- 犬の食事
犬の下痢や嘔吐は珍しいものではありませんが、頻繁に起こるようであれば動物病院の受診はもちろん、胃腸ケアや消化器ケアが必要です。
消化器サポートなどの療法食が必要になることもあれば、普通のドッグフードで胃腸ケアをすることになりますが、どちらも胃腸に負担をかけないことが重要なポイントです。
今回は愛犬の消化器トラブルで悩む飼い主さんのために、犬の消化器ケアドッグフードの選び方や注意点についてご紹介します。
なお、「うちのトイプー」では犬の食事管理に役立つ情報を幅広く紹介しておりますので、興味がある方は【食事カテゴリー】もご確認ください。

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犬の消化器の働き

犬の消化器は、口から食べたものを胃に運び、胃である程度消化して、小腸で本格的な消化と吸収をします。
大腸では小腸で消化吸収しきれなかったたんぱく質や炭水化物の消化吸収と便の形成、直腸で便を溜めておき一定の量がたまると排便を促す、という一連の働きをする器官です。
犬の消化器とは
・消化管:口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門
・消化管に付随する臓器:肝臓、胆のう、脾臓
→これらをまとめて消化器と呼ぶ
犬の消化器が正常に働いてくれることで、元気で健康な体を維持することができるのです。
犬の消化器が正常に働かないと十分な栄養が体に行き届かなくなる
犬の消化器が、何らかの原因によって食べたものの消化や吸収ができなくなってしまったり、消化管の通過そのものに影響を与えてしまうと、犬の体内に十分な栄養が行き届かなくなり、免疫力の低下をはじめとする様々な悪影響が及びます。
犬の消化器が正常に働かなくなってしまう原因は、老化やストレス、ドッグフードの急な切り替えや食物アレルギーといったものから中毒や病気など多岐にわたりますが、愛犬に以下のような症状が見られたときは消化器疾患が疑われるため動物病院を受診してください。
犬の消化器疾患が疑われる主な症状
・嘔吐 ・下痢や軟便、粘液便 ・下痢が3日以上続く ・便に血が混ざる ・お腹が膨れている ・食欲がない ・元気がない ・腹痛 ・体重減少 ・何度もトイレに行くが出ない、出ても少量
犬の消化器疾患について
犬に多く見られる胃腸炎や大腸炎も消化器疾患の1つですが、消化器疾患の種類はとても多く、中には緊急性を要する病気もあるため、犬が下痢や嘔吐をしたときは例え元気であっても、その後の様子をしばらく観察する必要があります。
犬の消化器疾患の種類の一例
急性胃腸炎 / 大腸炎 / 出血性胃腸炎 / 蛋白喪失性腸症 / 食道気管支瘻 / 膵炎 / 膵外分泌機能不全 / 小腸吸収不良 / 胆嚢粘液嚢腫 / 胆嚢炎 / 胆管炎 / 胆石 / 肝炎 / 肝硬変 / 腸閉塞 / 胃捻転 / 肝臓捻転 / 門脈大静脈短絡 / 肛門周囲瘻 / 消化管の腫瘍 / 肝臓の腫瘍 / 脾臓の腫瘍など
消化器ケアが必要な犬
消化器疾患の犬はもちろん、消化器疾患でなくても下痢や嘔吐が度々見られる犬は、何らかの原因によって消化吸収が上手にできていないため、胃腸ケアや消化器ケアをしてあげることが大切です。
犬の消化器サポートドッグフード選びの5つのポイント

胃腸ケアや消化器ケアが必要な犬は、消化吸収の能力が低下しているため、消化の負担がかかりにくく、消化吸収のサポートをしてくれるドッグフードを選ぶことをおすすめします。
「消化器サポート」や「消化ケア」、「消化器ケア」と記載された療法食のドッグフードもあり、消化器疾患を患っている犬では獣医師から処方や購入を指示されることもあるでしょう。
療法食であっても普通のドッグフードであっても、胃腸ケアや消化器ケアの基本は同じなので、しっかりおすすめポイントを押さえておいてくださいね。

