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普段の料理のだしとしてだけでなく、佃煮や煮物にしても美味しい昆布は、ドッグフードなどの原材料に使われていることもあり、犬が食べて良い食材の1つです。
昆布はさまざまな栄養素が含まれたヘルシー食材で、犬の手作りご飯の食材にもおすすめです。
しかし、与えるときには注意しなければいけないこともあります。
今回は、愛犬の手作りご飯の食材に悩んでいる飼い主さんや昆布を与えたいと考えている飼い主さんのために、昆布の栄養素や与えるときの注意点、昆布だしご飯レシピなどご紹介します。
なお、愛犬のご飯の食材に悩んでいる方は【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】も合わせてご確認ください。
犬に昆布を与えるメリット

昆布は栄養学的にもとても優れた食材で、犬の健康にも効果が期待できる栄養素がたくさん含まれています。
犬に昆布を与えるメリットを詳しく見ていきましょう。
水溶性食物繊維
昆布を煮たときに出るネバネバは、昆布に含まれる「アルギン酸」や「フコダイン」といった水溶性食物繊維の成分です。
この食物繊維には、以下のような働きがあります。
- 腸内環境を整えてくれる
- コレステロール値の上昇を抑える
それぞれの成分で期待できる効果も異なるため、詳しく解説します。
アルギン酸
昆布に含まれる豊富なアルギン酸は、犬の体に摂り込まれた余分なナトリウムを効率良く体外に排出してくれます。
動脈硬化の予防や、血圧を一定に保ってくれる効果も期待できます。
フコダイン
フコダインは、胃の粘膜を保護してくれる働きがあります。
他にも腸の中から免疫力を高めてくれたり、ガンの予防、ウィルスの増殖、抗アレルギー作用など、さまざまな効果が期待できます。
グルタミン酸
昆布の旨味成分である「グルタミン酸」は、犬の体の常に代謝されている細胞に欠かせないアミノ酸の1つです。
必須アミノ酸ではありませんが、準必須アミノ酸でとても重要な働きをしてくれます。
その他、腸の粘膜を健康に維持したり、免疫力を増加させる効果が期待できます。
フコキサンチン
昆布をはじめとする褐色の海藻に含まれる成分「フコサキチン」は抗酸化作用が強く、以下のような効果が期待できます。
老化の予防や動脈硬化の予防、糖尿病や肥満予防の効果!
ヨウ素
昆布に多く含まれる「ヨウ素」は、犬の体の代謝や成長に欠かせない甲状腺ホルモンを作り出すために必要な成分です。
特に運動量の多い犬、妊娠中や授乳中の犬はヨウ素を通常よりも多く必要とします。
ただし、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能を低下させてしまうことがあるため、犬が昆布を食べていいからといって与えすぎないようにしてください。
また、犬が甲状腺関連の病気を患っている場合では、獣医師に昆布を食べていいか相談するようにしましょう。
ミネラル
昆布に含まれるミネラルは、牛乳の23倍、カルシウムは7倍、鉄分は39倍ととても豊富です。
ミネラルは体の調子を整えたり、体のさまざまな組織を作りだすためにも欠かせない成分です。
しかし、犬は体内でミネラルを作り出すことができないため、不足しがちで食事で摂り入れてあげなければいけません。
しかし、ミネラルの過剰摂取は尿路結石になりやすいため、与えすぎにも注意が必要です。
どんなにメリットの多い食材でも、適量を守ることが愛犬の健康維持には欠かせません。
ビタミンK
ビタミンKは、犬の体内の酵素の働きをサポートする重要な成分です。
血液を凝固させたり、骨を形成するカルシウムの沈着を行うなど、さまざまな働きをしてくれます。
通常、犬は体内でビタミンKを作り出すことができますが、十分に作り出せないため食事から摂り入れてあげる必要があります。
犬の簡単昆布レシピ4選|昆布だしご飯など

昆布の一番簡単なレシピは、粉末にした昆布をドッグフードや手作りご飯のふりかけにしたり、昆布のだし汁をいつものご飯にかけてあげることです。
しかし、それではちょっと味気ないという飼い主さんは、昆布を使用した手作りご飯に挑戦してみてはいかがでしょうか。
昆布と犬が食べていい食材だけを使用して作る簡単手作りご飯のレシピをご紹介します。
手作りご飯は栄養バランスの乱れを招きやすいので、総合栄養食のトッピングとして活用してください。
昆布だしご飯
【材料】
- 昆布…5cm角一枚
- 豚肉…30g程度
- ブロッコリースプラウト…3g程度
- 水…適量
【調理方法】
- 昆布を適量のお湯で鍋で10分程度湯がく
- だしがでたら鍋から昆布を取り除いて捨てる
- 昆布だしのお湯に豚肉を入れてしっかりと茹でる
- ブロッコリースプラウトを細かく刻む
- 人肌温度に3が冷めたら刻んだブロッコリースプラウトを入れる
昆布のサーモンご飯
【材料】
- サーモン…1切れ
- 昆布…5cm角一枚
- 米…1合
- 水…米1合分
【調理方法】
- サーモンの両面を軽く焼く
- 米を研いでお釜に米を入れ、若干水を少なく入れて加熱したサーモンと細かく刻んだ昆布を入れて炊く
- 炊き上がったらサーモンと、ご飯と混ぜて出来上がり
昆布だし根菜スープ
【材料(体重5kgの犬の1日分)】
- 鶏ささみ…25g
- さつまいも…25g
- にんじん…15g
- 大根…25g
- しめじ…10g
- 昆布…10g
- くず粉(あれば)…大さじ1
- 水…適量
【調理方法】
- 材料をすべて3~5mmほどの角切りにする
- くず粉以外の材料を鍋に入れ、材料が浸かるくらいの水を入れて火にかける
- 柔らかくなったら倍量の水で溶いたくず粉を入れ、冷めたら出来上がり
昆布だしのあんかけ豆腐
【材料(体重5kgの犬の1日分)】
- 豆腐…50g
- 白身魚…50g
- セロリ…20g
- ごぼう…20g
- しめじ…15g
- まいたけ…15g
- 粉末にした昆布…5g
- 水…適量
【調理方法】
- 白身魚を一口大に切る
- セロリ、ごぼう、しめじ、まいたけを千切りにする
- 鍋に粉末にした昆布と切った材料をすべて入れ、材料が浸かるくらいの水を入れて火にかける
- 柔らかくなるまで煮込み、冷ます
- 崩した豆腐を器に盛り、4をかけて出来上がり
手作りご飯を作る時間がないときは、昆布だしのスープだけドライフードにトッピングしてもいいですね!
なお、今回ご紹介レシピで使用した食材について詳しく知りたい方は、下記のリンク先で解説しています。
- ささみについて知りたい方は【犬にささみを与えるメリット&おすすめレシピ】をご確認ください。
- 大根について詳しく知りたい方は【犬に大根を与えても大丈夫!与え方や注意点】をご確認ください。
昆布だしご飯を与えるメリット

