- 犬の食事
犬に甘酒を与えたいと考えている飼い主さんや、愛犬の食欲低下に悩んでいる飼い主さんのために、犬に甘酒を与えることで期待出来る効果や注意点、犬用甘酒レシピなどをご紹介します。
その他、うちのトイプーでは犬の食事について幅広くご紹介しておりますので、興味がある方は【犬の食事カテゴリー】もご確認ください。

犬に甘酒を与えてもOK?

注意点を守れば、犬に甘酒を与えてもOKです。
犬に甘酒を与えることで期待できる効果も多くあるため、疲労が溜まっている犬や愛犬が高齢な場合は、与えてみても良いでしょう。
また、甘酒には酒粕から作られているものと、米麹から作られているものがあります。酒粕から作られた甘酒には、アルコールが含まれているため、犬に与える場合は米麹から作られている甘酒にしてください。
なお、犬が食べて良いものと悪いものを知りたい方は【犬が食べて良いもの・悪いもの】をご確認ください。
犬に甘酒を与えることで期待出来る効果

甘酒は昔から健康に良いとされ、日本で親しまれている飲み物の1つです。そして、甘酒を飲むことで良い効果が期待出来るのは、人だけではありません。
ここでは、犬が飲むことが出来る米麹から作られた甘酒を、犬に与える事で期待出来る効果についてご紹介します。
甘酒はここがすごい!:甘み
甘酒は、米麹に含まれる酵素がお米のデンプン質をオリゴ糖やブドウ糖へ変えるため甘さが生まれます。
オリゴ糖やブドウ糖が含まれる甘酒は、200mlで160キロカロリー近くあるため、食が細くなる高齢犬や、食欲不振の犬にとって栄養を取るには良い食材です。
そして、甘さがあり飲みやすいのも、甘酒を犬に与える上でメリットとなります。
また、オリゴ糖は犬の腸内の善玉菌(ビフィズス菌等)の働きを促進する作用もあり、便秘や便の臭いの完全にも効果が期待出来ます。
さらに、もう1つの甘さの理由であるブドウ糖も、赤血球や神経系、脳の栄養となる成分です。
特に、高齢犬は腸内のビフィズス菌が減る傾向にあったり、食欲が低下するため、甘酒は高齢になった愛犬に是非とも与えてあげたい食材の1つです。
甘酒はここがすごい!:消化酵素
消化酵素は、犬の身体の中でもタンパク質から作り出すことが出来ます。
しかし、消化酵素は生活する上で欠かすことのできないもので、作り出せる量にも個体差があり、消化酵素が不足すると体調を崩すことも・・。
特に多くの消化酵素を必要とするのが、高齢犬です。加齢などにより、多くの酵素が必要になるだけなく、作り出せる消化酵素の量も減少するため、食事などから摂取する必要があります。
また、甘酒の原材料である米麹には数多くの酵素が含まれており、特に消化酵素であるプロテアーゼ・アミラーゼ・リパーゼが多く含まれているという特徴があります。
甘酒に含まれる消化酵素を摂取することで、犬の消化を助けるだけでなく、食欲増進にも効果が期待できます。
甘酒はここがすごい!:必須アミノ酸
甘酒は「アミノ酸スコア100」の素晴らしい食材の1つです。
アミノ酸スコアとは「たんぱく質量」と、体内では生成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」が、どれだけバランス良く含まれているかを表すもので指標の1つ。
100に近いほど理想的な数値になるため、甘酒は非常に優秀な飲み物です。
<甘酒以外の「アミノ酸スコア100」の食材(一例)>
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 卵
- 牛乳
- マグロ
- 鮭
- イワシなど

甘酒はここがすごい!:ビタミンB
甘酒の元となる米麹は、多くのビタミンBを含む食材です。
ビタミンB1
ビタミンB1(チアミン)は、愛犬の粘膜・皮膚の健康維持に効果が期待できる栄養素です。
ビタミンB1が不足してしまうと、筋力が低下したり、疲労感を感じやすくなる恐れがあります。皮膚トラブルが多い犬についてはおすすめの栄養素です。
なお、愛犬に皮膚トラブルが多い場合は【愛犬に免疫力を高める生活を!皮膚と免疫力の関係】もあわせてご確認ください。
ビタミンB2
ビタミンB2(リボフラビン)は、愛犬の被毛・皮膚の健康を保つために必要です。
また、犬が元気に過ごすために必要なエネルギーを、たんぱく質や脂質、糖質から変換する作用もあります。
ビタミンB2が不足してしまうと、被毛・皮膚の乾燥につながり、光線過敏症という紫外線に過剰に反応する病気を発症する恐れがあります。
ビタミンB6
ビタミンB6(ピチドキシン)は、粘膜・皮膚の健康をサポートする栄養素です。ビタミンB6が足りないと、神経・皮膚・血液にトラブルを引き起こすことがあります。
ビタミンB12
ビタミンB12(コバラミン)は、赤血球・たんぱく質の合成等の効果が期待できるビタミンです。
ビタミンB12は、微生物により生成されるため、野菜が中心の食生活でない限りは不足する事はないと考えられています。
犬に甘酒を与える際の注意点

