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犬の前足や後ろ足がおかしい時に考えられる病気10個

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a dog with red sweater

愛犬の歩き方、立ち上がり方、座り方などの行動や仕草がいつもと違うと感じたら、そこには必ず理由があるはずです。

擦り傷程度のちょっとした怪我が原因なら、治療せずに放置することもあるかと思います。

しかし、なんらかの足の病気が原因だとしたら、適切な治療なしには悪化の一途をたどることになるでしょう。

この記事では犬の前足、後ろ足、前足後ろ足とも、というように、症状の部位別に生じやすい犬の足の病気について解説します。

なお、愛犬の足に力が入らないような様子が確認できる場合は、【犬の足に力が入らなくなる?考えられる6つの病気や原因、対策法】を合わせてご確認ください。

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前足に症状がでやすい犬の足の病気3つ

一般的に犬は歩いたり走ったりする時は、後ろ足より前足により多くの体重をかけています

そのため、前足に症状が出ると動作に支障が出やすく、犬の前足の異常は比較的早期に発見することが可能です。

犬の肩関節不安定症

生まれつき肩関節が緩い、あるいは過度の運動で慢性的に肩関節を傷めている犬に発症しやすい病気です。肩関節がゆるんで外れやすく、肩関節周囲の靭帯や腱の損傷も引き起こします

中型犬・大型犬に多くみられますが小型犬にも発症し、中でもトイプードルは比較的好発種です

症状の一例

前足に力が入らない・片方の前足を浮かせる・頭を上下させて歩く・運動中に前足を痛がる

一般的な治療法

鎮痛剤の服用・運動制限・関節がはまらない場合は外科手術で固定

犬の成長板早期閉鎖症

前足の手首と肘の間にある橈骨(とうこつ)と尺骨のうち、どちらかの成長板が損傷したことで前足の成長障害を起こします。体が成長しきっていない1歳未満の犬に発症することがほとんどの病気です。

症状の一例

前足の左右の長さが違う・前足の向きの異常・肘関節の亜脱臼・歩行障害・足を地面に付くと痛がる

一般的な治療法

骨を切る外科手術(骨切り術)による肘関節の改善

成長板とは:足の骨の端部分にある軟骨領域のこと。成長期の骨を伸ばす働きがある。

犬の肘関節形成不全(肘異形成)

犬の肘関節を形成する「上腕骨・橈骨・尺骨」のどれかに異常があり、3本の骨の噛み合わせが悪くなることで運動障害が引き起こされます

骨が成長する時期に起こりやすく、1歳未満の成長期に発症することがほとんどです。

症状の一例

歩き方がおかしい・前足の形に異常がみられる・運動を嫌がる・前足を付くと痛がる・前足の関節に水が溜まる

一般的な治療法

運動制限・抗炎症剤や鎮痛剤の投与・骨切り術や軟骨除去などの外科手術

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後ろ足に症状がでやすい犬の足の病気5つ

犬の後ろ足に症状がでやすい病気の原因には、後ろ足そのものの異常だけではなく、脊椎・脊髄や脳疾患なども考えられます

犬の股関節形成不全

大腿骨と骨盤が結合する股関節部分の形状が先天的に異常な状態で、大腿骨先端部(骨頭)が収まるはずの股関節部分のへこみが浅く、常に亜脱臼しているような不安定な状態ではまっています。

一般的に子犬の頃は目に見えるような症状が表れず、生後6ヶ月を過ぎたあたりから少しずつ兆候が出始めることが多いようです。

症状の一例

歩くときに腰が左右に振れる・うさぎ跳びのように両方の後ろ足で地面を蹴る・歩くとき後ろ足がスキップのような動きをする・後ろ足をうまく折りたためず横座りする・運動を嫌がる

一般的な治療法

犬の年齢が成長期あるいは症状が軽度 → 運動制限・肥満防止の食事管理
症状が中程度で痛みがある → 抗炎症剤や鎮痛剤の投与・運動制限・肥満防止の食事制限
投薬治療では効果がなく運動機能に障害がある → 外科手術

股関節形成不全の好発犬種:ゴールデンレトリーバー・ラブラドールレトリーバー・ジャーマンシェパード・バーニーズマウンテンドッグ・ニューファンドランドなどの大型犬種

犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)

犬の後ろ足の膝部分にある膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置から外れる状態のことで、遺伝的に膝関節や周辺の筋肉に形成異常がある先天性と、落下や転倒などが原因の後天性があります。

症状の一例

足を引きずって歩く・痛い方の後ろ足を浮かせる・スキップするような走り方・膝部分を触ると痛がる・後ろ足が極端なX脚(外向きの膝蓋骨脱臼)またはO脚(内向きの膝蓋骨脱臼)

一般的な治療法

症状が軽い場合 → 経過観察・消炎剤の投与・体重管理
症状が進行し慢性的な痛みがある → 外科手術

膝蓋骨脱臼の好発犬種
ポメラニアン・チワワ・ヨークシャーテリア・トイプードル・イタリアングレイハウンド・マルチーズ・豆柴などの小型犬種全般
中・大型犬種はチャウチャウ・シャーペイ・ラブラドールレトリーバー・フラットコーテッドレトリーバーなど

