- 犬の病気
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犬の皮膚炎によって症状は様々ですが、どのタイミングで動物病院に連れていけばいいか、どんな治し方があるのかなど気になっている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬が皮膚炎になってしまうと痒そうにしていることも多く、QOL低下の原因になるため何とか治してあげたいものですね。
今回は、愛犬の皮膚に異変があり、動物病院に連れていくべきか悩んでいる飼い主さんや、皮膚炎の心配している飼い主さんのために、犬の皮膚炎の治し方についてご紹介します。
なお、愛犬の病気でお悩みの飼い主さんは【犬の病気カテゴリー】もご確認ください。

犬の皮膚炎の治し方は原因によって異なる

そもそも、犬の皮膚炎といってもその原因や症状は様々で、治し方は原因によって異なります。
犬の皮膚炎を引き起こす病気は、細菌や真菌、寄生虫疾患や角化の異常といった皮膚そのものに関連する病気をはじめ、免疫の疾患、ホルモンの疾患、腫瘍に至るまで様々です。
膿皮症1つをとってみても、表面性膿皮症表皮、表在性膿皮症、深在性膿皮症と分類され、治し方も異なってきます。
- 皮膚炎を引き起こす主な病気の種類
膿皮症 / 皮膚糸状菌症 / マラセチア皮膚炎 / マラセチア外耳炎 / 疥癬 / 耳疥癬 / マダニ感染 / 毛包虫症 / アトピー性皮膚炎 / 食物アレルギー性皮膚炎 / ノミアレルギー性皮膚炎 / 天疱瘡 / 皮膚エリテマトーデス / 若年性蜂窩織炎 / 脂漏症 / 角化亢進症 / エストロゲン過剰症 / 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群) / 甲状腺機能低下症 / 皮膚型リンパ腫 / 肥満細胞腫
一見、皮膚炎とは関係ないように思える病気もあるため、愛犬が皮膚炎になったときは自己判断せず、獣医師の診断を受けることが大切です。
なお、犬の皮膚炎について知りたい方は【犬の皮膚病の種類やケア方法、治療例など】をご確認ください。

犬の皮膚炎を治すための一般的な治療法

犬の皮膚炎を引き起こす原因が様々であるように、治し方も様々です。皮膚炎の治し方で重要となるのは、原因となる病気を突き止め、適切な治療を行うことです。
原因となる病気の治療のほかに、犬の皮膚炎を治すためにはどのような治療が行われるのでしょうか。
ここでは、犬に多い代表的な皮膚病の治し方についてご紹介します。
膿皮症
一般的に膿皮症の中では、「表在性膿皮症」が多いのが特徴です。 表在性膿皮症 は、犬の皮膚の上に常在している細菌(主にブドウ球菌)が異常に繁殖し、毛穴や表皮に入り込んで細菌感染を起こしている状態です。
膿皮症の治し方
犬の膿皮症の治し方は、抗生物質の塗り薬や飲み薬、抗菌剤、シャンプーなどによって細菌感染を抑えていきますが、場合によっては薬浴が必要になることもあります。
また、表面性膿皮症の治し方では、犬の皮膚の表面のみに細菌が繁殖している状態なので、抗菌剤や抗生物質の塗り薬やシャンプーだけで皮膚炎の改善が期待できます。
一方、稀に起こる「深在性膿皮症」では、犬の皮膚の奥深くで細菌感染が起きているため、抗生物質の飲み薬や注射、抗菌剤、消毒、場合によっては外科的処置など治し方は様々です。
アトピー性皮膚炎
犬のアトピー性皮膚炎とは、環境の中にある様々な物質をアレルゲンと認識してしまい、過剰に反応してアレルギー症状が皮膚に現れている状態です。
アトピーは犬の遺伝的な要因もあると考えられており、アトピー性皮膚炎を発症するのは3歳くらいまでが最も多いと考えられていますが、高齢になってから発症することもあるので注意が必要です。
なお、アトピー性皮膚炎について詳しく知りたい方は【犬のアトピー性皮膚炎の症状や治療法、ケア方法など】をご確認ください。
アトピー性皮膚炎の治し方
アトピー性皮膚炎の治し方は個々の犬によって異なりますが、犬の体質や免疫力大きく関わってくるため再発を繰り返すことが多く、完治させるのが非常に難しい病気です。
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因、犬の皮膚バリア機能の低下、環境的な要因の3つが関連して発症するため、生活環境の見直しを治療と並行して行うことが大切です。
- ステロイド剤
炎症の元となる物質を作らせない、炎症を取り除くといった働きがあり、即効性もあることからアトピー性皮膚炎の治療では多く使用される薬です。
飲み薬や塗り薬だけでなく、スプレー剤や注射薬もあります。
- 抗ヒスタミン剤
犬の体内にあるヒスタミンが活性化していることで痒みを引き起こすため、ヒスタミンの働きをブロックして痒みを抑える薬です。
- 免疫抑制剤
犬の体内で過剰になっている免疫反応を抑える薬です。
- 分子標的薬
痒みと炎症の伝達回路を阻害する薬です。
- インターフェロン療法
インターフェロンを注射することで、犬の免疫物質のバランスを整えてくれます。
- 減感作療法
注射で犬の体内に、少しずつアレルゲンを入れて慣らしていきます。アトピー性皮膚炎が完治できる可能性が高い治し方です。

