましょう。
子犬用の総合栄養食などを利用すると、子犬に適切な栄養を摂ることができておすすめです。
なお、子犬を飼っている方は【子犬期に行っておきたい基本のしつけや方法】も合わせてご確認ください。
成犬期
成犬の食事の回数は、1日2回~3回に分けて与えましょう。
成犬の食事内容は、避妊・去勢手術をしているかどうか、運動量はどれくらいかによっても異なりますが、肥満にならないように体重管理を行いながら、適切な量を与えてあげなければいけません。
シニア期
小型犬・中型犬では7歳から、大型犬では5歳からシニア期に入ります。
見た目は若く元気そうでも、緩やかに老化が始まり消化器官も衰えてくるため、シニア期の犬の食事の回数は1日3~4回に分けて与えましょう。
また、シニア期の犬の食事内容は、消化の良いものにしてあげる必要があります。
運動量が減ってきたり、代謝が悪くなって太りやすくなるため、シニア期の犬の食事では体重管理も重要です。
ハイシニア期
小型犬・中型犬では11歳から、大型犬では8歳からがハイシニア期に入ると言われていますが、個体差があり、明確な年齢は決まっていません。
ハイシニア期になると犬の食事内容も変わってきますが、自己判断だけで犬の食事内容を変更するのではなく、獣医師にハイシニア期の犬の食事に変更したほうが良いか確認するようにしてください。
ハイシニア期の犬は消化器官も衰えているため、消化吸収の良いものを与えるほか、犬の食事の回数は1日4~5回に分けて与えるなど、食事の回数や食事の時間にも配慮する必要があります。
また、嗅覚の衰えや歯の状態が悪くなって、なかなか食べてくれないこともあります。ハイシニアの犬の食事内容は、ウェットフードなど食べやすくて嗜好性の高いものに変えてあげましょう。
気をつけたい犬の食事管理【体質】

犬の食事管理では、愛犬の体質によっても食事内容や一日何回食事を与えるかを考えてあげる必要があります。
太りやすい体質、痩せやすい体質、アレルギー体質、お腹の弱い体質、吐きやすい体質など、犬によって体質は異なります。
例えば、アレルギーのある犬に対して、アレルギー症状を引き起こす食べものを与えるということは避けなければいけません。
空腹で胃液や胆汁を吐いてしまう犬では、空腹時間を短くしてあげるなど、体質によって犬の食事管理の方法は異なることをしっかり覚えておきましょう。
また、体質は一定ではなく、年齢や病気、ストレスや環境の変化などによって変化するため、その都度犬の食事の内容を見直す必要があります。
愛犬がどんな体質なのかを見極め、体質に合った食事を与えてあげましょう。犬の食事管理の方法や愛犬の体質についてわからないことがあれば、獣医師に相談してください。

