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愛犬が病気やケガで大量に出血した時、命を救うには輸血が必要です。
しかし人間と違い、犬の輸血は血液バンクなどの血液を保管している機関から血液を取り寄せることができません。
そのため、犬の輸血には「供血犬」の存在が不可欠です。
この記事では、一般的にはあまり知られていない供血犬について解説しています。供血犬を募集している全国の病院も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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供血犬とは?
供血犬(きょうけつけん)とは、輸血が必要になった際に血液を提供する犬のことです。
動物病院によっては輸血が必要な事態に備えて供血犬を飼育しているところもありますが、全国的にみても供血犬のいる病院はまだほんの少数しかありません。
そのため、献血ドナー登録をしている一般の飼い犬に定期的な供血をお願いをしたり、緊急時に供血してもらうなどしてなんとか輸血用の血液を確保しているのが現状です。
献血ドナーとは:一般の飼い犬の中で、供血犬になれる条件をクリアしてドナー登録している犬のこと。
供血犬になる条件とは?

犬なら無条件で供血犬になれるわけではありません。
動物病院ごとに条件には違いがありますが、基本的には健康で体格が大きく老齢期前までの犬です。
具体的な供血犬の条件としては、以下のようなものが示されています。
- 犬の年齢は1歳から7歳まで
- 体重15kg以上
- 狂犬病予防接種・伝染病混合ワクチン接種をしている
- フィラリア予防・ノミ・マダニ予防が毎年されている
- 麻酔をかけなくても採決が可能な温厚な性格
- 秋田犬または秋田犬の交雑種ではない
- これまでに輸血を受けたことがない
- これまでに血液媒介性感染症(犬ブルセラ症・バベシア症等)にかかったことがない
- 感染性皮膚疾患にかかっていない
- 交配あるいは出産経験がない
体重を10kg以上としている病院もありますが、供血犬は基本的に大型犬や超大型犬が望ましいとされています。
なぜなら体格の大きな犬は供血できる量が多く、複数の犬に血液を提供できるからです。
秋田犬が供血犬になれない理由:秋田犬は他犬種に比べて赤血球内のカリウム濃度が遺伝的要因で高いため。

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供血犬が必要な理由
犬が「ペット」から「家族の一員」となった現在、供血犬の存在は以前より多く必要とされるようになりました。
その理由には、次のような要因が考えられます。
供血犬が必要な理由:動物医療の高度化
供血犬の需要が年々高まっている理由の一つには、動物医療が高度化していることが挙げられます。
一昔前だったら治療をあきらめなければいけなかった病気やケガも、動物医療の進歩とともに救える可能性が高まりました。
しかし、比例して治療のための輸血が必要なケースも増加したことで、犬の輸血用の血液が足りない現状が浮き彫りになっています。
供血犬が必要な理由:犬の血液型の多さ
犬の血液型は世界的に13種類以上あると考えてられており、日本国内では9種類が確認されています。そのため、供血犬は多ければ多いほど輸血時の血液型適合に有利です。
とは言え、人間のように血液型が違うと輸血できないわけではなく、複数の血液型が併存しているので型が完全にマッチしていないと輸血できないわけではありません。
特に1回目の輸血で拒絶反応が起きるケースは少なく、そのおかげで供血犬が少なくてもどうにかしのいでいる状況と言えるでしょう。
ただし、2回目以降の輸血では血液型が合わないと拒絶反応が起きる可能性があります。
そういった事態を回避するためにも、いろいろな血液型の供血犬が必要です。
供血犬を募集している病院一覧

