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犬に無添加ドッグフードがおすすめな理由【犬の管理栄養士監修】

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現在、ドッグフードの種類が多すぎて、愛犬にどんなフードを選んであげたらいいか悩んでしまいますね。

同じドッグフードでも無添加と書かれているものは値段も高く、継続して購入することを考えると躊躇ってしまうかもしれませんが、愛犬には極力無添加フードをおすすします。

今回は、愛犬のドッグフード選びで悩んでいたり疑問を感じていたるする飼い主さんのために、無添加ドッグフードをおすすめする理由や添加物の詳細についてご紹介します。

なお、うちのトイプーでは、犬の食事管理について【食事カテゴリー】で幅広くご紹介しております。

犬に無添加ドッグフードがおすすめな理由

愛犬が毎日口にするドッグフードだからこそ、無添加のドッグフードがおすすめです。

普段、何気なく購入しているドッグフードのパッケージの「原材料」の表示をしっかりと見たことはありますか?

犬用のフードのパッケージには、ペットフード安全法によって表示が義務付けられている原材料と、公正競争規約のルールに定められたそのフードに使用している添加物が記載されています。

この添加物の中には犬の健康に影響を与えるものも多く存在し、涙やけや皮膚トラブル、アレルギーといったものを引き起こす可能性があるだけでなく、添加物が犬の肝臓に負担をかけてしまうことがあります。

規定上は犬に健康被害が及ばないように添加量が決められているものもありますが、長期継続して与えるドッグフードだからこそ、発がん性などを考えると、無添加のドッグフードを与えるに越したことはないでしょう。

また、無添加のドッグフードは使用している原材料にもこだわっていることが多く、無添加のドッグフードは安心して愛犬に与えることができるのではないでしょうか。

犬用のフードに使われる添加物

犬用のフードには、保存料、着色料、甘味料、酸化防止剤をはじめ、酸味料、調味料、香料、発色剤、乳化剤、増粘安定剤、品質保持剤、保湿剤、膨張剤、Ph調整剤といった様々な添加物が使用されることがあります。

犬用のフードに添加物を使用する主な目的は、栄養バランスを整えたり、犬の食いつきを良くするためであったり、品質を安定させるため、保存性を高めるためといったことですが、中には飼い主さんに美味しそうに見せるためだけに使用する危険な添加物(主に着色料)もあります。

また、同じ添加物であっても化学的に合成された人工添加物と、天然由来や自然由来といった添加物があるため、無添加フードを選ぶ選ばないに関係なく、愛犬が口にする添加物のことを知っておくことは大切です。

無添加フードであっても添加物が必要な場合もある

総合栄養食のフードを購入したときに、パッケージを見るとミネラル類やアミノ酸類、ビタミン類といった記載を見ることができます。

これらは栄養強化のための添加物ですが、ペットフード公正取引協議会がAAFCO(米国飼料検査官協会)の定めた栄養基準にのっとって分析試験を行い、基準をクリアしたものを総合栄養食として記載することができます。

例え無添加の犬用フードであっても、食材だけでこれらの基準をクリアすることは難しいため、栄養強化剤として使用されています。簡単に言ってしまうと、栄養を補助するサプリメントのようなものだと想像して頂ければ、わかりやすいのではないでしょうか。

犬の体に必要な栄養バランスを保つためには必要な添加物ですが、化学的に合成されたものと天然由来のものがあるため、食品などから抽出された天然由来のものが使用されている無添加フードを選びたいところです。

無添加フードの「無添加」表示の穴に注意

無添加の定義はあいまいですが、基本的に無添加の犬用フードは、人工添加物を使用していないものを無添加フードといいます。

しかし、人工の酸化防止剤、保存料、着色料、香料のうち、どれか1種類以上を使用していなければ「保存料・着色料無添加」などと表示できてしまうため、飼い主さんにとって”無添加=全ての添加物が入っていない”と誤認することも多く、非常に分かりくいのが特徴です。

人工の酸化防止剤や着色料を使用していても、香料を使用していなければ無添加ドッグフードになってしまうのです。

犬用フードによっては、保存料無添加、着色料無添加といった詳しい表示をしているものもありますが、「無添加」だけの表示であることもあります。

そのため、パッケージに無添加と表示されていても、原材料の記載までしっかりチェックしなければ人工添加物を愛犬が口にしてしまうことにもなってしまうため注意が必要です。