- 昆布の栄養素を活用できる
- 食事からも水分補給ができる
- 食欲が低下しているときに活用できる
昆布だしご飯は、昆布に含まれる栄養価が期待できるだけでなく、食事から適度な水分摂取ができるというメリットもあります。
犬によっては普段からあまり水分補給をしなかったり、老衰やによって水をあまり飲まなくなることがあります。
季節によって水分摂取量が減る犬もいます。
そのため、常にきれいな水が飲めるよう準備してあげることはもちろん、日頃から食事からも水分を摂取できるように工夫してあげると良いでしょう。
また、昆布だしは人の嗅覚ではあまり香りを感じにくいのですが、嗅覚が鋭い犬にとっては食欲を上げるのにも役立ちます。
塩分も適度に含まれているので、食欲が低下している時にも昆布だしを活用すると良いでしょう。
犬に昆布を与えるときの注意点

昆布は犬が食べて良い健康食材です。
しかし、与えるときには注意しなければいけないこともあります。
- アレルギーに注意する
- 与えすぎに注意する
- 犬が消化しやすいように調理する
- 味付けはしない
昆布にアレルギーを示すときは与えない
昆布に限りませんが、犬が食べていい食材であっても、初めて与えるときはアレルギーに注意してごく僅かな量から始めましょう。
【犬の食物アレルギーの症状(一例)】
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の赤みや痒み
- 目の充血
犬のアレルギーの症状の現れ方には、個体差があります。
昆布を食べてこれらの症状が見られたときや、様子がおかしいときは動物病院を受診してください。
与えすぎに注意
昆布は栄養豊富ですが、食物繊維やミネラル、ヨウ素がとても豊富なため、与えすぎには注意しなければいけません。
犬がどれだけ昆布を食べていいかは、犬の大きさによって異なりますが、ドッグフードを与えている場合では、1日に必要なカロリーのうちの10%程度以内にとどめましょう。
昆布のカロリーは種類によって異なりますが、100g当たり105kcal~170Kcalですので、与える量は以下を参考にしてください。
- 超小型犬であれば10g以内
- 小型犬であれば20g以内
- 中型犬では30g以内
- 大型犬では40g以内
昆布だしのスープをドライフードにトッピングする場合は、3〜5日に1回程度にしましょう。
手作りご飯を作るときは、さまざまな食材をバランス良く使用して、昆布だけが多くならないように注意してください。
細かく刻む
人間でも昆布は消化しにくい食材です。犬に与えるときは消化不良を起こさないように細かく刻みましょう。
愛犬が消化しやすいように工夫してあげることが大切です。
また、乾燥昆布も犬が食べていい食材ではありますが、固いためそのままでは飲み込むときに喉を傷つけてしまうことがあります。
犬に乾燥昆布を与えるときは、粉末にするか柔らかく煮るなどの工夫が必要です。
昆布の手作りレシピに味付けはNG!
昆布はさまざまなものが販売されていますが、犬が食べていい昆布は味付けや加工がされていない昆布です。
【犬に与えても良い昆布】
犬に与えて良い昆布は、以下通りです。
- 低塩分昆布
- 無添加のとろろ昆布
- 無塩昆布のだしがら(出し殻)
- 昆布のだし汁
- 犬用の昆布
通常の昆布をだしにしてご飯を作る場合は、軽く昆布を水を付けたキッチンペーパーで拭いてからだしをとりましょう。
昆布のだしがらやだし汁を犬に与えるときは、調味料を加えないことはもちろん、犬が食べてはいけない食材と煮たものは与えないようにしてくださいね。
昆布は犬が食べていい健康食材!昆布を上手に活用しよう

今回は、犬に昆布を与えるメリットや注意点についてご紹介しました。
注意することもありますが、適量であれば昆布は犬にとって嬉しい効果がたくさん期待できる食材です。
昆布は味付けをしていなければ、だしがらもだし汁もすべて犬が食べて良いということもあって、手作りご飯の食材としてだけでなく、いつものフードのトッピングにもおすすめです。
愛犬の食事のバランスを考えながら、昆布を活用してみましょう。
その他、うちのトイプーでは犬の食事について幅広くご紹介しておりますので、興味がある方は【犬の食事カテゴリー】もご確認ください。

うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。