- 犬の食事
夏の「土用の丑の日」が近づくと、ウナギが食べたくなる方も多いのではないでしょうか。
また、ウナギは夏バテに効果が期待出来る食材ですので、愛犬にもウナギを与えたいと考えている飼い主さんも多いと思います。
ウナギには多くの栄養効果が期待できますが、与える際には色々な事に注意しなければいけません。
今回は、愛犬にウナギを与えたい考えている飼い主さんや、愛犬の手作りごはんの食材に悩んでいる飼い主さんのために、犬に与えて良いウナギや犬にウナギを与えるメリット・注意点などについて詳しくご紹介します。
なお、犬の手作りご飯の食材に悩んでいる方は【犬の手作りごはんのおすすめ食材8選!】も合わせてご確認ください。

犬にウナギはOK?

ウナギは、犬が食べれる食材の1つです。
ウナギには栄養素が豊富に含まれているため、上手に活用することで愛犬の健康に役立てる事ができます。
しかし、生のウナギには毒が含まれていたり、ウナギ自体が骨が多い魚ですので、与える時は注意点を守って与えるようにしましょう。
なお、犬が食べて良い魚と悪い魚を知りたい方は【犬が食べて良いもの・悪いもの】をご確認ください。
犬に与えて良いウナギとは?

犬がウナギを食べれるからといって、どんなウナギでも与えていいわけではありません。
生のウナギには、タンパク質性の「イクチオヘモトキシン」と呼ばれる毒が含まれていたり、人がよく食べる蒲焼きにはタレが付いているため、犬にとっては糖分や塩分が多すぎます。
そのため愛犬に与える時は、人用に調理されていないウナギをしっかりと加熱してから与えましょう。
また、ウナギは栄養価が高く脂質も多いため、カロリーも高い食材です。
ウナギを中心にどんな食材であっても、与えすぎは禁物。肥満や栄養バランスの乱れを中心に様々な健康トラブルを引き起こすため、与えすぎないように注意してください。

犬にウナギを与えるメリットと注意点

ウナギに含まれる栄養素と、その栄養素を犬に与えるメリットをご紹介します。
犬にウナギを与えるメリット
ウナギには、豊富なビタミン類やその他カルシウムなどの栄養素が含まれています。
ビタミンA
ビタミンA(レチノール)は、被毛や皮膚の健康状態を保つ効果があり、毛並みや毛艶が良くなったり皮膚トラブルの予防効果も期待できるビタミンです。
また、ビタミンAが不足してしまうと皮膚に関する病気だけではなく、目や繁殖機能に問題が起こる恐れがあり、感染症や肺疾患の併発が起こりやすくなる場合があります。
しかし、与えすぎは禁物。ビタミンAは水に溶けにくい「脂溶性ビタミン」の一種で長期継続して与えたり、たくさん与えると過剰症のリスクも高まります。
ビタミンB1
ビタミンB1(チアミン)は、愛犬の粘膜・皮膚の健康維持に効果が期待できる栄養素です。
ビタミンB1が不足してしまうと、筋力が低下したり、疲労感を感じやすくなる恐れがあります。皮膚トラブルが多い犬についてはおすすめの栄養素です。
なお、愛犬に皮膚トラブルが多い場合は【愛犬に免疫力を高める生活を!皮膚と免疫力の関係】もあわせてご確認ください。
ビタミンB2
ビタミンB2(リボフラビン)は、愛犬の被毛・皮膚の健康を保つために必要です。
また、犬が元気に過ごすために必要なエネルギーを、たんぱく質や脂質、糖質から変換する作用もあります。
ビタミンB2が不足してしまうと、被毛・皮膚の乾燥につながり、光線過敏症という紫外線に過剰に反応する病気を発症する恐れがあります。
ビタミンD
ビタミンD(カルシフェロール)は、カルシウムの吸収を助ける重要なビタミンです。
犬にとってカルシウムを効率よく吸収することは、骨粗しょう症や骨折予防につながります。
ビタミンDが不足してしまうと、体重が減ってしまったり、骨に関するトラブルから筋肉や関節に痛みが出る恐れがあります。
ビタミンE
ビタミンE(トコフェロール)は、抗酸化作用があるビタミンです。
過剰な活性酵素を除去することで、老化や免疫力の低下を防ぐ働きがあります。
ビタミンEが不足してしまうと、筋力が低下したり、生殖障害を引き起こす恐れがあり、皮膚トラブルや免疫力に関するトラブルも起こる可能性があります。
しかし、ビタミンA同様にビタミンDやビタミンEも脂溶性ビタミンですので、過剰症に注意が必要です。継続して与えすぎないように注意しましょう。
カルシウム
カルシウムは歯や骨など骨格だけではなく、細胞の神経刺激や情報の伝達にも大きく関係し、どのライフステージでも欠かせない成分です。
しかし、成長期に多く与えすぎると成犬になってからの関節トラブルの原因になるので、適量を守ることが大切です。
※ライフステージ:子犬期、成犬期、老犬期など、犬の一生を段階ごとに分けたもの。
DHA・EPA
ウナギには、必須脂肪酸であるDHAやEPAが豊富に含まれています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、悪玉コレステロールの減少や記憶力の改善など、さまざまな効果が期待出来る成分です。
特に、網膜や脳に多く含まれる脂肪酸であるため、身体の組織の成長する時期(幼犬期や成長期)には欠かすことが出来ません。
EPA(エイコサペンタエン酸)は、血管に関する病気の予防、中性脂肪減少などの効果が期待でき、他にも皮膚トラブルが多い犬については、EPAやDHAは積極的に与えたい栄養素です。
炎症や痛みの緩和作用が期待できることから、動物病院でもサプリでの追加摂取を推奨しているケースがあります。

