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老犬になると食事を食べないこともあり、何とか食べてもらおうとあの手この手と試している飼い主さんも多いのではないでしょうか。
老犬は内臓機能の衰えや免疫力の低下によって様々な病気のリスクが高まり、食事をしてもらうことは元気で穏やかな日々をすごしてもらうためにも大切なことです。
今回は、老犬の食事拒否に悩んでいる飼い主さんや老犬と暮らす飼い主さんのために、老犬が食事を食べない原因と対策をご紹介します。

老犬が食事を食べない7つの原因

老犬にもなると様々な心配事が増えますが、食事を拒否する、少ししか食べないといった問題も、飼い主さんにとっては心配事の1つでしょう。
なぜ老犬は食事を食べないのでしょうか?ここでは、老犬が食事を食べない7つの原因をご紹介します。
老犬が食事を食べない原因①老化によって食の好みが変わった
人間でも年をとると食の好みが変わったり、食事に対するこだわりが見られます。それは老犬でも同じことで、老化によって食の好みが変わったり、頑固になって食事を拒否してしまうことがあります。
老犬が食事を食べない原因②消化機能が低下している
老犬によく見られるのが、朝の食事を食べないことではないでしょうか。
これは、老化によって消化器官の働きが低下し、起きたばかりの朝でははまだ胃腸が十分に働いていないことによるものです。
人間でも朝は食事が食べられない人もいるように、起きたばかりで胃が食事を受け付けない状態なので、少し時間が経てば食べられるようになることが多いです。
老犬が食事を食べない原因③基礎代謝や運動量の低下
老犬は生命活動を維持するための基礎代謝の低下と共に、運動量が減っていきます。
動かなければ活動に使うエネルギーをそこまで必要としないため、自然と食事量も減って少ししか食べないといったことになります。
老犬が食事を食べない原因④筋力の衰えで食べる姿勢がつらい
老犬になると内臓だけでなく、筋力も衰えてきます。
犬が食事を食べる体勢は、前足を踏ん張り、前のめりになって首を落としますが、この足や首の筋力が衰えることで食事の姿勢がつらくなり、食事どころではなくなってしまうのです。
老犬が食事を食べない原因⑤嗅覚の衰えで食事の匂いが感じづらい
犬の味覚は人間の味覚に比べて5分の1程度しかなく、嗅覚によってその食事が美味しいものなのか、食べても大丈夫なものかを判断して口に入れます。
老犬になると嗅覚が衰えてくるため、食事の匂いが感じづらくなって食事を拒否してしまうことがあります。
老犬が食事を食べない原因⑥口の中に問題がある
犬に多い病気の1つである歯周病ですが、老犬にもなると歯周病も進行し、歯がぐらつく、歯や歯茎に痛みがあるなど、歯が悪くて食べたくても食べられないといったことがあります。
また、歯に問題はなくても飲み込む力が低下して、食事を食べづらいと感じていたり、口の中に炎症やできものなどがあると食事を食べないことがあります。
老犬が食事を食べない原因⑦病気
老犬がどこか体に違和感を感じていたり、痛みがある、体調が悪いといった、何らかの病気が原因で食事が食べられないことがあります。
なお、うちのトイプーでは犬の病気について幅広くご紹介しています。病気についての情報は、【犬の病気カテゴリー】をご確認ください。

老犬が食事を食べないときに考えられる5つの病気

老犬になると食事量が減ったり、食事を拒否するということは珍しいことではありません。
しかし、老犬だから食事を食べないのは仕方がない、と飼い主さんが自己判断せず、必ず獣医師に相談してください。
ここでは、老犬が食事を食べないときに考えられる5つの病気をご紹介します。
歯周病
歯周病は、3歳以上の犬の8割が歯周病とも言われるほど犬に多い病気ですが、歯周病になると歯肉が炎症を起こしたり、膿がたまる、歯がぐらつく、抜ける、といったことがあります。
歯周病になる原因は、犬の歯並びの構造自体の問題やこまめに歯磨きをしないことなどがありますが、老犬になると唾液の分泌量が減ってますます歯周病になりやすい、進行しやすいことがあげられます。
歯周病は進行すると鼻炎、あごの骨折、歯根膿瘍、腎臓病、心臓病など、様々な影響を与える病気です。
胃腸炎
老犬になると消化気管が衰えるため、胃腸炎になりやすいです。胃腸炎は急性と慢性があり、慢性胃腸炎ではずっとその症状が続きます。
胃腸炎になる原因はほかにもストレスや、食べ慣れていないものを食べた、脂肪分の多いものを食べた、食べ過ぎた、感染症、病気など様々です。
胃腸炎になると下痢や嘔吐の症状が見られるイメージが強いですが、お腹からギュルギュルと大きな音を立てているだけのこともあります。
腎臓病
腎臓病には急性腎不全と慢性腎不全がありますが、老犬に多く見られる病気は慢性腎不全です。
腎臓病になる原因は、ほかの病気によって腎臓がダメージを受けたり、薬物や毒物による中毒、尿路結石など様々ですが、慢性腎不全は長年にわたって腎臓にダメージを受けたことで腎臓機能が正常に働かなくなってしまいます。
慢性腎不全になると、体内の老廃物をおしっこと一緒に排出することができなくなり、体にたまってしまうため、体のあちこちに様々な影響が出てきます。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は避妊手術をしていないメスの老犬に多い病気ですが、緊急性が高く命に係わることもある怖い病気です。
子宮蓄膿症の原因は、発情期によって子宮の免疫機能が低下しているところに、子宮の中に細菌が入り込んで増殖してしまうことで起こりやすくなります。
子宮蓄膿症になると子宮の中に膿がたまって、体に様々な影響を及ぼします。
治療が遅れてしまうと子宮が破裂してお腹に膿が回ってしまうこともあるため、早期発見が大切な病気です。
悪性腫瘍(ガン)
悪性腫瘍は、体内のガン細胞を排除しきれなかったことで起こる病気です。
悪性腫瘍になる原因のはっきりしたことはわかっておらず、予防法も確立されていませんが、悪性腫瘍の種類やできた場所、早期発見の有無によっては根治が期待できるケースもあります。
悪性腫瘍ができるとどんどん増殖して全身に広がっていくため、早期発見、早期治療がなによりも重要です。
老犬が食事を食べない時の対策