気をつけたい犬の食事管理【栄養】

犬の食事管理で一番気を付けなければいけないのは、犬に必要な栄養素をバランス良く適切に与えてあげることです。
犬に必要な栄養素は、年齢や体質、運動量などによって多少の違いはありますが、健康体の犬に必要な栄養素はほぼ同じで、日本国内においてはAAFCO(米国飼料検査官協会)の総合栄養食基準が採用されています。
犬に必要な栄養素
犬の食事は、ただお腹を膨らませるためだけのものではありません。犬の体を健康に維持する、生命活動を維持するためにも、犬の食事には6代栄養素が不可欠です。
タンパク質
タンパク質は、犬の体を作ることはもちろん、生命維持に必要な栄養素です。犬の体内の免疫物質やホルモンを生成するためにも欠かせません。
特に肉や魚といった動物性タンパク質は、犬に必要な必須アミノ酸をすべて含み、体を作る為のアミノ酸の合成などの働きもあるため、犬の食事には良質なタンパク質を与えましょう。
脂質
脂質は犬のエネルギーの源です。
肉や魚にも含まれている脂質ですが、脂質は脂溶性ビタミンの吸収を助けてくれたり、必須脂肪酸の供給、体温維持、臓器の保護や細胞の形成、皮膚や被毛を健康に保つなど、様々な働きがあります。
炭水化物
炭水化物は、犬の食事に必要ないと思われがちですが、適度な炭水化物は必要です。
炭水化物と聞くとお米や小麦、芋類を想像するかもしれませんが、炭水化物は食物繊維と糖質をまとめて表しており、野菜や海藻、豆類などにも含まれています。
糖質は、犬の体内でエネルギー源となり、血糖値などの調整、食物繊維は整腸作用はもちろん、犬の腸内環境を整える働きがあり、犬の食事でも重要な役割を担っています。
ビタミン
ビタミンは、犬の体内の代謝や機能を整えるためにも必要な栄養素です。犬に必要なビタミンは14種類あり、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。
ビタミンの不足は、犬の体に不調を引き起こしますが、脂溶性ビタミンは多く摂り過ぎてしまうと体内に蓄積されて、犬の体に不調を引き起こします。
そのため、犬の食事では、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンをバランス良く与えてあげなければいけません。
また、犬は体内で合成できるビタミンが限られているほか、十分量が作られない、水溶性ビタミンは体外に排出されてしまうといったことから、犬の食事で補ってあげる必要があります。
ミネラル
ミネラルは、犬の体の機能を正常に働かせたり、生命維持に欠かせない栄養素です。犬が必要とするミネラルは11~12種あるとされており、犬の食事でバランス良く摂取することが大切です。
肉や魚といったものから、大豆や海藻、穀物や野菜など、様々なものに含まれています。
水分
水は命の源と言われるように、犬の体の60~70%は水分です。水分は犬の食事の消化を助けるだけでなく、体の隅々まで栄養を届ける、体温調整をするといった働きがあります。
犬の体内水分量の10%が失われただけで命に係わると言われるほどで、犬の水分不足には十分に注意しなければいけません。
犬の食事のときは新鮮な水が飲めるようにしておくだけでなく、水をあまり飲まない犬では犬の食事で水分が摂取できるように工夫をしてあげましょう。
犬の食事を手作り食にする場合は特に注意
犬の健康に関する意識も高まり、愛犬の食事を手作り食にしている飼い主さんも少なくありません。
しかし、手作り食で犬に必要な栄養素をすべて補うことはとても難しく、手作り食ではビタミンやミネラルが不足しやすいことが問題視されています。(※)
犬の栄養学を学んで資格を持っている、正しい知識があるといったことならば別ですが、レシピ本などを参考に作るだけであれば、毎日の愛犬の食事を手作り食にすることはおすすめできませんので、トッピングごはんやオヤツにするなどの工夫も大切です。
なお、愛犬の手作り食の栄養バランスについて学び、愛犬に手作り食を作りたいと考えている方は【手作りドッグフードの配分は?栄養バランスに注意!】をご確認ください。
(※)参考:ケンブリッジ大学出版「犬の栄養管理のための手作り食の使用における飼い主の認識評価」
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-nutritional-science/article/evaluation-of-the-owners-perception-in-the-use-of-homemade-diets-for-the-nutritional-management-of-dogs/4B86F8C1D385570EE0D539A3CAC37807
愛犬の健康のためにも犬の食事管理は正しく行おう!

今回は、犬の食事管理で気をつけたいことをご紹介しました。犬の食事管理と言っても、犬によって食事管理の方法は異なります。
愛犬がどんなことに気をつければいいかを考え、食事管理を正しく行うことが大切です。
犬の食事は健康の源です。いつまでも愛犬に元気ですごしてもらうためにも、これを機に愛犬の食事について見直してみましょう。
その他、うちのトイプーでは犬の食事について幅広くご紹介しておりますので、興味がある方は【犬の食事カテゴリー】もご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。