犬にウナギを与える際の注意点
愛犬にウナギを与える際には、注意すべき点がいくつかあります。
生のウナギはNG!
生のウナギには、「イクチオヘモトキシン」と呼ばれる毒が含まれているため、絶対に与えないでください。
「イクチオヘモトキシン」を大量に摂取した場合、嘔吐や下痢、不整脈、麻痺、呼吸困難などさまざまな症状が起こり、最悪の場合死に至る危険性があります。
しかし、「イクチオヘモトキシン」は「60℃、5分の加熱で毒性を失うので、通常の加熱調理をすれば食品衛生上の問題はない」と厚生労働省から公表されています。
そのため、愛犬に与える際はしっかり加熱したウナギを与えましょう。
※参考:厚生労働省,自然毒のリスクプロファイル魚類:血清毒,2021年10月1日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_06.html
味付けしたウナギを与えない!
市販されている調理済みのウナギの多くは、タレなどで味付けがされています。そのため、犬には塩分過多であるので与えないで下さい。
骨に注意!
ウナギには多くの小骨があります。小さな骨であっても喉に刺さる事があるため、大きな骨を取り除いた後に細かくカットして下さい。
シニア犬や超小型犬などに与える場合は、特に注意する必要があります。
与えすぎない!
ウナギに限った話ではありませんが、与えすぎには注意しましょう。
特にウナギは、豊富な栄養と共に脂質も多く含んでいる食材であるため、与えすぎは肥満につながります。犬の肥満は、さまざまな健康トラブルを引き起こすため、与える量には気をつけて下さい。
アレルギーには要注意!
ウナギなどの犬が食べれる食材であっても、はじめて与える場合はアレルギーに注意し、少量ずつ与える様にしましょう。
【犬の食物アレルギーの症状(一例)】
- 下痢
- 嘔吐
- 目の充血
- 皮膚の赤みや痒み
犬のアレルギーの症状の現れ方は個体差がありますが、ウナギを食べた後に上記の症状が見られたときや、様子がおかしいと感じた時は獣医師に相談して下さい。
愛犬にウナギを与えるときは注意点を守ろう!

今回は、犬に与えて良いウナギや、犬にウナギを与えるメリットや注意点などについてご紹介しました。
ウナギは、愛犬と共に食べれる「夏の風物詩」であるため、愛犬と一緒に夏を感じられるのは嬉しいですよね。
さらに、ウナギには多くの栄養素が多く含まれているため、健康にも良い食材です。食べる事で季節を感じられ、健康にも良いウナギはまさに一石二鳥の食材といえるでしょう。
もちろん、夏以外の季節でも売っているお店もあるので、年中味わう事ができます。
しかし、与える際には注意点もあるため、飼い主さんは今回ご紹介した事を守って愛犬に与えるようにしてください。
なお、犬の食事について詳しく知りたい方は【犬の食事カテゴリー】をご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。犬の管理栄養士、犬の管理栄養士アドバンス、ドックトレーニングアドバイザー、ドックヘルスアドバイザー、愛玩動物救命士、愛玩動物介護士、ペットロスケアマネージャー、犬猫行動アナリストなどのペット関連資格を保有。愛犬との出会いをきっかけに「人と犬の生活をより良くするための力になりたい」という思いが強まり、犬の栄養学記事を主に執筆する。メスのチワワ×ミニチュアダックスフントのミックス犬2頭と共に暮らす。
Petime.Plus公式HP:https://petime-plus.com/

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。