なお、犬に危険な食材について知りたい方は【犬に絶対に与えてはいけない食べ物!10選】をご確認ください。

犬用フードに使われる添加物一覧

犬用フードに使われる添加物をご紹介します。無添加と表示されたドッグフードにも使用される添加物もあるため、本当に安全な無添加フードなのかしっかり見極める必要があります。

甘味料

犬の味覚は、甘み、塩味、酸味、苦味を感じることができますが、一番感じる味覚が甘みです。そのため、犬用フードには甘味料が使用されることがあります。

  • グリシリジン・アンモニエート

人間への使用が禁止されている人工的に合成された甘味料です。安全性が確認されていないだけでなく、グリシリジン・アンモニエートは砂糖の30~50倍以上の甘みがありますが、その甘みの元も不明です。

  • 還元水飴

水あめに水素を添加して作られる人工の甘味料です。

砂糖よりもカロリーが低く、体内に吸収されにくいため血糖値も上がりにくいですが、犬が一度に多量に食べるとガスが腸にたまったり、下痢になることがあります。

  • ショ糖(スクロース)

砂糖の主成分である天然の甘味料です。カロリーが高いため、犬がたくさん食べてしまうと肥満になりやすくなります。

無添加の犬用おやつなどに使用されることもあります。

  • D-ソルビトール

甘さが砂糖より控え目の人工の甘味料ですが、人間ではの甘味料として使用することはなく、医薬品として使用されています。

多量に服用すると腹痛や下痢などを引き起こすことが確認されており、犬の体にどんな影響は及ぼすかはわかっていません。

  • ステビア

天然の甘味料で、甘みは強いですが、カロリーが低く血糖値を下げる効果があります。

抗酸化作用やヒスタミンの解毒作用なども確認されていますが、性ホルモンの減少や妊娠しにくくなるといったことも確認されています。

  • キシロース(木糖)

樹木などから抽出した「キシラン」を、加水分解して作られた人工の甘味料です。安全性は高い添加物とされていますが、動物では摂取すると白内障になる危険性があります。

  • トレハロース

デンプン由来の天然の甘味料ですが、現在は人工的に合成することもできるため、天然なのか人工なのかを見極めるのは難しいと言えるでしょう。

安全性の高い添加物として使用されていますが、犬の体にどんな影響を及ぼすかはわかっていません。

着色料

犬は見た目で美味しそうと判断することはありませんが、飼い主さんに美味しそうに見せるための目的で着色料は使用されます。

  • 赤色2号

石油由来の合成着色料です。発ガン性や染色体の異常などが起こる可能性があることから、アメリカでは使用の禁止されている着色料です。

  • 赤色3号

石油由来の合成着色料です。発ガン性や染色体の異常などが起こる可能性があり、アメリカやヨーロッパでは食品への使用が禁止されています。

  • 赤色40号

石油由来の合成着色料です。アレルギーや肝臓障害が起こる可能性があり、ノルウェーでは食品への使用が禁止されています。

  • 赤色102号

石油由来の合成着色料です。アレルギーや染色体に異常を起こす可能性があり、ノルウェーでは食品への使用が禁止されています。

  • 赤色108号

石油由来の合成着色料です。

発ガン性や遺伝子損傷、染色体の異常などを起こす可能性があり、WHOやFAOでも安全性が確認されていないことからアメリカやカナダ、ヨーロッパの多くの国で食品への使用が禁止されています。