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犬の消化器サポートを選ぶポイント①良質な動物性たんぱく質が使用されている
犬の消化器サポートドッグフードを選ぶときは、良質な動物性たんぱく質が使用されているものをおすすめします。
犬にとってたんぱく質は生命活動を維持する上で重要な働きをしてくれるものですが、良質な動物性たんぱく質は消化吸収に優れているため、胃腸ケアや消化器ケアが必要な犬の胃腸をサポートしてくれる働きもあります。
ドッグフードの原材料一覧の最初に肉や魚の名前が書かれているものを選んであげることはもちろん、使用されている肉や魚のグレードがある程度わかるものにしましょう。
ドッグフードを製造している会社のHPなどを見れば、どんな肉や魚を使用しているかが明記されていることも多く、明確にしているメーカーのドッグフードの方が安心でおすすめです。
犬の消化器サポートを選ぶポイント②質の良い脂肪が使用されている
犬の消化器サポートドッグフードを選ぶときは、質の良い脂肪が使用されているものをおすすめします。
胃腸ケアや消化器ケアが必要な犬にとって、ドッグフードの脂肪の質も重要なポイントです。
脂肪も犬にとって欠かせない栄養素で、エネルギー源はもとより脂溶性ビタミンの吸収のサポート、血液や細胞、筋肉などの成分など重要な役割も担っていますが、質の悪い脂肪は胃腸に負担がかかって胃腸ケアや消化器ケアに逆効果となってしまいおすすめできません。
服や魚に含まれる本来の脂分に加え、自然由来の油、オメガ3脂肪酸など、質の良い脂肪が使用されているものがおすすめです。
犬の消化器サポートを選ぶポイント③腸内環境をサポートする原材料や成分が使用されている
犬の消化器サポートドッグフードを選ぶときは、腸内環境をサポートしてくれる原材料や成分が使用されているものをおすすめします。
犬の腸内環境をサポートしてあげることも胃腸ケアや消化器ケアには欠かせません。
犬の腸内には善玉菌と悪玉菌、日和見菌が存在しており、菌同士がバランスを保っていますが、悪玉菌が増えてしまうことで体に様々な悪影響を及ぼします。
腸内環境は日々変動するため、腸内環境をサポートする成分を毎日継続して与えてあげる必要があります。
犬の腸内環境を整えることで下痢や便秘の改善が期待できる(※)ことはもちろん、免疫力のアップや健康維持にも役立ってくれるためおすすめです。
腸内環境をサポートしてくれるおすすめの食材の一例
・乳酸菌:ヨーグルト、チーズなど
・オリゴ糖:ごぼう、バナナなど
・食物繊維:さつまいも、かぼちゃ、ごぼう、ブロッコリー、リンゴ、海藻、玄米など
(※)参考:ペット栄養学会誌「イヌ・ネコにおけるプロバイオティクスについて」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/21/3/21_158/_pdf/-char/ja
犬の消化器サポートを選ぶポイント④アレルゲンとなり得る原料に配慮されている
犬の消化器サポートドッグフードを選ぶときは、アレルゲンとなり得る原料に配慮されているものがおすすめです。
犬の下痢や嘔吐といった消化器トラブルが、食物アレルギーから引き起こされていることも珍しくありません。
口から入ってきた食べものは腸で吸収されるため、食べものの成分が体の中に入る入口です。アレルゲンとなる物質に最初に触れるのが腸であり、腸がアレルゲンに反応して嘔吐や下痢といった症状を引き起こします。
犬が何に対して食物アレルギーなのかは動物病院で検査をしなければ分かりませんが、食物アレルギーは突然発症することもあり、毎回特定するのは困難です。
そのため、胃腸ケアや消化器ケアが必要な犬では、アレルゲンとなる可能性のある原料に配慮されたドッグフードを選んであげることをおすすめします。

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犬の消化器サポートを選ぶポイント⑤余計な添加物が使用されていない
犬の消化器サポートドッグフードを選ぶときは、余計な添加物が使用されていないものがおすすめです。
消化器サポートをしてくれるドッグフードに限らず、ドッグフード(特にドライフード)には保存や酸化防止のために添加物が使用されています。
添加物には天然由来の添加物と化学的に合成っされた人工添加物があり、気を付けなければいけないのは人工添加物です。
添加物の使用量についてはペットフード安全法(※)によって特定の添加物に上限が決められていますが、人工添加物はアレルギーや消化不良を引き起こす恐れがあります。
胃腸ケアや消化器ケアが必要な犬では、発色剤や着色料、香料といった余計な添加物が使用されていないものを選ぶほか、できれば天然由来の添加物を使用しているドッグフードがおすすめです。
(※)参考:環境省「ペットフード安全法・規格基準等」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/standard.html
犬の消化器サポートドッグフード選びで注意したいこと

