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血液検査の結果愛犬の貧血が判明したら、飼い主さんとしてはなんとしてでも改善してあげたいと思いますよね。
しかし、具体的には何をどうすればいいか迷うこともあるのではないでしょうか。
この記事では、犬の貧血を改善するために知っておくべきことを、食事管理を中心に解説しています。
貧血対策に役立つ食事のレシピやサプリメント、ご飯を食べない時の対処法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
なお、「うちのトイプー」では犬の食事管理に役立つ情報を【食事管理カテゴリー】で幅広く紹介しております。

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Index
犬の貧血とはどんな状態?食事管理で大切なこと

犬の血液検査では「RBC(赤血球数)」「Hb(ヘモグロビン濃度)」「PCV(赤血球容積)」といった数値が正常値より低い場合、貧血状態にあると判断されます。
犬の血液検査の基準値 ・RBC(赤血球数)→550万~850万(個/μL) ・Hb(ヘモグロビン濃度)→12~18(g/dL) ・PCV(赤血球容積)→40~55(%)
犬の貧血はPCV(赤血球容積)が18%を割ると、重度の貧血と判断されます。
貧血の犬の体では血液中のヘモグロビン濃度が薄まっている
犬の貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が薄まっている状態です。
ヘモグロビンには酸素分子と結合する性質があり、肺から全身に酸素を運ぶ役割を担っています。
そのため、貧血になると酸素不足のせいであらゆる臓器が正常に働かなくなり、様々な体調不良を引き起こしてしまうのです。
貧血の犬の主な症状は、以下通りです。
- 動くとすぐに疲れる
- あまり動こうとしない
- ふらつく
- ご飯を食べない
- ご飯の食べる量が減っている
- 歯ぐきや舌の色が白っぽい
- 室温は適温に保たれているのに寒がる
貧血の犬の体の中では、新しい血液を作り出すために必要な赤血球やヘモグロビンを合成する材料が不足しています。
造血に必要な物質:鉄・ビタミンB12・葉酸・タンパク質・銅
犬が貧血になる原因は3つ
犬が貧血になる原因は、大きく分けると次の3つです。
- 血液が血管外へ漏れ出したせいで赤血球が減少している。
【主な原因】外傷、腫瘍の破裂、血小板減少による止血異常など
- 新たな血液を作るより赤血球が破壊されるスピードが上回っている
【主な原因】タマネギ中毒等による赤血球の溶血、自己免疫疾患・寄生虫感染・腫瘍等による赤血球の大量消費など
- 骨髄が新たな血液を生産できない、あるいはごく少量しか生産できない
【主な原因】慢性腎不全、自己免疫介在性溶血性貧血、内分泌性疾患など

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貧血の犬の食事管理で大切なこと
貧血状態にある犬の食事管理で大切なことは、食事内容を見直して貧血改善に役立つ栄養素をしっかり摂取できるような食事内容に変更することです。
貧血改善のために摂取したい栄養素の役割
鉄分:全身に酸素を運ぶ役割を担っている赤血球の成分そのもの。植物性食品・卵・乳製品に含まれている「非ヘム鉄」より、動物食品に含まれている「ヘム鉄」の方が吸収率が高い。
ビタミンB12+葉酸:どちらも造血ビタミンと呼ばれ、2つあわさることで造血に欠かせない補酵素の役割を担っている。
ビタミンC:植物性食品と卵・乳製品に含まれている非ヘム鉄の吸収率をアップさせる。
貧血改善のための食材
- 鉄分が多い食材:レバー(豚・鶏)・鶏ハツ・鹿赤身肉・馬赤身肉・卵黄・ひじき等
- ビタミンB12が多い食材:馬肉・レバー・鮎・鮭・タラ・サンマ・かつお節等
- 葉酸が多い食材:卵・納豆・レバー・ブロッコリー・パセリ等
- ビタミンCが多い食材:大根・ブロッコリー・パプリカ・レモン等
ただし、犬の貧血を食事で改善させられるのは、栄養面で造血に必要な栄養素が不足しているケースの貧血です。
また、基本的に総合栄養食を食べている犬が鉄・葉酸・ビタミンB12等の不足により、貧血になることはあまりありません。
そのため、食事に含まれている栄養素の不足で貧血を引き起こしているとしたら、原因には以下のようなケースが考えられます。
- 手作りご飯の栄養バランスに問題がある
- 妊娠により胎児に栄養が必要となり、母体の分が不足している
- ガンなどが原因で、体が必要としている食事の栄養バランスが変わった
- 老化による消化機能の衰えにより、以前のように食事から栄養摂取できなくなった
疾患や外傷が原因の貧血:まずは貧血の原因を治療することが優先され、そのうえで新たな血液を作り出すための栄養豊富な食事が必要です。
犬の貧血対策に役立つ食事レシピ3つ|トッピングご飯