  • 黄色4号

石油由来の合成着色料です。

アレルギーや染色体の異常が起こる可能性があり、ノルウェーやオーストリアでは食品への使用が禁止されています。

  • 黄色5号

石油由来の合成着色料です。

アレルギーや発ガン性が疑われることから、ドイツでは食品への使用が禁止されています。

  • 青色1号

石油由来の合成着色料です。

発ガン性が疑われることから、欧州の多くの国で食品への使用が禁止されています。

  • 青色2号

石油由来の合成着色料です。

発ガン性や染色体の異常などが起こる可能性があり、ノルウェーでは食品への使用が禁止されています。

  • 二酸化チタン

様々な製造方法がある合成着色料です。

白色に着色されるため使用され、人間の食品の添加物としても使用されています。アルツハイマーや発ガン性の可能性があると指摘されています。

  • カラメル色素

カラメル色素はデンプンや糖蜜から作られるカラメルIと、アンモニウム化合物を使用して作られるカラメルⅢがあります。

カラメルⅢでは発ガン性や免疫機能低下、遺伝子への悪影響が指摘されています。

  • ビートレッド

ヒユ科のビートと呼ばれる植物が由来の天然の着色料です。

栽培方法によって砂糖の原料であるテンサイやテーブルビートなどにもなります。

  • β-カロテン

β-カロテンは天然の着色料と合成の着色料があります。

β-カロテンは栄養素とて使用されることもありますが、着色料として使用される場合は「着色料」と併記されます。

  • 亜硝酸(あしょうさん)ナトリウム

犬用フードを鮮やかなピンク色に保つために使用される発色剤です。

猛毒である青酸カリと同等の毒性があるほか、原料の肉のアミノ酸と反応して発ガン性物質に変化します。

保存料

犬用フードのカビや細菌の発生、増殖を抑える目的で保存料が使用されます。

  • ソルビン酸

人間の食品にも使用される人工の添加物です。

ソルビン酸だけでは特に犬の体に影響を及ぼすことはありませんが、亜硝酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウムに反応すると発ガン性物質が生成されます。

  • ソルビン酸カリウム

ソルビン酸を水酸化カリウムや炭酸カリウムで中和して作られるカリウム塩で、ソルビン酸同様の作用があります。

  • プロピオン酸

人間の食品添加物としても使用されることがありますが、人間では長期に渡って多量に摂取すると、代謝の異常やインシュリン抵抗性が引き起こされる可能性があるとされています。

  • デヒドロ酢酸ナトリウム

人間の食品にも使用される人工の添加物です。

しかし、犬の体重1kgあたり200mgのデヒドロ酢酸ナトリウムを経口投与したところ一時的な引っ掻き行動が見られたほか、2~4日後に死亡、400mgでは72時間後に死亡、500mgでは10時間後に死亡するというケースも確認されています。

乳化剤

犬用フードには、品質を均一にしたり食感をなめらかにする目的で乳化剤が使用されることがあります。

  • グリセリン脂肪酸エステル

グリセリンと脂肪酸を合成した人工の添加物です。

人間の食品にも使用されており、安全性は高いとされていますが、犬の体への影響や危険性はわかっていません。

  • レシチン

大豆や卵黄、えん麦やヒマワリといった自然由来のレシチンと、合成されたレシチンがありますが、もともとレシチンは体内に存在する物質のため、犬の健康に影響することはありません。

自然由来のレシチンは無添加フードに使用されることもあります。

増粘安定剤

ウェットフードや半生フード、犬用おやつなどに使用されることが多い添加物です。

無添加フードに使用されることもあり、粘り気やとろみをつける、食感をまろやかにする、フードの形を安定させるといった目的で使用されます。

  • 加工デンプン

加工デンプンは、人工の食品添加物で安全性に懸念はないされています。

しかし、加工デンプンは様々な薬品を使用して作られており、海外では乳児の摂取量を制限している加工デンプンも数多くあります。

犬が長期的に摂取した場合の体に与える影響や危険性はわかっていません。

  • カラギーナン

紅藻類をはじめとした海藻から抽出される天然の増粘剤で、食品添加物として様々な食品に使用されています。

カラギーナンの分解物に発がん性が疑われていますが、通常カラギーナンが体内で分解、吸収されることはないとされています。

しかし、犬が長期的に摂取した場合の体に与える影響や危険性はわかっていません。

  • グァーガム

インドのグァー豆が由来の天然の増粘剤で、食物繊維も含まれます。

グァーガムは血中のコレステロールやインシュリンの濃度を下げるとして高血圧や糖尿病の改善につながるのではないかと考えられています。グァーガムは無添加フードに使用されることもあります。

  • キサンタンガム

とうもろこしなどのデンプンが由来の天然の増粘剤です。特に毒性や発ガン性は認められていませんが、長期に渡って多量に摂取すると腹部の不快感を覚えた人もわずかにいました。

犬でも多量に摂取することで下痢や軟便を引き起こすことが確認されています。

酸化防止剤

犬用フードに含まれる脂質の酸化を防ぐために使用される酸化防止剤は、犬用フードの劣化や酸化を防いで味が落ちることはもとより、下痢や嘔吐など犬の体に悪影響をもたらさないための目的で無添加フードにも使用されます。

  • BHA(ブチルヒドロキシアニソール)

人工の添加物であるBHAは、人間の食品添加物としても使用されています。

1日の摂取許容基準や使用基準が定められている添加物で、人間に対して発がん性があるという可能性が否定されていないため、犬にも同様のリスクがあると考えられています。

  • BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)

人工の添加物であるBHTは、人間の食品添加物としても使用されています。

1日の摂取許容基準や使用基準が定められている添加物ですが、発ガン性や遺伝子への悪影響が認められ、ヨーロッパでは食品への使用が禁止、米国では乳幼児の食品の使用が禁止されています。