犬の胃腸や消化器をサポートしてくれ、消化吸収の負担を軽くするための消化器サポートドッグフードですが、ドッグフードを選ぶときに注意しなければいけないこともあります。
療法食を与える際は必ず獣医師の指示のもとで!
ホームセンターやペットショップ、ネット通販などで誰でも療法食を購入することができますが、例え胃腸ケアのためであっても、「消化器ケア」や「消化器サポート」といった療法食を愛犬に与えるときは必ず獣医師に相談してください。
療法食は本来の犬に必要な栄養成分とは異なり、病気に合わせて特定の成分を多くしたり少なくしたりと栄養成分が調整されているものです。
療法食が必要ではない犬に療法食を与えていたことで健康被害を受けることも珍しくなく(※)、日本獣医師会でも獣医師の指示なく療法食を使用することに危惧しています。
「胃腸ケアのためなら大丈夫だろう」「消化器サポートや消化器ケアを与えていれば消化器疾患を予防できるのではないか?」と自己判断せず、獣医師の指示に従いましょう。
療法食とは
・獣医師の指導のもと、獣医師の治療の一環で家庭での食事療法に使用するもの
・病状によって変更や食事療法が終了になることもあるため通院時に獣医師に確認
(※)参考:日本獣医師会小動物臨床部会「療法食の適正使用に向けた課題と対応」
http://nichiju.lin.gr.jp/report/bukai/h25-ryouhousyoku.pdf
胃腸ケアがしたいなら消化の良い普通のドッグフードで
愛犬がいかにも体調が悪そうにしていれば、動物病院を受診するのにためらうことはないでしょう。
しかし、軟便や嘔吐がたまに見られるといった程度で、元気も食欲も変わらなければ、しばらく様子見しようと思う飼い主さんは少なくありません。
確かに、犬は食べ過ぎてしまったり勢いよく食べることで嘔吐することがあったり、食べたものの内容によって下痢や軟便になることも珍しくはないですね。
お腹が弱い犬や胃腸炎などを繰り返す犬の胃腸ケアに、消化器サポートなどのドッグフードを与えたいと考えることは普通のことですが、獣医師の指示がなければ愛犬に与えることはおすすめできません。
胃腸ケアをする方法
愛犬が病気などではなく単純に胃腸が弱いだけの場合は、胃腸ケアのために消化のよい普通のドッグフードを選んであげることをおすすめします。
膵炎を患っていたり脂肪分の制限がある犬でなければ、良質な脂肪が適度に含まれるドッグフードは消化が良く、少量で栄養が取れるため胃腸の負担も心配する必要はありません。
また、ドライフードよりもウェットフードのほうが消化の負担もかかりにくいため、胃腸ケアにも最適でおすすめです。
愛犬の胃腸ケアに不安があるときは獣医師に相談も
動物病院は、犬が病気のときやワクチン接種や健康診断でしか行ってはいけないと思っている飼い主さんは多いでしょう。
確かに愛犬が病院にかかる用事がなければ行くのをためらってしまう雰囲気ですが、愛犬の健康相談も立派な診療です。
胃腸ケアや消化器ケアでわからないことがあったり、自分で胃腸ケアをしても改善する様子が見られないといったときは、遠慮せずに獣医師に相談することをおすすめします。
相談することによって食事管理のアドバイスがもらえたり、場合によっては消化器サポートなどの療法食を提案してくれることもあります。
また、ドッグフードのメーカーによっては、ドッグフードのアドバイスをしてくれるところもありますが、愛犬の体の状態が分からないため、適切なアドバイスがもらえない可能性もありおすすめできません。
なお、愛犬が下痢や粘液便を繰り返す場合は、【愛犬が粘液便をしたときに考えられる6つの原因別の対処法】をご確認ください。
愛犬の胃腸ケアや消化器ケアに適切なドッグフードを選んであげよう

今回は、犬の消化器サポートドッグフード選びのおすすめポイントや注意点をご紹介しました。
犬にとって消化器官は、食べたものの消化や栄養の吸収などとても重要な役割があり、普段からの胃腸ケアや消化器のケアは大切です。
また、消化器疾患を患い消化器サポートの療法食が必要になってしまった犬でも、「消化器サポート」や「消化ケア」、「消化器ケア」と書かれたドッグフードならどんなものでもいいというわけではありません。
愛犬にいつまでも元気ですごしてもらうためにも、おすすめポイントを参考に胃腸ケアや消化器ケアに最適なドッグフードを選んであげましょう。
なお、「うちのトイプー」では犬の食事管理に役立つ情報を幅広く紹介しておりますので、興味がある方は【食事カテゴリー】もご確認ください。

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うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。