なお、膝蓋骨脱臼についての詳しい情報は【膝蓋骨脱臼の症状や予防法】をご確認ください。

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犬の前十字靭帯断裂

後ろ足の膝関節の中にある前十字靭帯の損傷や断裂により、膝関節が不安定になる病気です。

犬はどのような姿勢をとっても膝が一定の角度に曲がっているため、肥満や加齢によって膝に過度の負荷がかかると強度が落ちた前十字靭帯は断裂しやすくなります。

症状の一例

後ろ足を地面に付けず浮かせる・後ろ足を引きずる・強い痛み

一般的な治療法

抗炎症剤や鎮痛剤の投与・運動制限・外科手術

犬のレッグ・ペルテス病

大腿骨と骨盤を連結している大腿骨頭の血流悪化により、大腿骨頭が壊死する病気です。

主に体重10kg未満の小型犬種に発症し、成長期(生後13カ月以下)に症状が発現すると徐々に気になる行動が増えますが、突然症状が重くなることもあります。

症状の一例

後ろ足を引きずる・後ろ足に力が入らない・後ろ足を触ると痛がる・後ろ足の筋肉の衰え

一般的な治療法

症状が軽い場合 → 安静療法・運動制限・鎮痛剤の投与
症状が重い場合 → 壊死が広範囲にわたる場合は外科手術による大腿骨頭の切除と人工関節の装着

レッグ・ペルテス病の好発犬種:ミニチュアピンシャー・トイプードル・ウェストハイランドホワイトテリア(ウェスティー)など

犬の椎間板ヘルニア

脊椎・脊髄疾患である椎間板ヘルニアの中で、後ろ足に係わる腰椎の神経が損傷すると後ろ足の動きに異常が生じます

症状の一例

軽度の症状 → 足を痛がる・抱っこを嫌がる・階段の上り下りを避ける・背中をまるめる
軽度の麻痺 → 後ろ足に力が入らない・歩くとふらつく
重度の麻痺 → 立ち上がれない・尿がでない・便がでない・尿失禁・便失禁

一般的な治療法

症状は痛みだけ → 安静療法・非ステロイド性消炎鎮痛剤の投与・ステロイドの投与
軽度の麻痺 → ステロイドの投与・薬で効果があがらない場合は外科手術
重度の麻痺 → ステロイドの投与・外科手術・コルセット着用・鍼治療など

椎間板ヘルニアの好発犬種:ミニチュアダックスフンド・フレンチブルドッグ・シーズー・ビーグル・ウェルシュコーギーペンブローク・ジャーマンシェパード・ラブラドールレトリーバーなど

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前足後ろ足とも症状がでる犬の足の病気2つ

犬の骨関節炎

骨と骨が接触することで関節面の軟骨が摩耗・損傷し、関節の変形を引き起こして痛みや腫れを生じさせます

原因の多くは肥満と加齢のため、発症する犬の多くは高齢犬です。

症状の一例

肩関節や前足の関節に発症すると、歩くときの頭の位置が不自然に上下します。また、後ろ足の関節に発症すると足を引きずったり、きれいにお座りできず横座りのような姿勢をとるようになります。

一般的な治療法

体重管理・運動療法による筋肉の強化・非ステロイド性消炎鎮痛剤の投与・グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメント投与

犬の骨軟骨症

骨を成長させる骨端軟骨に異常が生じ、軟骨は増殖するのに骨が成長しないことで脆い骨が出来上がる状態のことです。

生後4ヶ月~8ヶ月ぐらいの成長が著しい時期に発症するこの病気は、前足の場合は尺骨や上腕骨、後ろ足の場合は大腿骨と足根骨(足首の骨)が好発部位です。

症状の一例

足を引きずる・足を曲げると痛がる・運動したがらない・関節に水がたまる・筋肉の衰え

一般的な治療法

抗炎症剤や鎮痛剤の投与・運動制限・運動療法による筋力維持・体重管理

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痛がらない犬の足の病気と痛がる足の病気

愛犬の足がおかしいと感じたら、病院へ行く前にまずは痛みの有無を確認しましょう。

痛がる場合も痛がらない場合も、原因には病的なものとそうでないものとがあります。

また、足の痛み以外に何か気になる様子がないかもチェックしてください。

あわせて、ここ数日の間で気になる行動がなかったをしっかり思い出してから病院へ行くと、診断の手助けになることがあります。

愛犬が足を痛がらない場合にチェックすること

・足が震えていないか ・一時的な血行不良(足のしびれ)を起こす姿勢をとっていなかったか ・正常に立ったり座ったりできるか ・歩き方におかしいところはないか ・ここ数日の食欲・排尿・排便は正常だったか

愛犬が足を痛がる時にチェックすること

・痛がるのは前足後ろ足のどの部分か ・肉球に切り傷・擦り傷などはできていないか ・爪が割れていないか ・指にケガをしていないか ・肉球や指の間にトゲなどの異物が刺さっていないか ・高いところから落下した形跡はないか ・転倒やスリップをしなかったか

犬の足の病気は早期発見・早期治療が大切!

犬は飼い主さんの気をひこうと、足が痛くないのに足を引きずるような素振りを見せることもあります。

もしも愛犬がそういった行動をよくとるとしても、足の様子がおかしいと感じたら必ずチェックしましょう。

仮病かもしれないという思い込みは、病気の発見を遅らせる原因です。

犬の足の病気が進行すると大好きなお散歩や運動を制限しなければいけなくなり、愛犬も飼い主さんも辛い思いをすることになります。

予防の難しい足の病気も、早期発見と早期治療で生活の質(QOL)を維持することは可能です。

愛犬といつまでも楽しく過ごすためにも、散歩のたびに犬の歩き方や走り方を確認する習慣をつけましょう。

なお、愛犬の足に力が入らないような様子が確認できる場合は、【犬の足に力が入らなくなる?考えられる6つの病気や原因、対策法】を合わせてご確認ください。

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監修者:望月 紗貴

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。

公式HP:https://true-dog-lover.com/

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