ここでは、供血犬を募集している病院を地域ごとに一覧で紹介します。
◆酪農学園大学附属動物医療センター(北海道)
電話:011-386-1213
住所:北海道江別市文京台緑町582番地
酪農学園大学附属動物医療センター
公式HP:https://amc.rakuno.ac.jp/donor.html
◆北海道大学動物医療センター(北海道)
電話:011-706-5239
住所:北海道札幌市北区北19条西10丁目
北海道大学動物医療センター
公式HP:https://www.vetmed.hokudai.ac.jp/VMTH/owner/blood-bank/
◆くまちゃん動物病院(新潟県)
電話:025-383-5515
住所:新潟市江南区亀田四ツ興野4-5-5
くまちゃん動物病院
公式HP:https://kumachan-ah.com/transfusion/
◆日本動物高度医療センター(神奈川・東京・愛知)
川崎本院
電話:044-850-1280
住所:神奈川県川崎市高津区久地2-5-8
東京病院
電話:03-5851-0300
住所:東京都足立区一ツ家3-1-7
名古屋病院
電話:052-933-9901
住所:愛知県名古屋市天白区鴻の巣1-602
日本動物高度医療センター
公式HP:https://www.jarmec.co.jp/bloodbank/
◆日本獣医生命科学大学(東京都)
電話:0422-90-4000
住所:東京都武蔵野市境南町1-7-1
日本獣医生命科学大学
公式HP:https://www.nvlu.ac.jp/amedical/topics/002.html/
◆小滝橋動物病院(東京都)
電話:03-5332-6866
住所:東京都新宿区百人町4-9-2
小滝橋動物病院
公式HP:https://otakibashi.com/donateblood.php
◆アニマルクリニックらぶ(埼玉県)
電話:04-2954-8919
住所:埼玉県狭山市柏原3161-10
アニマルクリニックらぶ
公式HP:https://ac-rav.com/
◆みかん動物病院(神奈川県)
電話:0463-84-4565
住所:神奈川県秦野市今泉1304-3
みかん動物病院
公式HP:http://www.animal-hospital.co.jp/2018/09/24/1537/
◆ライラック動物病院(神奈川県)
電話:045-263-8822
住所:神奈川県横浜市中区新山下2-12-34 島忠ホームズ新山下店1階
ライラック動物病院
公式HP:https://www.lilac-ah.com/donor.php
◆伊藤動物病院野田分院(千葉県)
電話:04-7127-4001
住所:千葉県野田市七光台457-2
伊藤動物病院野田分院
公式HP:https://www.noda-ah.info/2016/09/03/777/
◆めいわ犬と猫の病院(千葉県)
電話:043-432-3937
住所:千葉県四街道市めいわ2-6-12
めいわ犬と猫の病院
公式HP:https://www.meiwa-inutoneko.com/info/index_copy.html
◆もりやま犬と猫の病院(愛知県)
電話:052-739-1299
住所:愛知県名古屋市守⼭区深沢2-101
もりやま犬と猫の病院
公式HP:https://moriyama1299.com/donation/
◆犬山動物総合医療センター(愛知県)
電話:0568-67-8058
住所:愛知県犬山市羽黒大見下18
犬山動物総合医療センター
公式HP:https://www.inuyama-vet.com/work/donation.html
◆さくら動物病院(静岡県)
電話:松崎0558-43-2888 修善寺0558-72-9299
住所:松崎/静岡県賀茂郡松崎町宮内263-2 修善寺/静岡県伊豆市小立野86
さくら動物病院
公式HP:https://izu-sakura-ah.com/1523/
◆おがわペットクリニック(京都府)
電話:0771-25-4598
住所:京都府亀岡市篠町野条井ホラ6-12
おがわペットクリニック
公式HP:https://www.ogawa-pet-clinic.com/archives/306
◆大阪府立大学生命環境科学域附属獣医臨床センター(大阪府)
電話:072-463-5082
住所:大阪府泉佐野市りんくう往来北1-58
大阪府立大学生命環境科学域附属獣医臨床センター
公式HP:https://www.vet.osakafu-u.ac.jp/hospital/guide/blood_donation/
◆大阪動物医療センター(大阪府)
電話:06-6536-1771
住所:大阪府大阪市西区南堀江3-7-22
大阪動物医療センター
公式HP:http://horie-amc.jp/blood-donation/
◆加古川動物病院(兵庫県)
電話:079-433-0523
住所:兵庫県加古川市東神吉町西井ノ口373-1
加古川動物病院
公式HP:http://www.avcg.co.jp/doner.html
◆池沢動物病院(兵庫県)
電話:079-423-9939
住所:兵庫県加古川市加古川町平野417
池沢動物病院
公式HP:https://ikezawa-vet.com/blog/210/
◆つむぎ動物病院(広島県)
電話:084-999-0199
住所:広島県福山市曙町5-27-19
つむぎ動物病院
公式HP:https://tsumugi-ah-clossgarden.com/transfusion/
◆東福岡たぬま動物病院(福岡県)
電話:092-937-3222
住所:福岡県糟屋郡志免町志免中央4-11-17
東福岡たぬま動物病院
公式HP:https://www.tanuma-vet.com/donation/
供血犬のデメリットや注意点

供血犬の数が増えないと、特定の供血犬にばかり大きな負担をかけることになります。
また、愛犬が病気やケガで輸血が必要な時、血液が確保できないかもしれません。
1匹でも多くの犬を救うには、できるだけたくさんの供血犬が必要です。
だからこそ、供血犬の条件をクリアしている犬の献血ドナー登録が望まれます。
ただし献血ドナー登録に応募するかは、供血犬のデメリットやリスクもきちんと理解したうえで決めることが大切です。
供血犬になるデメリット
供血犬になるデメリットは、ほぼないと考えられています。
なぜなら輸血を受ける側には拒絶反応等のリスクがありますが、供血する側に大きなリスクはないからです。
また、採血は動物病院で行うため、不測の事態に対応しやすいこともデメリットが少ない理由と言えるでしょう。
ただし、リスクがまったくないわけではありません。
- 血を抜くので一時的に貧血になる。
- 採血中じっとしていることがストレスになる。
- 動物病院が苦手な犬にはストレスが大きくかかる。
こういったリスクを軽減させるためにも採血後は安静にし、造血を促す栄養のある食事をさせることが大切です。
また、愛犬が動物病院に対してストレスを感じる場合(手術経験があるケースなど)は、無理に供血犬にしてしまうのは可哀想です。
採血量の目安:体重1kgあたり10ml~12ml程度。
供血犬になる注意点
献血ドナーの募集に申し込む前に、以下についてしっかり考えておきましょう。
- 愛犬は採血に必要な15分~30分程度大人しくしていられるか
- 日常生活における愛犬の健康状態(食欲・排尿・排便など)に問題はないか
- 犬が動物病院に対してストレスを感じる性格ではないか
人と犬が幸せに暮らす社会において、献血ドナーを目指すことはとても有意義です。
しかし、愛犬に過度のストレスがかかると判断したら、献血をしないという判断は間違いではありません。
まずは供血犬の存在を知ってほしい

愛犬が病気やケガをせずに元気に暮らしていると、供血犬のことを意識することはあまりないはずです。
しかし、供血犬は人知れずどこかで血液を他の犬のために提供しています。
まずは、供血犬とはどのような存在なのかを知ることが、供血犬が増えていく第一歩になるのではないでしょうか。

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過去にブリーディング、ドッグショー、犬の飼い方相談を中心にインターネットペットショップ店長として東奔西走。これまで一緒に過ごした愛犬は、ジャーマンシェパード、フラットコーテッドレトリーバー、柴犬、北海道犬、イタリアングレイハウンド、ミニチュアシュナウザー、パグ×パピヨンのMIX。現在は13才のMシュナウザーとともにペット関連中心のライターとして活動中。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。