  • エトキシン

有機窒素化合物であるエトキシンは、人間の食品への添加は認められていません。

農薬や発火防止剤、飼料用の抗酸化剤として使用されています。

犬用フードに使用する場合の基準は設けられていますが、発ガン性や催奇形性などの疑いがあるほか、多量に摂取すると腎臓に影響があることが確認されています。

  • 没食子酸プロピル

人間の食品にはあまり使用されることのない、人工の酸化防止剤です。BHAやBHTよりも強い抗酸化作用を持ちます。犬の体の影響や危険性はわかっていませんが、ラットやマウスの動物実験ではDNAや染色体に変化を引き起こすことが認められています。

  • エリソルビン酸ナトリウム

人間の食品添加物としても使用されている人工の酸化防止剤です。ラットやマウスの動物実験ではDNAや染色体に変化を引き起こすことや催奇形性のほか、健康に影響を与えるほどの発ガン性はないとされていますが、発ガン性を指摘する声もあります。

  • アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)

天然の酸化防止剤です。

ビタミンCのため、犬の健康に影響することはありません。無添加フードに使用されることもあります。

  • トコフェロール(ビタミンE)

天然の酸化防止剤です。

ビタミンEのため、犬の健康に影響することはありません。無添加フードなどに使用されることも多いです。

  • ローズマリー抽出物

ローズマリーが由来の天然の酸化防止剤です。

健康効果も期待できるため、無添加のドッグフードなどでは使用されることも多いです。

しかし、ローズマリー抽出物はてんかんの持病がある犬には発作を誘発してしまう可能性があるため注意が必要です。

様々な効果を持つ添加物

犬用フードに使用される添加物の中には、様々な効果を持つ添加物もあります。

  • プロピレングリコール(品質保持剤・保湿剤・乳化剤)

プロピレングリコールは石油由来の人工添加物で、犬の体重1kgにつき2gまでと1日の摂取許容量が定められています。犬が過剰に摂取すると、けいれん、ふらつき、パンティング、元気消失、貧血などの症状が現れます。

  • 亜硫酸ナトリウム(酸化防止剤・保存料)

人工の添加物で人間の食品にも使用されています。

少量でも健康を害する危険があると指摘されているほか、ソルビン酸やソルビン酸カリウムと反応すると発ガン性物質が生成されます。

  • グリセリン(甘味料・保存料・保湿剤・増粘安定剤)

グリセリンは天然の油脂を使用している天然由来のグリセリンと、石油由来の合成グリセリンがあります。石油由来のグリセリンは発ガン性が疑われていることや、犬の消化官粘膜に強い背劇性を与える可能性があることが確認されています。

  • ソルビトール(甘味料・保湿剤・増粘剤)

ソルビトールもバラ科の植物から採取される天然のソルビトールと、コストを抑えるために人工的に作られた合成ソルビトールがあります。

ソルビトールは安全性の高い食品添加物ではありますが、多量に摂取すると下痢や軟便を引き起こす可能性があります。

愛犬には無添加フードを!

今回は、無添加ドッグフードがおすすめな理由や、添加物についてご紹介しました。

犬用フードに使用される添加物には様々な種類がありますが、 内容を知ると ドッグフード使用量において安全性や規定量が確認されている添加物が多いとはいえ、やはり愛犬に口にしてもらいたくないものが多いですね。

無添加フードでも気をつけるべき添加物はありますが、多くの無添加フードは危険な添加物を使用しないように配慮しています。

いつまでも愛犬に元気ですごしてもらうためにも、極力愛犬には無添加フードを食べさせてあげましょう。

その他、うちのトイプーでは、愛犬の健康に役立つ食事管理について【食事カテゴリー】で幅広くご紹介しております。

監修者:望月 紗貴

うちのトイプー開発責任者。犬の管理栄養士、愛玩動物救命士、ペット看護士資格、ペット介護士資格、ペットセラピスト資格、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー、その他上級食育士、アレルギー対応食アドバイザーなど、数多くの資格を保有。過去にドッグトレーナーとして働き、現在は愛犬ゴールデンレトリバー、ドーベルマン(元保護犬)、ボルゾイ、ボーダーコリー、愛猫3匹と暮らす。愛犬バーニーズマウンテンドッグの腫瘍発覚後から、長年の間犬の生物学を学ぶ。

公式HP:https://true-dog-lover.com/

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