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【獣医師解説】老犬に多い脳の病気5つ|注意したい初期症状や治療法

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人が高齢になると脳梗塞といった病気になりやすくなるように、犬も老化に伴い色々な脳の病気のリスクが高まります

脳の病気と一口に言ってもその症状は様々です。

今回は、老犬の脳の病気の種類と症状について解説していきます。

なお、その他老犬に多い病気については【老犬に多い7つの病気!原因や症状など】をご確認ください。

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老犬に脳の病気が多い理由

French bulldog

では何故、老犬になると脳の病気が多くなるのでしょうか。

まず、老化に伴い、脳の神経細胞のはたらき、自律神経の調節機能が低下していくことが1つの原因です。

代表的な脳の病気である脳腫瘍に関しても、老犬に多くみられます。

そもそも腫瘍とは、細胞が分裂をしていく過程での突然変異の積み重ねと免疫細胞の機能が低下することで生じます。

そのため、多くの細胞の分裂を行ってきた(つまりは、長い年月生きてきた)老犬で腫瘍の発生するリスクが高まります

他にも、心臓病などの病気から血液循環に問題が生じ、脳梗塞を起こしやすくなります。

老化に伴い様々な病気になることが脳の病気発生に繋がってくることがあります。

老犬の脳の病気によく見られる初期症状

Three jack russell terrier

脳はその部位ごとに異なるはたらきを持っており、そのため脳の病気によりダメージを受けている部位により症状が異なります

初期症状も、行動や性格、姿勢の変化から動き方の異常など様々です。

脳の病気の初期症状としては、痙攣発作や立てないといった大きなものだけでなく、姿勢や行動の変化といった、これまでの犬の生活と比較し変化がないかを見ておかないと気付きにくいものもあります。