- 舌下免疫療法
アレルゲンを犬の口から少しずつ吸収させて慣らしていきます。アトピー性皮膚炎が完治できる可能性が高い治し方です。
- スキンケア
アトピー性皮膚炎の治し方で重要なのはスキンケアです。シャンプー剤や保湿剤などを使用して、低下している皮膚バリア機能を高めます。
- 室内環境を整える
室内環境を整えることもアトピー性皮膚炎の治し方の重要なポイントです。アトピー性皮膚炎の犬はハウスダストでアレルギー反応を引き起こすことも多いため、こまめな掃除や空気清浄機の設置は欠かせません。
アトピー性皮膚炎は生涯付き合っていかなければいけない病気のため、どの治し方が愛犬にとって一番いいか、獣医師とよく相談して決めてください。

マラセチア皮膚炎・マラセチア外耳炎
犬のマラセチア皮膚炎やマラセチア外耳炎は、犬の皮膚の上や耳に常在している真菌(カビ)が過剰に繁殖し、炎症を起こした状態です。
なお、マラセチア皮膚炎について詳しく知りたい方は【犬のマラセチア皮膚炎とは?症状や一般的な治療法など】をご確認ください。
マラセチア皮膚炎の治し方
犬のマラセチア皮膚炎の治し方は、週に2~3回の抗真菌作用のあるシャンプー剤でのシャンプーや薬浴が重要視されます。
そのほか、犬のマラセチア皮膚炎の状態に合わせて、抗真菌薬やステロイド剤、分子標的薬などの飲み薬、抗真菌薬の塗り薬などを使用します。
マラセチア外耳炎の治し方
犬のマラセチア外耳炎の治し方は、耳洗浄と抗真菌の点耳薬が一般的です。マラセチア外耳炎の状態によっては、抗真菌薬やステロイド剤などの飲み薬が使用されることもあります。
毛包虫症(ニキビダニ症)
毛包虫症は、犬に限らず人間を含めた哺乳類の皮膚に常在しているダニが、犬の免疫力の低下によって過剰に繁殖してしまうことで皮膚炎を起こした状態です。
毛包虫症の治し方
犬の毛虫症の治し方は、毛包虫症だけでなく、免疫力の低下の原因となった病気と合わせて治療を行うことが多いです。また、子犬と成犬では毛包虫症の治し方が異なります。
- 子犬の毛包虫症の治し方
子犬の毛虫症の治し方は、子犬であれば免疫力がつくと共に自然に治ることもあり、シャンプー剤や塗り薬などを局所的に使用します。
全身に広がっている場合や細菌感染を起こしている場合では、ニキビダニ駆虫薬を使用します。
- 成犬の毛虫症の治し方
成犬の毛虫症の治し方は、ニキビダニ駆虫薬の注射や飲み薬が使用されますが、細菌感染を起こしている場合では抗菌剤や抗生物質が必要になります。
脂漏症(脂漏性皮膚炎)
犬の脂漏症は、皮脂のバランスが崩れ皮脂が過剰に出てしまったり、逆に皮脂が少なくなってしまった状態です。脂漏症からマラセチア皮膚炎になることもあります。
脂漏症の治し方
脂漏症の治し方は、脂漏症用のシャンプー剤や保湿剤、薬浴が重要です。その他、抗菌剤や抗生物質、ステロイド剤など、脂漏症の状態や原因に合わせて使用されます。
また、脂漏症の治し方では栄養管理も大切で、脂質や糖質が多すぎていないか、年齢に合った栄養バランスの食事を与えられているかなどを見直す必要があります。
犬の皮膚炎の治し方は獣医師と相談しよう!

今回は、犬の皮膚炎の治し方についてご紹介しました。犬の皮膚炎と言っても様々な原因があり、それに合わせた治し方があります。
犬の痒み止めなどの市販薬なども販売されていますが、どんな病気が皮膚炎の原因となっているかを飼い主さんが判断することはできません。
今回ご紹介した犬の皮膚炎の治し方はあくまでも一般的な方法なので、どんな治し方が愛犬にとって一番いいのか、獣医師とよく相談して決めてくださいね。
なお、皮膚と免疫力の関係性について知りたい方は【愛犬に免疫力を高める生活を!トイプードルの皮膚と免疫力の関係】をご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。