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いざ愛犬にデンタルケアをしようと思うと、嫌がって口を触らせてくれなかったり、歯ブラシを見ただけで逃げ出されてしまい「今日はいいか」と先延ばしにしていませんか?
犬のデンタルケアには重要な意味があり、怠ると犬の健康に悪影響を及ぼします。
今回は、愛犬が歯磨きをさせてくれないと悩む飼い主さんのために、犬のおすすめのデンタルケア方法とデンタルケアの重要性についてご紹介します。

犬のデンタルケアはなぜ大切?

犬のデンタルケアのグッズがたくさん販売されていたり、犬の歯磨きが推奨されているのには、しっかりとした理由があります。
犬のデンタルケアは、ただ口臭の予防や見た目を美しく保つためだけのものではありません。
ここでは、犬のデンタルケアが大切な理由をご紹介します。
犬は歯垢が歯石になるのが速い
犬は歯垢から歯石になるまでの期間が3~5日と速く、歯石は石灰化した歯垢のため簡単に取り除くことはできません。
また、歯石は表面がザラザラしており、歯垢が付きやすくなるので、ますます歯石になっていくという悪循環を繰り返すようになります。
デンタルケアを怠った場合の3つのリスク
犬のデンタルを怠った場合、歯石除去のために全身麻酔が必要になったり、歯周病になりやすくなるなど様々なリスクが伴います。
全身麻酔による施術が必要になることがある
犬のデンタルケアを怠ると、歯石取りや抜歯のために全身麻酔による施術が必要になる可能性があります。
最近は無麻酔での歯石取りをする病院もありますが、犬が痛みや恐怖を感じるだけでなく、歯と歯肉の隙間に入り込んでいる歯石や汚れを取り除くことはできません。(※1)
犬は人間のようにじっと大人しく口を開けていてくれるわけではないため、獣医師にも犬にも安全で、尚且つきちんと歯石を取り除いたり抜歯するためには全身麻酔が不可欠です。
犬の全身麻酔のリスク
犬の全身麻酔の死亡率は0.17%(※2)とされているほか、腎臓や心臓に負担がかかるなど全身麻酔には様々なリスクがあります。
もちろん獣医師も安全に施術をするよう尽力してくれているため、必要以上に怖がる必要はありませんが、デンタルケアを怠って頻繁に歯石取りや抜歯で全身麻酔を愛犬にかけるのは避けたいところです。
(※1)参考:日本小動物歯科研究会「無麻酔で歯石を取る?!」
https://www.sadsj.jp/download/dental_scaling.pdf
(※2)参考:National Library of Medicine「The risk of death: the confidential enquiry into perioperative small animal fatalities」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18466167/
歯周病になりやすくなる
歯周病とは
歯垢は細菌の集まりで、歯垢が犬の歯と歯茎の間に溜まり、細菌が繁殖して炎症を起こす病気
犬は人間のように自分で歯磨きする習慣はなく、口の中が弱アルカリ性のため、虫歯菌は作られにくい一方で歯周病菌が繁殖しやすい環境です。
ただでさえ歯周病菌が繁殖しやすい環境なのに、犬のデンタルケアを怠ると犬の歯垢が歯石となり、そこに細菌や食べカスなどが付いてどんどん菌が繁殖していきます。
3歳以上の犬の80%が歯周病に罹患していると考えられており、デンタルケアを怠ることは歯周病の発症を高めるリスクがあるのです。
実際、どれだけの犬が歯周病にかかっているかは、様々な国や地域で統計を取っていますが、どの国の犬も歯周病にかかっている率は高く、アメリカで行われた調査では86.2%の犬が歯周病でした。(※)
年齢と共に歯周病になるリスクが高まることもわかっており、歯周病を予防するだけでなく、進行させないためにもデンタルケアは重要です。
(※)参考:National Library of Medicine「インディアナ州とイリノイ州の商業繁殖施設における犬(Canis familiaris)の個体群における歯周病の有病率を推定するための横断研究」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29346448/
歯周病から内臓の病気に発展する可能性がある
犬のデンタルケアを怠った場合のリスクは、歯周病になるだけではありません。
犬が歯周病になると、歯周病菌や炎症によって作られる毒性物質が血液にのって全身に回り、犬の体に重大な悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
犬の腎臓病や肝臓病はもとより、歯周病と犬の心臓病に関連があることは証明されている(※)ため、デンタルケアをしてあげるのは愛犬のためでもあります。
(※)参考:National Library of Medicine「犬の歯周病と全身性疾患の関係」
https://pubmed-ncbi-nlm-nih-gov.translate.goog/31226571/
なお、愛犬の口臭にお悩みの飼い主さんは【犬の口臭の原因と自宅ケア方法】も合わせてご確認ください。
犬のおすすめデンタルケア方法6選