実際に、初期症状としては現れるものは以下の通りです。

脳の病気によって発作が起こる

脳の病気の症状として、発作があります。

急に手足をばたばたと痙攣させたり、手足の突っ張り、強張りが現れます。

発作時には、犬に呼びかけても反応がなかったりと意識がはっきりしない様子も認められます。

発作の現れ方も、全身が大きく痙攣したり、体の一部がぷるぷると震えたりと多岐にわたります

また、発作前後は落ち着きがない等の普段と違った様子が認められることもあります。

眼球振盪(がんきゅうしんとう)が起こる

眼球振盪とは、本来ならば真っすぐ向いているはずの眼球が揺れ動いてしまう状態です。

揺れ動く方向は縦、横、ぐるぐると回っていたりと様々です。

眼球振盪がある場合、同時に食欲不振、吐き気が現れることが多いです。

ふらつき、立てないなどの症状が起こる

脳の病気により四肢の麻痺、平衡感覚の以上が生じ上手く歩けないという症状も出ることがあります

中には、自力で立てず転んでしまう、転んだまま起き上がれない、といったこともあります。

首を傾げた状態になってしまう等の姿勢の変化

姿勢の変化として、捻転斜頸という左右に首を傾げた状態になってしまうといった症状があります。

脳の病気が改善したあとも、この捻転斜頸は後遺症として残る場合があります。

首の傾きが残ったとしては犬としては問題なく生活することが出来ます。

旋回運動が生じる

犬がその場でくるくると回ってしまいこれまで通りの正常な歩様が困難になるといった症状が出ることもあります。

性格の変化が生じる

脳の病気により、依然と比べて、攻撃的になった、臆病になったなどの犬の性格の変化が起きることがあります。

その他に現れる症状

脳の病気により、これまでは問題なく行えてきたことが出来なくなることがあります。

例えば、壁にぶつかったときに自身で後退り出来ず、壁にぶつかりっぱなしになることがあります。

他にも、犬が目的もなく徘徊したり、トイレを失敗してしまうなどの症状が現れることがあります。

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老犬に多く発症する脳の病気と治療法

Dog with a ribbon

脳の病気として代表的なものを解説していきます。

老犬に多い脳の病気① てんかん

脳の病気として、まずてんかんが挙げられます。

症状として痙攣発作が現れます

痙攣発作が起きた際に、長時間続いていないかどうかが非常に重要なポイントとなります。

発作が長時間続くと、痙攣が治まった後に脳に後遺症が残る場合があります

一般的に5分以上発作が続くと後遺症の危険性があると言われています。

診断方法には、CTやMRIの撮影があります。

CT、MRIは脳の病気全般に対して非常に有効な検査方法です。

しかし、料金が高額であること、撮影のために犬に麻酔をかける必要があるといった問題もあります。

治療としては、発作を抑えるための薬を飲み続けることになります。

また、発作が自宅で起きた際に、発作止めの座薬等を使用し、発作が長時間続かないように管理していくことが重要です。

老犬に多い脳の病気② 脳腫瘍

脳腫瘍には、もともと脳自体に腫瘍がある場合と、体の別の部分にあった腫瘍が転移することで脳に腫瘍が出来てしまう場合があります。

腫瘍が出来る脳の部位により症状は様々ですが、痙攣発作が出ることが最も多いと言われています。

他にも、四肢の麻痺や前述の姿勢の変化や性格の変化、意識がなくなるなど様々な症状が出ます。

また、脳の腫瘍の影響によりホルモン疾患(副腎皮質機能亢進症)を起こすこともあります。

ホルモン疾患から糖尿病などのまた別の病気につながる恐れもあります

治療方法としては、外科手術や放射線治療による腫瘍の除去があります。

その他には、抗癌剤の投薬、内服薬による痙攣発作の制御や、自宅での発作止めの使用が必要です。

老犬に多い脳の病気③ 前庭疾患

前庭とは、脳の中でも平衡感覚を司る領域になります。

この前庭が何らかの原因で障害されることで前庭疾患が生じます。

この脳の病気の原因は、老犬の場合、特発性と言い、はっきりと原因がわからないことが多いです。

症状としては、目の揺れ(眼球振盪)が起きることが多く、他にも捻転斜頸、食欲不振、嘔吐などが現れます。

目の揺れが起こることが多いですが、この揺れを止めるための薬はなく、その他の症状である吐き気、食欲不振に対する治療を行う必要があります

前庭障害の背後に、脳腫瘍や脳梗塞が隠れていることもあるため、治療後の経過観察には注意が必要です。

老犬に多い脳の病気④ 脳梗塞

人でも一般的な脳の病気である脳梗塞は、犬でも起こりえます。

脳梗塞とは、脳の血管が詰まる等の要因により、血流が悪くなることで脳機能に障害が生じることです。

脳梗塞が起きる部位により症状の出方は様々です。

脳梗梗塞の症状としては、姿勢や意識状態の異常が生じます

脳梗塞から前庭疾患が起きる場合もあります。

治療方法としては、血管を詰まらせる原因である血栓を溶かす治療を行う他、脳梗塞により生じた脳内の炎症やむくみ(浮腫)を改善させる薬の投与が必要になります。

また、脳梗塞は心臓の病気、ホルモン疾患に由来していることもあるため、これら基礎疾患の治療も同時に行っていく必要があります。

老犬に多い脳の病気⑤ 認知機能低下症

犬の認知機能低下症の症状として、夜鳴きや徘徊、昼夜逆転の生活が挙げられます。

治療として一番大切なことは、生活環境の改善です。

他にも昼夜逆転の生活になっているならば、夜に睡眠導入剤を服用させることも方法の1つです。

また、認知機能低下症のための内服薬もあります

脳の病気が多い犬種

Smiling Dog

犬種にかかわらず、脳の病気は加齢に伴い多くみられるようになります。

一方、脳腫瘍ではゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリバー、ボクサー、コリー、ドーベルマン・ピンシャー、シュナウザー、エアデール等の犬種で多くみられるという報告もあります。

まとめ文

Toy-Poodle

以上のように、老犬では様々な脳の病気が起こりえます。

脳腫瘍や脳梗塞など、脳の病気は外側からは見えません

ですので、普段から愛犬の様子をよく観察し、異常や違和感があればすぐに動物病院に相談に行くこと、初期症状をしっかりと発見出来ることが望ましいです。

動物病院に相談に行く際は、自宅での症状を動画等に予め撮影しておくと診断の助けになります

なお、その他老犬に多い病気については【老犬に多い7つの病気!原因や症状など】をご確認ください。

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監修者:望月 紗貴

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。

公式HP:https://true-dog-lover.com/

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