老犬が食事を拒否する、少ししか食べないといったことには様々な原因や病気がありますが、食べないからといってそのままにすることはできませんね。
ここでは、老犬が食事を食べない時の対策をご紹介します。
食事回数や食事時間の間隔を工夫する
老犬は、内臓の衰えから若い頃に比べて一度に食べられる食事の量が減ってきます。
そのため、食事の回数や食事の時間の間隔を工夫してあげなければいけません。
老犬の食事の回数は最低でも1日3回にし、老犬の状態によっては4回や5回など、その老犬に合った食事の回数にしてあげましょう。
また、食事の時間の間隔にも注意が必要です。ある程度決まった時間に食事を食べさせることで消化器官の負担は軽減できますが、こちらもその老犬に合った時間の間隔にしてあげてください。
<食事の時間の間隔の理想>
- 食事の回数:1日3回…8時間
- 食事の回数:1日4回…6時間
- 食事の回数:1日5回…約5時間
上記はあくまでも理想の食事の時間の間隔です。
食事が食べやすいように器や食器台を工夫する
老犬でなくても、低い位置に器を置いて食事を食べることは様々なリスクがあります。
<食事の器が低いことの主なリスク>
- 前のめりで必要以上に踏ん張るため関節に負担がかかる
- 無理な姿勢なので食事が食べづらい
- 下を向いて食べるため食事が飲み込みづらく喉に詰まる
- 吸い込むように食事をするため胃捻転を起こしやすい
若い犬でもこのようなリスクがあるのですから、老犬ともなれば尚更です。老犬が食事のしやすい器にしてあげることはもちろん、食器台などを利用して食事のしやすい環境にしてあげてください。
また、自力で食事を食べることが難しい老犬では、シリンジを使用して食事を食べさせてあげることも必要です。
シリンジはペットショップなどでも購入することができるため、現在は必要がなくても、もしものときにシリンジを備えておくといいでしょう。
食べやすい食事内容にしてあげる
老犬は嗅覚や消化機能など、様々な場所が衰えてきます。そのため、その老犬に合った食べやすい食事内容を考えてあげる必要があります。
例えば、手作りごはんを与えている飼い主さんでは、手作りごはんのレシピに一工夫して、片栗粉やくず粉でとろみをつけてあげたり、消化のよい手作りごはんレシピを考えてあげる、食べづらそうなときだけとろみをつけるなど、老犬の状態に合わせた食事内容を考えましょう。
また、ドライフードを与えている飼い主さんでは、お湯でふやかしてあげたり、くず粉でとろみをつける、温めて匂いを立たせてあげるなど、老犬が食べやすく消化に負担がかからないように工夫してあげることも大切です。
場合によっては消化の良いウェットフードを与えたり、レシピを見ながら手作りごはんを作ってあげるなど、食事内容を老犬の状態に合わせてその都度変更してください。
なお、より詳しい情報を知りたい方は【犬がドッグフードを食べない理由や対処法】もあわせてご確認ください。
老犬が食事を食べない原因を探ってあげよう

今回は、老犬が食事を食べない7つの原因と食べない時の対策についてご紹介しました。
食事は元気な毎日をすごしてもらうためにも大切なエネルギーであり、十分な栄養が取れていないと病気になりやすくなったり、病気になってもなかなか治らないという悪循環になることも多いのが特徴です。
老犬が食事を拒否してしまったり、少ししか食べないということの多くは老化によるものですが、何らかの原因によって食べたくても食べられないということもあるため、しっかり原因を探り食べられるように対策をしてあげてくださいね。
なお、より詳しい情報を知りたい方は【犬がドッグフードを食べない理由や対処法】もあわせてご確認ください。


うちのトイプー記事作成担当。ペットフーディスト、動物介護士、ペット看護士、ペットセラピスト、トリマー・ペットスタイリスト、JKC愛犬飼育管理士の資格を保有。虹組愛犬の介護をきっかけに犬の健康や介護の在り方について考えるようになり、わんこのスペシャリストを目指して日々勉強中。17歳のMダックスと16歳のチワックスと暮らす。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。