犬のデンタルケアの重要性はわかっても、愛犬にどんなデンタルケアをすればいいかわからないという飼い主さんは多いでしょう。
歯磨きが苦手な犬もおり、デンタルケアが上手にできないといった飼い主さんでもできるケア方法をご紹介します。
犬のデンタルケアは歯磨きが一番効果的
犬のデンタルケアで一番効果が期待できるのは、歯ブラシで磨いてあげることです。
歯ブラシは犬の歯と歯茎の間など細かいところもしっかり磨くことができ、歯の裏側のケアも行いやすいというメリットがあります。
ただし、歯ブラシのサイズが大きすぎると口の中を傷つけてしまったり、歯磨きを嫌がるようになってしまうため注意してください。
歯ブラシを選ぶときの注意点
・毛質が柔らかいものを選ぶ
・歯ブラシのヘッドサイズは愛犬の口のサイズに合わせて選ぶ
・飼い主さんが持ちやすく動かしやすい長さのものを選ぶ

歯磨きが苦手な犬は歯磨きシートがおすすめ
犬が歯磨きが苦手であれば、歯磨きシートを使用しましょう。
歯磨きシートは指に巻いて拭くだけなので、犬が歯ブラシほどの違和感を感じにくいです。また、飼い主さんの指に巻き付けているため、気づかれずに口の中に入れやすいというメリットがあります。
しかし、歯ブラシのように隙間に入り込むわけではないため、歯についた汚れを取り除く効果は低くなります。
歯磨きを怖がる犬は指サック形の歯ブラシがおすすめ
犬が歯磨きを怖がるようであれば、指サック形の歯ブラシを使用しましょう。
飼い主さんの指にフィットするような柔らかい素材でできているものが多いため、歯磨きを怖がる犬でも使用しやすいです。
ただし、歯磨きの途中で抜けてしまうと誤飲の可能性があるため、抜け落ち防止フックのあるのもや滑りにくい素材で作られたものを選びましょう。
どうしてもデンタルケアできない犬はおもちゃやおやつを活用
犬のデンタルケアの方法は、歯ブラシによる歯磨きや歯磨きシートがおすすめですが、犬によっては激しく抵抗することもあり、どうしてもデンタルケアが難しいこともあります。
その場合、犬のデンタルケア用のおもちゃやおやつを活用しましょう。
犬に1日1本デンタルケア用のガムを与えるだけでも、デンタルケアをしなかった場合と比べて歯垢の付着が54.8%減少し、歯石の付着においては62.0%減少したという研究結果もあります。(※)
もちろん個体差はありますが、何もしない状態よりはずっと有効なケアのため、愛犬の歯磨きが難しい場合はデンタルケア用のおもちゃやおやつを活用してくださいね。
デンタルケア用のおもちゃを選ぶ際の注意点
・おもちゃを噛んで食べてしまっても安全な素材でできたものを選ぶ
・おもちゃは愛犬の体の大きさに合ったものを選ぶ
・形状の異なるおもちゃを複数用意する
(※)参考:J-STAGE「デンタルガムによる犬の口腔内衛生効果」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/17/4/17_4_109/_article/-char/ja/
最近増えている犬用デンタルケアサプリ
最近では、ジェルをそのまま犬に舐めさせたり、フードにふりかけて使用する粉末状のもの、おやつのように食べられる錠剤など、様々な犬用デンタルケアサプリがあります。
デンタルケアサプリの特徴は、犬の口腔内環境を整えてくれるものなので、犬の口の中に長くとどまらせることが重要です。
錠剤タイプでは犬がすぐに飲み込んでしまうこともあるため、細かく砕くなどして舐めさせる方法をおすすめします。
犬用デンタルケアサプリは歯がない犬にも有効!
歯がある犬なら歯磨きはもちろん、デンタルケア用のおもちゃやおやつも与えれば歯周病予防になりますが、歯がない犬ではデンタルケアができません。
歯がなくても歯周病のリスクはあるため、デンタルケアサプリを活用しましょう。
犬用デンタルケアグッズにはスプレーやリキッドも
犬の口の中に直接スプレーしたり、リキッドを口の中に垂らす、飲み水に垂らすだけといったデンタルケアグッズも販売されています。
商品によっては歯茎が腫れている、口内炎があるなど、口の中を触れない犬にも使用できるものもあるため、愛犬の口の中に状況によって使い分けてもいいでしょう。
なお、愛犬の口臭にお悩みの飼い主さんは【犬の口臭の原因と自宅ケア方法】も合わせてご確認ください。
犬のデンタルケアのトレーニング方法