ここでは5kg~7kgぐらいの小型犬を想定した、犬の貧血対策に役立つレシピ(1食分)をご紹介します。
胃酸の分泌を促し鉄分の吸収率を上げる「豚レバーごはん」
材料:水300ml / 豚もも肉55g / 豚レバー20g / しじみ7~8粒 / サツマイモ40g / ブロッコリー30g / パプリカ20g / ほうれん草10g / レモン輪切り2分の1枚 / えのきだけ15g / しめじ10g / オートミール大さじ1 / シナモン少々
- 豚もも肉と豚レバーをひと口大に切る。サツマイモ、ブロッコリー、パプリカ、ほうれん草、えのきだけ、しめじはみじん切り。オートミールは耐熱容器にひたひたの水を入れ、レンジで1分加熱。
- 鍋に水としじみを入れて火にかけ、しじみが開いてからひと煮立ちしたところで火を止め殻を取り出す。
- 2の鍋に1の豚もも肉と豚レバーを入れ、5分煮る。1のサツマイモ、ブロッコリー、パプリカ、ほうれん草、えのきだけ、しめじを入れてさらに3分煮立てたら器に盛って冷ます。
- 粗熱が取れたところで1のオートミール、レモン、シナモンを加えてよく混ぜたら完成。
肝臓サポートと貧血予防に効果的な「カツオ&かつお節ごはん」
材料:水300ml / カツオ70g / しじみ7~8粒 / 大根50g / カボチャ40g / 青パパイヤ15g / 小松菜10g / パセリ少々 / エリンギ15g / ひじき小さじ1 / 本葛粉大さじ1 / かつお節少々
- カツオはひと口大に切り、カボチャ、青パパイヤ、小松菜、エリンギ、ひじきはみじん切り。
- 鍋に水としじみを入れて火にかけ、しじみが開いてからひと煮立ちしたところで火を止め殻を取り出す。
- 2に1の具材をすべて入れたら5分煮てから、すりおろした大根を入れる。
- 本葛粉をひたひたの水に溶かし、3に入れてひと煮立ちさせたら器に盛って冷ます。
- 粗熱が取れたらパセリとかつお節を入れ、よく混ぜたら完成。
トッピングにもオヤツにも使いやすい鉄分豊富な「レバークッキー」
材料:レバー(鶏・豚・牛)150g / 米粉または小麦粉50g / オートミール30g / キャロブパウダー大さじ1 / オリーブオイルまたはアマニ油10g
- レバーをよく洗ってから適当な大きさに切り分け、米粉(または小麦粉)、オートミール、キャロブパウダー(手に入らなければなくてもOK)、オリーブオイルまたはアマニ油と一緒にミキサーでよく混ぜ合わせる。
- 1をオーブンシートに乗せ、サランラップを被せてから綿棒で暑さ5mm程度に伸ばす。
- オーブンを150℃に温め、2をオーブンシートごとオーブントレイに移して25分焼く。
- 焼きあがったら粗熱を取り、愛犬が食べやすい大きさに切り分けたら完成。
犬の貧血対策に役立つサプリメント
犬の貧血改善には、造血に効果的な栄養素が豊富に含まれた食事が必要です。
しかし食事だけでは貧血が思うように改善しない場合は、新たな血液を作り出すための栄養素がしっかり摂取できるようにサプリメントの使用も検討しましょう。
犬の貧血対策に役立つサプリメントの選び方
貧血改善といえば鉄分の補給が思い浮かびますが、貧血状態の犬に不足している栄養素は鉄分だけではありません。
そのため、貧血対策に役立つサプリメントは造血に関わる栄養素を複合的に摂取できるタイプを選びましょう。
また、貧血対策用のサプリメントには「液体」や「錠剤」などがあります。
しばらく継続して服用させることを考え、愛犬にとっては摂取しやすく、飼い主さんにとっては飲ませやすい形状を選ぶことも大切です。
犬の貧血対策に役立つサプリメントの成分
犬の貧血改善には、造血に関わる「鉄」「銅」「ビタミンB群」を複合的に摂取できるサプリメントがおすすめです。
ただし、サプリメントで鉄分を補給する場合、鉄を摂り過ぎると肝臓に負担をかけてしまう可能性があります。
サプリメントで愛犬の貧血を改善できる可能性があるか、獣医師に相談してから使うようにしましょう。
なお、獣医師によってはサプリメントを処方、またはおすすめしてくれる方もいます。
貧血でご飯を食べない犬の対処法4つ
犬が貧血になると全身に酸素が行きわたらなくなり、内臓の機能が全般的に落ちてしまいます。
その結果、活力を失った体は元気も食欲も失い、ご飯を食べないなどの症状で飼い主さんを悩ませることになるでしょう。
ご飯を食べない状態が続くと体はどんどん栄養不足となり、ますます貧血が悪化してしまいます。
出来るだけご飯を食べさせて食事から栄養摂取させるのはもちろん、鉄剤やサプリメントなどを使って造血に必要な栄養を効率的に補給させることも必要です。
愛犬が貧血でご飯を食べない時の対処法
- レバーふりかけ・レバージャーキーなど、レバーで作られているオヤツやトッピングを活用する。
- 造血に必要な複数の成分を摂取できるサプリメントを選ぶ。
- 新鮮な食材を使った貧血改善の食事で犬の食欲をかきたてる。
- 貧血が改善するまでは強制給餌で栄養を摂取させる。
犬の貧血は予防と早期発見が大切

犬の貧血は軽度の場合なかなか症状に気づけず、気がついた時にはかなり症状が進行していることもあります。
早期に貧血を発見できればそれだけ改善できる見込みも高くなりますが、一番良いのは貧血になる前に兆候を見つけることです。
栄養バランスの整った食事と適度な運動で愛犬の健康を維持するのはもちろん、かかりつけの動物病院で定期的に健康診断を受けることも、貧血の早期発見につながります。

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過去にブリーディング、ドッグショー、犬の飼い方相談を中心にインターネットペットショップ店長として東奔西走。これまで一緒に過ごした愛犬は、ジャーマンシェパード、フラットコーテッドレトリーバー、柴犬、北海道犬、イタリアングレイハウンド、ミニチュアシュナウザー、パグ×パピヨンのMIX。現在は13才のMシュナウザーとともにペット関連中心のライターとして活動中。

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。