甘酒は、犬に与える事で多くの良い効果が期待できる食材の1つですが、与える際には注意すべきすることもあります。
愛犬の健康を考えているからこそ、愛犬に甘酒を与えると思いますが、注意点を守らなければ逆に健康トラブルを引き起こしたり、患っている病気が悪化する恐れがあります。与え方には、十分注意してください。
犬に甘酒を与える際に注意するPoint:与えすぎない
甘酒は、甘さが特徴の飲み物ですので、愛犬に与えれば非常に喜んでくれるでしょう。しかし、甘酒の甘さには多くの糖質が含まれていて、カロリーも高いです。
そのため、「愛犬が喜んでくれるから」などの理由で与えすぎてしまうと、肥満になってしまったり、糖尿病などの病気を引き起こす恐れも・・。
そして、犬種によっては甘酒に含まれるわずかな銅を大量に摂取すると、肝臓に溜め込んでしまう恐れもあります。
銅を肝臓に溜めてしまう恐れのある犬種(一例)
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ダルメシアン
- ペドリントン・テリア
- ドーベルマン
- スカイ・テリア
また、肝臓の病気を発症しやすい犬種も同様に与えすぎないように注意が必要です。
肝臓の病気を発症しやすい犬種(一例)
- ラブラドール・レトリーバー
- ドーベルマン
- スタンダード・プードル
- コッカー・スパニエル
愛犬の犬種が上記の犬種に当てはまる場合は、より一層与えすぎないように注意しましょう。
そして、甘酒を与えた後に愛犬の様子がおかしいと感じた場合は、獣医師に相談してください。
なお、犬の糖尿病について詳しく知りたい方は【犬の糖尿病とは?食事管理や症状、治療法】をご確認ください。

犬に甘酒を与える際に注意するPoint:悪性腫瘍がある犬にはNG!
甘酒には豊富なブドウ糖が含まれています。
このブドウ糖は、健康な犬であれば摂取しても良い効果が大半ですが、悪性腫瘍がある犬の場合は、悪性腫瘍働きを助ける栄養となってしまうため、甘酒を与えないでください。
悪性腫瘍以外にも、何かしらの病気を患っている場合は、愛犬に甘酒を与える前に獣医師に相談しましょう。
簡単安心!犬用甘酒の作り方

愛犬に甘酒を与えたいと考えている飼い主さんの中には、市販の甘酒ではなく、愛情をたっぷり込めた手作り甘酒を与えたいと思っている方もいることでしょう。
そのため、アルコールを含まない甘酒を自宅で簡単に作れる方法をご紹介します。
自宅で簡単!お手製犬用甘酒レシピ
<用意する材料>
麹:100g
炊いた白いご飯:0.5合
お水:150ml
<調理手順>
- 鍋に炊いた白いご飯とお水を入れて、沸騰させる。
- 白いご飯が柔らかくなったら、60度になるまで放置し、麹を加える。
- 麹を加えたら、保温出来る容器に移して、10時間以上待つ。
- 10時間以上経過したら、お手製犬用甘酒の完成!
この状態の甘酒は濃いため、甘酒の量に対して、2倍のお水を加えて薄めてから与えてください。
冷蔵保存だけでなく、冷凍庫での保存も出来るので、まとめて作ることも出来ます。
そして、アルコールが含まれていないため、家族みんなで愛犬と一緒に甘酒を味わうことも出来るのも手作り甘酒の嬉しいポイントです。
愛犬の健康にために甘酒を活用しよう

今回は、犬に甘酒を与えることで期待出来る効果や注意点、犬用甘酒レシピなどをご紹介しました。
甘酒に含まれる必須アミノ酸や、甘さの理由であるオリゴ糖やブドウ糖は、愛犬の健康に役立つ栄養素です。
高齢犬や食欲がない犬に対しても、甘さや飲みやすさがあるため、効率的に栄養補給が出来ます。しかし、悪性腫瘍や持病がある犬の場合は、症状の悪化に繋がる恐れがあるため、与えないで下さい。
手作り甘酒で、愛犬と甘酒を楽しむことも出来るので、ご紹介させていただいたレシピを参考に作ってみてはいかがでしょうか。
なお、愛犬の健康に欠かすことの出来ない食事管理について詳しく知りたい方は【愛犬の食事管理で気をつけたいこと】をご確認下さい。


うちのトイプー記事作成担当。犬の管理栄養士、犬の管理栄養士アドバンス、ドックトレーニングアドバイザー、ドックヘルスアドバイザー、愛玩動物救命士、愛玩動物介護士、ペットロスケアマネージャー、犬猫行動アナリストなどのペット関連資格を保有。愛犬との出会いをきっかけに「人と犬の生活をより良くするための力になりたい」という思いが強まり、犬の栄養学記事を主に執筆する。メスのチワワ×ミニチュアダックスフントのミックス犬2頭と共に暮らす。
Petime.Plus公式HP:https://petime-plus.com/

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。