いきなり犬に歯磨きしようとしても、警戒や恐怖心から抵抗されてしまいます。まずは犬の口に触れるようになることから始めましょう。
- コングの形のように軽く握った手の中におやつを入れて、犬が自分からマズルを入れてくるようにする
- おやつに夢中になっている隙に、もう片方の手で口元を優しく触る
- 犬がおやつを食べているときに口元を触られることに慣れてきたら、おやつなしで口唇をめくり、歯や歯茎に触れるようにする。触らせてくれたらおやつを与えて褒める
- 少しずつ触る時間を伸ばし、歯茎に指を沿わせて奥歯のほうに入れる。できたらここでもおやつを与えて褒める
- 口の中に指を入れられるようになったら、歯磨きシートや水に湿らせたガーゼを指に巻き、前歯を磨くことに慣れさせる
- 犬が前歯を磨くことに慣れたら、奥歯も同様に慣れさせる
- 水で湿らせたり、犬用デンタルジェルなどをつけた歯ブラシを犬に口に入れ、優しく歯に当てて慣れてもらう
- 歯ブラシに慣れたら前歯を磨き、前歯に慣れたら奥歯を磨く
愛犬にデンタルケアをするのは、慣れてもらうことが何よりも大切です。歯磨きの時間が楽しいものであると思ってもらえるようにおやつを活用しながら行いましょう。
犬のデンタルケアトレーニングの注意点
・1本でも磨けたら褒めておやつを与える
・嫌がるまで続けず短時間で終らせる
・歯磨きするときは力を入れず優しく行う
・痛がったり歯茎から出血が見られたときは動物病院を受診する
・数本ずつでもいいので、毎日行って歯磨きを習慣にする
愛犬のデンタルケアは歯磨きが一番おすすめ

今回は、犬のおすすめデンタルケア方法やデンタルケアの重要性についてご紹介しました。
たかだか歯と思ってデンタルケアを怠っていたら、犬の全身に重大な悪影響を及ぼすと知ると、愛犬にちゃんとデンタルケアをしてあげようと思ったのではないでしょうか。
犬のデンタルケアは毎日歯磨きすることが理想でおすすめの方法ですが、犬によっては逃げ出してしまったり、怒って歯磨きさせてくれないこともあります。
無理に行うとますますデンタルケアをさせてくれなくなってしまうため、頻度やケア方法は愛犬に合わせて考えてあげましょう。
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なお、うちのトイプー商品詳細については【うちのトイプーについて徹底解説!】をご覧ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。